閉鎖病棟・上高地【小梨平ソロキャンプ2018】

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19:20
この時間にして寝る体制に入る。

日が暮れて間もないけれど、じっとしていたらテントの中でも寒い。想定では、21時から22時ころまではゆったりと本を読んで過ごすつもりだった。もちろんまだ寝るつもりはないけれど、ひとまず寝袋の中に入らないことには体が冷える。

あと、やっぱりこのテントは狭い。あぐらをかいて座っていても、テントの壁が頭上というか背中に迫ってくるので、ずっとうつむき加減の姿勢になってしまう。

邪魔くさいので、もうこの際横になっちゃえ、というわけだ。

横になるからには、厳寒の深夜を想定した就寝体制を用意しないと。

今回持参した寝袋は、ごく普通のものだ。ホームセンター「ロヂャース」で買った、LOGOSの寝袋。これまでのキャンプで使ってきた盟友だけど、さすがに氷点下には対応していない。

寝袋に「LOGOS 6」という文字が見える。つまり、「この寝袋は6度まで対応していますよ」という意味だ。まるで保温が足りない。

寝袋は案外種類が豊富に存在する。マミー型、封筒型など形状のちがいの他に、どのような気温に対応する寝袋なのかで細かく種類が分かれているからだ。

温度といっても、寝袋の世界では一言では言い表せない。

  • コンフォート温度:寒さを感じずに眠れる快適温度
  • リミット温度:工夫すればなんとか眠れる限界温度

という2種類の概念があるからだ。なお、「LOGOS 6」における「6度」というのは、「コンフォート温度」のことで、確かリミット温度は0度だったと思う。僕はその「リミット温度」に賭けた、というわけだ。工夫するぞ。新しい寝袋を買うと、値段が高いし、かさばるんだ。

寝袋からすこしでも放熱を防ぐために、シュラフカバーと呼ばれる覆いをすっぽり被せる。お守り程度に持っていたもので、これまで実用性があると感じたことは殆どないキャンプツールだけど、今回ばかりはこのペラッペラなカバーでさえも愛おしい。

それでも、来たるべき氷点下に耐えられそうにない。なので、折りたたんで床に敷いていたアルミマットを広げ、これを体まるごとすっぽりとくるむことにした。うん、これはいい、アルミマットがあると俄然体感温度が変わるぞ!

読書をすすめる。

手元には、モンベルの「コンパクトランタン」が置いてある。これがかなり明るくて、便利だった。今回初投入のギアの一つだ。

これまで夜の灯りといえば、もちろんヘッドライトだったし、オートキャンプの時の灯りとして、単一電池を3本使うGENTOSのLEDランタンを使ってきた。ガスやガソリンのランタンに慣れてきた自分にとっては、LEDランタンというのは衝撃だったものだ。そのかわり、単一電池3本ということもあって、クッソ重たくてごつかった。

オートキャンプとソロキャンプでは、照らしたい周囲の半径が異なる。オートキャンプはより広く。イメージとしては、タープを張って、その下に机と椅子を並べて、それらが全て見渡せるほどの明るさ。一方、ソロの場合は半径50センチ程度が明るければひとまず十分だ。

そんな中、このモンベルのコンパクトランタンはとても便利だった。軽くて、小さい。単三電池4本を必要とするけれど、手で握れるサイズなのでさほど気にならない重さだ。懐中電灯代わりにもなる。

フックがついているので、テントの天井から吊り下げることもできる。また、地面に置くこともできる。明るさの調整が無段階で可能なので、用がないときは薄暗くできるのもいい。

キャンプにおいて、よそ様のランタンというのは「光害」になりえる。なので、夜になると必要最低限の明るさまで光を絞り込むことは大事だ。

21:17
夜が更けてきた。

トイレに行くついでに、梓川河川敷に出てみた。

正面には、静かに岳沢が佇んでいた。

岳沢の中腹には岳沢小屋という山小屋があるのだけれど、ここからは見えない。

山小屋は、ぽつんと山の中に灯りが見えるので、すぐにそれだとわかるのだけれど。

この写真はSONYのコンパクトデジタルカメラ、RX100M3で撮影したものだ。

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三脚なしでも手ブレなく夜景写真を撮ることができる。しかも、ご覧のように、まるで明るいかのように。なんだか不気味だ。このカメラは、被写体が暗いと識別すると、自動的に数枚連写する。その写真を合成して1枚の写真を仕上げるので、夜景がとても明るく、くっきり写る。

この後、2018年の冬から僕はカメラを富士フイルムのAPS-Cミラーレスカメラ、X-T20に切り替えた。

レンズもセンサーもX-T20の方が性能が良いはずなのだけど、「連写して合成する」なんてトリッキーな技術は搭載されていないので、見たまんまに暗いし、想像した通りにブレる写真になってしまった。これはX-T20がヘボいのではなく、カメラというのは本来そういうものだということだ。

21:21
しばらくベンチに座り、岳沢を見上げる。

スマホやパソコンから目を逸し、耳にはめたイヤホンからラジオやポッドキャスト、YouTubeの音が聞こえてこない時間。情報が少ないほうが、むしろ充実して感じる。

良い意味の言葉として「時間を忘れる」という日本語がある。それだけ夢中になる、ということだ。一方、今の僕はというと、「時間を噛みしめる」という感じがする。なにもない、を感じる。

このまま、一時間くらい夜景を見続けていたかった。でも、さすがに寒さがそれを許してくれなかった。そろそろ引き上げよう。

なお、僕は家にいるときや寝るとき、体を締め付けられるのはイヤだ。だから、外出先から帰宅すると必ずゆったりした服に着替える。そんな僕は、「日常服のままで寝る」というのは、ずいぶんと違和感と落ち着かなさを感じる。できるだけラフな格好をしたい。たとえ寒くても。

・・・その結果がこの写真のとおりだ。よく見ると、下半身はアウターのボトムスではなく、インナータイツ姿になっていることがバレる。だいじょうぶ、暗闇だから誰も気が付かないって。

でも、真っ昼間にこの格好だったら、ちょっと変態的かもしれない。

いや、でも時々いるでしょ、ランニングやっているお姉さんで、「それって短パンはいたほうがいいんっじゃないですか?」って心配になるような、タイツ一丁の下半身の人。それが許されるなら、僕のこの格好だっていいと思うんです。

21:24
梓川沿いのテントは、すっかり寝静まっている。ほとんどのテントは灯りが消えているし、灯りがついているところも常夜灯として灯しているだけのようだ。

これだけ密集しているところで、21時過ぎまでゴソゴソやっていたらご近所さん迷惑だ。たとえテントの中で一人で過ごしていたとしても、ビニールの買い物袋をガサガサやったりするだけで随分うるさい。

この写真を見ると、随分と明るいキャンプ場のように見える。街灯が一つ、正面にあるからだ。しかし、実際はほとんど真っ暗だ。こんなに明るいわけがない。

21:27
ちょうど六百山の肩から月がのぼってきた。

このカメラで撮影すると、まるで日の出のように明るい。さて、本格的に寝るか。

03:40
寒い。わかってはいたけれど、寒い。

何度も寒さで目が覚める。耐えられないほどの寒さでないというのが絶妙だ。ただ、眠り続けることが難しい寒さに、イイカンジにチューニングされた寒さだ。

身長178センチの僕だと、寝袋をかぶると長さがほぼぴったりになる。で、つま先とか膝とかが寝袋の生地に当たるのだけど、その当たったところから冷気が忍び込んでくる。

そして、「マミー型」と言われる、顔だけだして頭まですっぽり寝袋で覆われるタイプの寝袋を使っているのだけれど、寝返りをうったりするたびに顔と寝袋の間に隙間ができて、そこから首筋に冷気が入る。首筋が冷えると、人間ダメになる。寒い寒い。

寒さに耐えかねて、テント内でガスストーブを着火して一瞬だけ暖をとる。ものの1分で、ふぁーっと暖かくなるので心が癒やされる。

もちろん、テント内で火を使うのはご法度だ。うっかり周辺のものに燃え移ったら人ごと丸焼けになるし、一酸化炭素中毒になる。なので、ちゃんと周囲を片付け、空気の通り道を確保し、うやうやしく着火だ。暖かくなったな、と思ったらすぐに火を消す。こんなところで死ぬつもりはない。

保温にかなり強力な効果を発揮してくれているアルミシートだけれど、欠点があった。それは、アルミシートに夜露がつく、ということだった。

寒さ避けのために顔まで覆うようにす巻きにしていたのだけど、僕の呼吸に含まれる水分がアルミシートに付着し、それが水滴になって顔にポタポタ落ちてくるのだった。冷たい!

まさか、露が顔に落ちてくるとは思っていなかったのでびっくりした。

これでは寝ていられない、とアルミシートを肩の位置まで下げると、今度は顔から首にかけて寒い。寝袋と僕の体のサイズがフィットしていないからだ。

しょうがないので、アルミシートは頭までひっかぶって、僕はマミー型寝袋の中で首を横にそむけ、息苦しさに苦しめながら「顔の寒さ」をしのいだ。ああ寒い。

2018年04月30日(月) 2日目

06:29
2日目朝。

たぶん4時頃から、「早く時間が過ぎ去らないものか」と念じながらうつらうつらしていた。5時になって外が明るくなり、人がゴソゴソ動き始める音が聞こえてきて、「ようやく寒さから開放されるのか・・・」と安堵し、そこからすこし寝ることができた。

6時半前に、テントから外に脱出。

そこはもう、夜が明けていた。おはよう上高地。

テントから出た瞬間、こんな素敵な空間が視界に飛び込んでくるのは本当に素晴らしい体験だ。

登山道は、山を目指す人たちが早足で通り抜けていた。今日は涸沢あたりまで行くのだろうか。

この時間にして既に山を目指す人がいるのは、このキャンプ場や上高地近隣の宿泊施設で前泊したという可能性もあるけれど、おそらく深夜バスでついさっき上高地に到着したのだろう。

ここはまだ長い旅路のスタート地点。なので、テントを張っている人たちの様子など一べつもせず、グイグイと前へと進んでいった。

(つづく)

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