利き酒から脱出して、お昼ご飯を食べることにする。今日は、同じぽん酒館の一角にある「爆弾おにぎり」のお店でおにぎりを買う予定だ。
昨年、日曜日の夕方に立ち寄ってみたら「にぎり待ち」のお客さんが列を作っていた。だから「こりゃ駄目だ」と断念したという経緯がある。なので今年は、土曜日のうちに爆弾処理をしてしまおうと言う計画になっていた。
南魚沼のコシヒカリを利用している、というだけで十分な売り文句だ。おにぎりがデカかろうが小さかろうが、日本人ならこの殺し文句で十分金を出す価値がある。
一時、「魚沼産コシヒカリ」と称するコメがスーパーなどで溢れていたが、その正体は「魚沼産コシヒカリを混ぜただけ」のいんちきブレンド米、ということもあったと聞く。何しろ、魚沼で生産されている米よりも多くの米がなぜか国内で流通していたのだから。
いんちきが出回る、これぞ米の王者たる風格。
その点、まさに魚沼がほど近いこの地で、しかも「ぽん酒館」が提供するコシヒカリともなれば間違いはあるまい。楽しみだ。
おにぎりが真っ二つに割られた状態で店頭にサンプル表示されていた。
でかい。
1個で1合(お茶碗2杯分)だという。
1合ものお米を1個のおにぎりにするのではなく、2個ないし3個に分ければいいのに、なんて言ってはいかん。デカいことはいいことだ。大鑑巨砲主義だ。
それにしても、おにぎりの断面はすごいな。CTスキャンで腹を輪切りにされ、お医者さんに「皮下脂肪が多すぎですね。もっと運動しないと」とメタボ宣告されたような気になる。
これだったら味が薄いんじゃないか・・・と思うが、その分具にしっかりと塩味がついているのだろう。高血圧注意。
というわけで爆弾おにぎりを各自が購入。
女性であるおやびんも、よこさんも、「当然」とばかりに爆弾おにぎりを買い求めていた。そういえばさっきも、しれっとお酒を試飲しまくっていたし、とにかく健啖ですばらしい。まあ、だからこそ僕と行動を共にしているわけだ。
おにぎりに見えないぞ、これ。なんか未知のものに出会った気分。
テイクアウト用にパックで入っている。新幹線に乗りながら是非どうぞ、というわけだ。ただし、お店の前にもわずかながらイートインスペースがあるので、そこで我々は食べていくことにする。
手にしてわかる米の重さよ。
「爆弾」というより「つぶて」という表現のほうがあっている気がする。投石騒ぎを起こすにはちょうど良いサイズ感。デモをやっている場所の近くで、こんなものを持ってうろついていたら職務質問されそうだ。
やっぱりここで確信した。でかいことは勝利だ、と。コンビニおにぎり?馬鹿いってんじゃねー、あんなの、型にはめただけの米であり、にぎってねー!
急に矛先がコンビニに向かい、disりのとばっちりを受けるコンビニおにぎり。彼らに罪はないのに。
ちなみにこのお店、さらにこの倍の「大爆」なるおにぎりもあるのだが、さすがにそれは頼むのを控えた。おにぎりだし、食べ切れなかったら持ち帰ればよいだけのことだ。でも、まずは普通の爆弾のほうを食べてみたかった。
爆弾にかじりついたところ。
紀伊半島のほうに「めはり寿司」という食べ物がある。大きいので、目を見張ってしまう寿司・・・ということでこの名前がついている。確かにそのとおりで、デカいものにかぶりつくと目が開いてしまう。
とはいえ、もともと一重まぶたで目が細いおかでんの場合、たいして変わらないのだけど。
「・・・!」
「・・・。」
一同、黙りこくってしまう。とてもじゃないが、「食べながらおしゃべりをする」なんてのは無理だ。もうね、食べるのに必死。ほんと、「必死」なんですよ。うっかりしたら喉に詰まらせて死ぬ。
温かいご飯でにぎった巨大おにぎりなので、とても崩れやすい。
爆弾にかぶりつく力加減、両手でおにぎりを支える力加減、場合によっては口の中に押し込む力。そういうのが絶妙に組み合わされないと、あっけなく崩壊する。
ほら、案の定おやびんのおにぎりは崩壊してしまった。
崩れてしまったら、ただの「ご飯のかたまり」だ。おにぎりでさえない。こうなるととても残念だ。なんとかこうならないように踏ん張らないと。
ところで味はどうかというと、確かに銀シャリはおいしいのだけど、やっぱり「味があるエリア」と「味がないエリア」がくっきりと分かれすぎていた。味の濃淡に振り回され、トータルで考えてみてうまかったか、というと若干微妙ではあったよ。
しかし、握りこぶしほどのサイズのおにぎりを食べる、という体験は他に変えがたいものだ。その点でとても満足しているし、来年はさらに大きな「大爆」を食べてみたいとさえ思った。
夜、宿メシを食べた後に部屋飲みをするためのつまみを買っておく。
お酒は現地で買えばいいとして、この「ぽん酒館」は気の利いたつまみや銘菓、漬物などがいろいろ売られていて目移りする。
国分の「缶つま」シリーズが売られていたので、一同「おおう」と言いながら商品選び。今晩用にいくつか買うことにした。
「缶つま」は、「なるほどそうきたか!」と唸らせる「一癖ある」ラインナップでとても面白い。缶つまの商品カタログを見ているだけでも楽しくなるくらいだ。昔からあるありきたりな缶詰の世界から一歩二歩前に進んだ品揃えで、僕は好きだ。・・・ただし、いいものだけあって値段は高く、なかなか手が出ないけど。
中には数千円もするような缶詰がしれっと紛れ込んでいるこの「缶つま」シリーズだが、町中のスーパーではせいぜい数種類置いてあるのが関の山だ。だから、このお店のようにいろいろな種類がずらりと並んでいると興奮せざるをえない。ましてや、僕以外の3人は酒が入って頭がぽやんとしている人たちだ。あれよあれよと買い物かごの中に缶つまが投げ込まれていった。おいちょっと待て、本当にそれ、今晩食べるのか?今、2,000円以上するヤツがかごに入ったように見えたけど。
結局この缶つまたちは宿で食べられることなく、「東京みやげ」となった。
魚沼産のコシヒカリが大量に並ぶ。
昨年僕はここで風呂敷入りのコシヒカリを5つも買って帰った。1包み3合入りで、お値段は800円前後だったと思う。しっとりしているけどカラフルな風呂敷は「おっ!?」と目を惹くものだし、中に入っている米は日本を代表するブランドだ。贈ったら喜んでもらえるものだと確信した。
ちなみに5包みのうち3包みは、ホワイトデーに職場の女性にプレゼントした。一人の女性がえらく感激して、「まだ余りがあるなら実費を払うのでもっと欲しい」と言われ、もう1包みをあげた。
残った1包みは3月末に退職される方への贈り物のひとつとした。その方は「お祝いの品などは固辞。花束なんてもってのほか」というスタンスだったのだけど、職場サイドとしては「そうはいっても何かあげたい」と思っていた。そんな中、「風呂敷に包まれた少量の米」というのはちょうど良い落としどころだった。
というわけで、これはホントおすすめできる品だ。値段は手ごろだし。
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