川を越え、雨に打たれ、風にあおられて【斜里岳】

「道の駅 葉菜野花(はなやか)小清水」の入り口。JR小清水駅と一体化した施設の外観。

16:40
日本最北のモンベルを表敬訪問したのち、その隣にある「道の駅 葉菜野花 小清水」に立ち寄る。

なんだこのキラキラネームは?と訝しく思ったが、「はなやか」と読むことを知り、思わず「ああ!」と声が出た。

あいにく外は小雨。視界はどこまでも灰色で、華やかさの「は」の字もありゃしない。

ここはJR小清水駅も兼ねている。言いようによっては「駅ビル併設の最先端ステーションだ。

小清水町の道の駅に立つモンベルのマスコット、モンタベアのぬいぐるみ。フィッシングベストを着用し、ジャガイモの袋を提げている。

16:42
道の駅の入口でも、モンベルのマスコット・モンタベアが仁王立ちしていた。

こいつを店頭以外で見かけるのは初めてだ。ご丁寧に名札まで用意されていて、まるで博物館の剥製、あるいは新入社員のような初々しさを醸し出している。

ヒグマの本場・北海道において、あえてツキノワグマを模したキャラを配置するその孤高ぶりに、僕はしびれた。
いや、「孤高」は言い過ぎか。数百メートル隣の店舗入口にもう一頭いるのだから、ここはモンタベアの過密地帯だ。クマ牧場かよ 。

ふと見ると、こいつの左手には「おでん串」のような物体が入ったビニール袋が。その場では気が付かなかったのだが、後で写真を見返して愕然とした。調べてみれば、これは「なんじゃこりゃスティック」という、この道の駅が誇るご当地グルメだというではないか。しまった、見逃していた!

知床タコの柔らか煮、網走のかまぼこ、小清水の揚げ芋をぶ刺した、まさに「オールスター感謝祭」状態の逸品。現場でその価値に気づけなかった自分の鈍感さが恨めしい。僕は、目の前にある「正解」をみすみす見逃したというわけだ。

雨のJR網走駅(あるいは周辺駅)に停車する、キハ54形気動車の一両編成。

16:45
そんな感傷を切り裂くように、キハ54が入線してきた。ステンレスの車体に「電車かな?」と錯覚しそうになるが、その実体はゴリゴリのディーゼル車だ。

パンタグラフのない平坦な屋根、そして潔い2ドアの造形。無駄を削ぎ落とした姿はどこか優雅ですらある。こう見えて国鉄生まれのベテラン。

小清水町の観光案内図。斜里岳やオホーツク海、感動の径などが描かれたイラストマップ。

16:46
壁の案内図で、今後の攻略ルートを再定義する。図上では斜里岳からオホーツク海へ続くダイナミックな景観が鮮やかに描かれているが、現実はといえば、窓の向こうに広がるモノクロームの雨世界。この色彩格差に苦笑いするほかない。

地図には楽しげな気球まで飛んでいる。「あんな素敵な体験ができるんですよ!」という無言のメッセージが痛い。

雨の中のセイコーマート小清水道の駅店。駐車場が雨に濡れて反射している。

16:41
道の駅のすぐとなりにある、北海道における生命維持装置、セイコーマートへ駆け込む。

セコマの「ホットシェフ」なら、きっと僕の空腹と自尊心を救ってくれるはず。北海道らしい何か、例えばカツ丼とか、そういうガツンとくるやつを頼むぞ。北海道でカツ丼、というのはたとえとしておかしいんだが。

セイコーマート店内の棚。お弁当コーナーの在庫が少なくなっている様子。

16:49
が、期待に胸を膨らませて覗いた棚は、御覧の通りの有様だった。このタイミングの悪さ。

ここで妥協して、どこでも買えるようなパンや、東京でも見慣れたおにぎりに手を出すほど僕は落ちぶれちゃいない。それならいっそ、女満別空港まで戻ってから「旅情」をトッピングした食事に賭けるべきだ。

セイコーマート小清水道の駅店の営業時間変更を知らせる貼り紙。19時閉店となっている。

16:49
ふとドアを見ると、営業時間変更の告知。19時閉店。コンビニの概念を根底から揺さぶる「10時間営業」だ。時短営業にもほどがあるが、これがオフシーズンのリアルというものか。

車内で日糧製パンの「北海道のメロンデニッシュ」を手に持つ様子。

16:52
結局、本日の遅すぎる昼食は、日糧製パンの「北海道のメロンデニッシュ」という、極めて暫定的な着地点に落ち着いた。下山後に食べ残したパンを、車内で寂しく咀嚼する。

北海道産小麦使用、という文言だけが、僕のわずかなご当地プライドを支えてくれている。「はなやか」な道の駅で、何一つ華やかなものを胃に収めることなく、僕は再び車を走らせる。

(つづく)

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 何はともあれ"リアルタイムとは別のパラレルをーるどを往く"おかでんのご帰還めでたし。
    スマホも保険でなんとかなったようでそこもまた良し。(Fujiの一眼が心配でなりませんが…)
    それにしても"振り返れば、斜里岳は本当に楽しい山だった。"果たしてそうか?うーん、わからん。山男の思考はさっぱりわからん。今後の活躍も期待しております。

  • zennさん>
    富士フイルムのカメラをご心配いただき、ありがとうございます。
    そう言われてと気がついたのですが、この記事の最後に載せている「故障したスマホ」の写真、まさにX-T20で撮ったものでした。機動力を重視したい場面で、あえてごつい一眼カメラを取り出して構えているというのは、冷静に考えるとかなり倒錯していて面白い絵面ですね。

    先日からzennさんには「新しくカメラを買うなら?」という個別のお話をさせていただいていますが・・・いずれ、あるタイミングから「おや?記事の写真の質感が変わったぞ?」という局面が訪れるはずです。

    もし変化に気づかれましたら、ぜひ早押しクイズの勢いで「カメラ買い替えただろ!」と突っ込んでみてください。楽しみにしています!

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