冬の上高地に歩いて潜入!カフェ・ド・コイショでクリスマス【中の湯・明神】

10:46
大正池から見た焼岳。

湖畔には僕らだけしかいない。だから、焼岳を「ほえー」と見上げる余裕がある。

観光シーズンなら、このあたりは団体旅行客だらけで記念撮影をしている人があちこちにいる。そういう人たちが気になるので、景色を見ているつもりでも案外記憶に残らない。気がついたら人に意識が向いているからだ。

団体ツアー客のある程度は、この大正池でバスを下車して、「◯時間後に上高地バスターミナルで現地集合。そこでバスに乗って帰ります」という行程になっているようだ。その逆、「上高地で解散して、大正池集合」というパターンは100%存在しない。というのは、大正池近くにバスが待機できるスペースが皆無だからだ。

このため、大正池に大勢いる観光客の多くは、「うおおお、上高地に着いたぞおおお」とフレッシュな感性の人たちばかりで、賑やかだ。そのせいで景色を楽しんでいられないのだった。

冬の焼岳はいい。葉が枯れ、活火山による岩稜のいかつさがくっきりと見える。五分刈りのアニキが久しぶりに散髪して、ようやくさっぱりしたような印象だ。とてもりりしい。

これもつい、湖面に写り込んだ山を撮影してしまう。

後になって見返してもまあそうですね、という程度の写真なんだけど、現場にいるとつい、こういうトリッキーな写真を撮りたくなる。

綺麗っちゃあ綺麗なんだけど、浚渫工事の船とつながっているパイプが横切っている。見渡す限り大自然!そこにいるのは僕たちだけ!というスペシャル感には乏しい。

10:52
ここで大休止+早めのお昼ごはんにする。

トンネルを通過し終え、ここから先はおなじみの場所となる。緊張感を伴う山場は超えた。凍結や積雪といった悪コンディションもなく、今後も問題なく歩いていけそうだ。「うっかり足を踏み外して捻挫」なんていうもしものトラブルさえ、心配がいらないくらいだ。

もっとも、もしものトラブルがあったら大変だ。いつもなら人がいくらでもいる上高地だけど、今はほとんどいない。「誰か助けてください」という相手がいない。

ガスストーブでお湯を沸かしている間、僕らはまた服を着直した。歩いていると暑かったけど、動きが止まると急に冷え込んできたからだ。寒い。

張り切っちゃったものだから、わざわざドリッパーでコーヒーを淹れる。こんなことをやっているので、体が冷え切ることになる。本末転倒だ。

なお、コーヒー豆は僕が自分で焙煎したものだ。飽きもせず、ここ数年ずっと自家焙煎を続けている。

お湯を沸かし、そのお湯でコーヒーを淹れる。

しかし、ドリップ最中にコーヒーがどんどん冷めてしまう。外が寒いので、あっという間に熱が奪われてしまうのだった。

仕方がないので、ドリップしたコーヒーをガスストーブに乗せ、加熱し直すということになった。時間と燃料の無駄だ。

待っている間、僕ら人間もどんどん冷えていく。少しでも暖をとろうと、いしはガスストーブ近くに手をかざしている。

なお、待っている間に保存食の缶詰パンを食べる。苗場山登山のときにも登場した、「賞味期限切れで会社から払い下げられた缶詰パン」だ。

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2018年9月に缶詰パンを食べていて、今2019年11月にまた食べている。つまり、賞味期限切れをさらに1年更新したということだ。どこまで保存ができるんだ?このパンは。

チョコレートを食べてカロリー補充する。

今回の明神行きに対して、どれだけの装備を用意すればよいのかよくわからなかった。冬山経験は全くないし、いしのポテンシャルもまだ掴みかねていたからだ。チョコレートなんて持参しなくてもいいよなぁ、と思っていたけど、一応持参してみた。

11:17
コーヒーを沸かしても、まだこんな状態。というのは、この後ラーメンを作ることになっているからだ。

大正池到着から30分以上が経過している。かなりスローペースだ。

ケチって、EPIガスストーブは寒冷地仕様のガスカートリッジではなく、ノーマルカートリッジを使っている。そのせいで火力が弱い。両手の人肌でカートリッジを温めたりしながら、なんとか火を維持しているような状況。

これに懲りた僕は、「ジェットボイルに買い替えよう・・・」と思った。

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JETBOILは、お湯を沸かすことにほぼ特化したガスストーブだ。炎が出る部分の構造が独特で、フランシスコ・ザビエルが首に巻いていた謎のヒダヒダみたいなものが火口を取り囲んでいる。「フラックスリンク」といい、炎の熱をこのヒダヒダが吸収し、少ないロスでクッカーに熱を伝える役割を担っている。

JETBOILが独特なのは、この「フラックスリンク」とクッカーが一体になっていることだ。そしてクッカーは熱が逃げないように、耐熱の布でぴったり覆われている。「うっかりすると燃えるんじゃないか?」と心配になるが、フラックスリンク、そしてその下のバーナー部はしっかり固定されるので大丈夫だ。

500mlの水を最短100秒で沸騰させる、という話だから大したものだ。いいなぁ。

・・・で、後日、僕が結婚を職場に報告した際、「職場有志で何かお祝いをしたいが、欲しいものはあるか?」と聞かれたので「ジェットボイルがほしい」と言ったら、本当にジェットボイルをプレゼントしてくれた。ありがとう!

11:20
湯が湧くのを待ち続けているラーメンたち。「長野県限定販売」のホームラン軒信州みそ仕立てラーメン。

「熱湯4分」だそうだ。待ってろ、まだ熱湯になってないんだ。

11:43
ようやくカップ麺にありついている状況。おい、大正池到着から1時間だぞ。何をやっているんだ、一体。

景色を眺めて、記念写真を撮って、コーヒーを淹れて、カップラーメンを作っただけだぞ。それで1時間。

僕が20年近く愛用してきているガスストーブ、EPIが悪いんじゃない。単に寒冷地仕様のカートリッジを用意してこなかった不手際のせいだ。でも、すでに心はジェットボイルに傾きつつある。それくらい、この1時間の待ち時間は長かった。

ちなみに、EPIをすぱっとやめてジェットボイルに切り替えよう!と思ってもそうはいかない。なにせ、ジェットボイルはほぼお湯沸かし用のギアなので、あれこれ調理をするのには向かないからだ。EPIとは今後もお付き合いを続けつつ、「今日はお湯を沸かすだけだな」という山行のときはジェットボイルを持参、と使い分けになるのだろう。

(つづく)

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