栄枯盛衰を温泉地で見た【鬼怒川温泉】

大江戸温泉物語の看板

15:12
大江戸温泉物語のパネル発見。ああ、大江戸温泉物語に泊まるんだな、ということをあらためて実感。

楽天トラベルでこの宿を予約した際は、「鬼怒川温泉 大江戸温泉物語 ホテル鬼怒川御苑」という宿名で手配している。なので、僕の頭の中には「鬼怒川にある大江戸温泉物語」に泊まる、というイメージしかない。むしろ、「ホテル鬼怒川御苑」という名前を建物外観などで見せられると、「あれっ、ここって今晩泊まる宿でよかったっけ?」と不安になるくらいだ。

わざわざ買収前の宿名を変更する手間が面倒臭いんだろうし、鬼怒川で「大江戸」を名乗るのもイマイチ、ってことで宿名はそのままにしてあるのだろう。

土産物屋は営業していない

売店の電気が消えていた。まさか、節電のために消灯しているのか?・・・とまたみみっちいことを想像してしまったが、それどころか営業そのものをしていなかった。シャッターが閉まっている。おーい、チェックイン時間になってますよー。

そういえばこの売店の変則営業については、チェックイン時に説明を受けていたっけ。

営業時間は16時~21時、翌7時半~10時だった(平日の場合)。チェックイン開始直後の時間は、どうせ客はこないだろうということで営業をやらないという潔さだ。確かに、部屋に着いたら「まずは一息つこう」「一息ついたらひとっ風呂浴びにいこう」となるので、売店どころじゃない。客はワクワクして浮き足だっているんだ、売店は落ち着いてからだ。

こういうところで無駄な人件費を極力かけない姿勢は面白い。「ホテルの売店たるもの、客がいる時間帯には常時営業しているべき」という「べき論」でダラダラと営業しない。

あと面白いのは、この売店は18時から21時の間に買い物をすれば割引されるということ。チェックアウト直前の売店混雑をピークシフトさせるという思惑があるのだろう。こういうのもよく考えてある。

廊下

部屋に向かって歩いていく。巨大ホテルなので、それなりに歩くことは覚悟。ダンジョン探検気分で歩いてく。もちろん、部屋へ従業員さんが案内してくれることはない。あれ、慣れないから困るんだよね。「お荷物お持ちしましょうか?」なんて聞かれて、お願いしていいものかどうか一瞬躊躇して「あ、ああ、うう」とアホな返しをしてしまったり。

廊下を見ても、「経営困難の宿を買収した」という負い目を全く感じさせない綺麗な内装。きっちりリフォームしているし、そのリフォームにチープさが感じられない。

空気清浄機

なによりも驚いたのが、廊下に空気清浄機が置いてあったことだ。えええ!?そんな気配りまでやってるの?

「宿を買い取ったときに付いてきた備品なので、そのまま利用している」というものではない。まだそう古くない機械で、わざわざ新たに買ったことが伺える。

こんなことをやらなくても十分集客はできるのに、敢えて「期待値の上をいく」サービスをやってくるところが末恐ろしい。なんだ、この宿って全くもって「安かろう悪かろう」宿じゃないな。完璧に勘違いしていた。

そういえば、僕が7,000円で泊まれたのだって、2月の閑散期で、平日で、しかも直前割引が適用されたからだ。普通の週末だったらとても高いに違いない。「大江戸温泉物語の宿」がそもそも安宿なんて誰が決めた?勝手な思い込みだったようだ。

タバコ部屋

動揺しまくってしまい、つい目の前にあった喫煙室の写真を撮影していた。だからなんなんだ。

分煙がちゃんとされているのだな。こういう施設は、もともと買収前の宿時代にはなかったと思う。分煙という概念が希薄な時代だから。で、わざわざ今はこういうのが用意されているのだな。

自販機1

自販機コーナー。ジュース、お酒、スナックやカップラーメンなどが売られている。夕食・朝食ともにバイキングだけど、小腹が空いたらお部屋でどうぞ。

自販機2

ビール自販機は発泡酒や第三のビールが置いてなかった。スーパードライと、ドライプレミアム。よりによって高級路線の方で品揃えを充実させちゃった。この宿、実は高級旅館なんじゃあるまいか?場違いなところに偶然格安で来ちゃったのかもしれない。

ちなみにビールは500mlで420円。1ml=1円の相場を下回っていて、決して高くない。

自販機3

ジュースの自販機。500mlペットボトルで160円なので、市井価格と一緒。

自販機で儲ける気はあまりないようだ。

廊下

カメラが結露してきた。

館内に煙が充満しているのではない。ずっと外の冷気にさらされていたカメラ内部に露が付いて、白くもやがかかったようになっているのだった。これが解消するまでしばらく待つしかない。

館内案内図

エレベーターホールに、ざっくりした館内図(縦の断面図)があった。

この「鬼怒川御苑」は大きく分けて3つの建物に分かれていて、「淡雪の館」「月光の館」「百花の館」と名づけられている。今回僕が泊まるのは、「淡雪の館」。一番安いプランなので、おそらくここが一番古い建物なのだろう。

フロントやロビーが建物3階、というのが鬼怒川ならではだ。つまり、1階と2階は崖下、というわけだ。風呂はもちろんこの崖下エリアにある。展望風呂、なんて概念はこの宿にはない。鬼怒川において一番のご馳走となる風景は、渓谷だからだ。

淡雪8階

淡雪の館は1階まで建物があるのだけど、3階でエレベーターが途切れている。そのため、1階にある露天風呂に行くためには、いったんフロントがある月光の館3階を経由していく必要がある。ややこしいので、最初は戸惑う。増改築の結果なのか、それとも崖の構造上エレベーターを設置するゆとりがなかったのか。

レンズが曇る

完全にガスる廊下

廊下

淡雪の館は8階建てなのだけど、今回は最上階の部屋があてがわれた。眺めがよさそうだ。風呂は崖下にあるのが望ましいけど、部屋はできるだけ高いところにあるにこしたことはない。

廊下はかなりラグジュアリー感漂う作り。居心地が悪くてソワソワするほどではないけど、「赤い、ペラッペラのじゅうたんが細長く敷いてある廊下」を想定していたので違和感しかない。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めまして
    コメントをさせて頂きます。
    記事に紹介されていた鬼怒川温泉の御苑で勤めていた者です。私が勤めていた頃はバブルの終わりの頃でした。
    平成4年頃~6、7年まで鬼怒川温泉のホテルの寮を借りて仕事をしていました。
    非常に懐かしいですね…御苑…本当に広いホテルで、今で言うダンジョンの様な(笑)新宿駅ほどではないですが、
    私は当時、宿泊されるお客様を部屋まで案内する仕事(フロント受付から客室案内係や繁忙期には仲居さんの
    サポートまで幅広く?仕事をしておりました。)をしていて、一度、お客様を部屋まで案内するのですが、フロントまで戻るには非常に時間が掛かっておりました。年末年始の忘年会や新年会や夏休み、冬休みなどとにかく休みを利用して来るお客様もたくさん来ていました。

    とにかく一番大変だったのは年末の忘年会シーズンですね、もう何百名との団体のお客様がどっと来るので、部屋までの案内も大変なことはさる事ながら、宴会も賑わい…もうお酒をたくさん召し上がるお客様も多かったので仲居さんだけでは、対応しきれずよくサポートにも駆り出されました。写真を拝見させて頂いてあの頃は…とつい懐かしんでしまいました、貴重な掲載して頂き写真をありがとうございました。

    今じゃ鬼怒川温泉も廃墟マニアには堪らない様な感じになってしまった様ですね、本当に懐かしい…。御苑は隠し部屋がたくさんありましたよ(笑)

  • はやぶささん>
    貴重な体験談、お聞かせいただきありがとうございます。往年の賑わいを実際に体験した方から聞けたことがとても嬉しいです。

    あの崖にへばりつくような建物、そして増改築を繰り返して巨大化した建物ははやぶささんが仰るような桁違いに大勢のお客さんがいらっしゃったたまものだと思います。炭鉱跡や金山跡が文化遺産として保存されているように、御苑のような超巨大ホテルはなんとか今後も経営が続いてほしいものです。団体旅行が減ってきてからまだそんなに時間が経っていませんが、すでに文化遺産的な珍しさと驚きに満ちた建物だと思います。

    御苑の前にある「ふれあい橋」、やたらと立派なんですがなぜあんな立派な橋があるのか、とても不思議です。

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