12:01
どんよりとした雲の下、鬼怒川温泉駅前。
こん棒を手にした金色の鬼がお出迎え。なんか悪いことしたか?俺。
がらんとした広場になっている。行楽シーズンの週末になると屋台が出店したりしているようだが、さすがに2月の平日ともなればこうなるのも仕方がない。
振り返って鬼怒川温泉駅。
駅片隅にあった「各ホテル行きバス停」。
先ほどの写真のとおり、「駅を出ればそこは温泉街」ではないというのが鬼怒川温泉。鬼怒川の渓谷に沿ってだらだらと大型旅館が連なっているため、駅からは決して近くない。そのため、共同運行の形態で送迎バスを走らせているらしい。宿単位で送迎バスをしつらえるのは無駄だと判断し、手を取り合ったのだろう。
無料ではなく、大人190円がかかるというのがちょっと微妙。
あと、運行時間が「11時58分~19時04分」というのも厳格でちょっと面白い。
駅前の広場に足湯があった。
鬼怒川には公衆浴場が1カ所(鬼怒川公園の露天風呂)しかないが、足湯はいくつかある。そのうちの一つだ。時間調整の際に使うには最適。さっそくマダムたちがあられもなく足をむき出しにしてほっこりしていた。
そもそも「宿に泊まること」と「行きの電車の予約」しか決めていない旅行。お昼ごはんをどうするかなんて、全く考えていなかった。ようやく、スペーシアの中で貰った「るるぶFREE」で鬼怒川の情報を入手する有様。でもそれくらい気が抜けている方が、今の僕にとってはちょうどいい。
で、お昼ご飯は駅前にある八家というお店で食べることにした。こんもりと丼から盛り上がったルックスが目を惹く、「日光まいたけ天丼」が気になったからだ。
しかし、そう思ったのは僕だけではなかった。同じ電車に乗っていた紳士淑女、そしてその他交通機関でやってきた人、前日鬼怒川に宿泊した人・・・とあらゆる人がこのお店に殺到。店頭に行列ができていた。卒業旅行と思われる学生さんたち10名近くが「どうする?並んでるぜ?」と相談しているのを見て、ああこりゃダメだと断念。別の店にすることにした。
12:08
駅前から南に向けて歩いていく。
途中、「鬼怒川川治温泉旅館協同組合」という建物を見つけた。「どうぞお気軽にお立ち寄り下さい」と書いてある。
ほほう、それではお気軽にお立ち寄りしてみよう。
中に入ると、鬼怒川温泉と川治温泉の地図があり、旅館がプロットされていた。
また、旅館のネームプレートの上にボタンがあり、ボタンを押すと該当する宿の位置が地図上で光る仕組みになっていた。
古い仕組みだ。それにしてもこれ、駅の構内に設置できなかったのだろうか?駅からちょっと離れたところにひっそりとあるけど、どれほど効果があるのだろうか?
旅館ネームプレートには電話番号が書いてある。ボタンを押したら宿に電話が繋がって備え付けの受話器で会話ができる、という仕組みにもなっていなかった。
ボタンはあるのだけど、ネームプレートの宿名が塗りつぶされているところがある。経営不振で閉鎖されたのだろう。鬼怒川といえば、一大温泉地として名高いけど、「廃墟旅館が立ち並ぶ場所」としても名高い。団体旅行全盛期に規模拡大をしてきた温泉地というのはみな苦労しているけど、ここもそう。この後、鬼怒川町歩きの際にそういう景色はあちこちで見ることになるだろう。
12:12
まいたけ天丼に振られた僕が次のターゲットとしたのが、「ギャラリーカフェ パントエ」というお店。ここでは、「HIMITSU豚のチャーシューサンド」という日光で作られた謎の豚肉料理が食べられるようだ。折角だから地元産の食べものにありつきたいので、まいたけがダメならHIMITSU豚だ。
宿メシについては、さすがに安い料金だしバイキングだし、あまり期待してはいけない。地元の名産品なんて贅沢を言っちゃイカンのだ。
ギャラリーカフェとはなんぞや?と思ったら、なるほどこういうことか。壁に油絵を中心とした絵画が飾ってある。こういう絵を楽しみつつ珈琲の香りも楽しむ、というのがここでの過ごし方なのだろう。
飾られている絵は非常にオーソドックスな題材と技法で、僕にとっては退屈なものだった。
とはいえ、美術館のミュージアムショップで売られている「名画のコピー品」を飾っているよりははるかに面白いので、しばらくはこの絵を見て時間を過ごした。
HIMITSU豚チャーシューサンド(中華風) 750円+ドリンク300円。
「中華風」を名乗っているのは、ソースに甜麺醤を使い、具に白髪ネギを使っているからだろう。分厚いトースト、そして間に挟まれた豊富なHIMITSU豚は見ごたえがある。
うひょう。これはいいぜ。
で、食べてみた。うん、火が隅々まで通っていてものすごく柔らかいHIMITSU豚はすばらしい。筋がなく、あくまでもさっくりほろほろと身が崩れる。
・・・が、柔らかすぎるために食べ応えがないというのはちょっと残念だった。折角の肉だし、もう少しガッチリとした食感の方が好みだ。このチャーシューサンドはお子様からお年寄りまで楽しめる柔らかさだけど、好みは分かれると思う。
コメント
コメント一覧 (2件)
初めまして
コメントをさせて頂きます。
記事に紹介されていた鬼怒川温泉の御苑で勤めていた者です。私が勤めていた頃はバブルの終わりの頃でした。
平成4年頃~6、7年まで鬼怒川温泉のホテルの寮を借りて仕事をしていました。
非常に懐かしいですね…御苑…本当に広いホテルで、今で言うダンジョンの様な(笑)新宿駅ほどではないですが、
私は当時、宿泊されるお客様を部屋まで案内する仕事(フロント受付から客室案内係や繁忙期には仲居さんの
サポートまで幅広く?仕事をしておりました。)をしていて、一度、お客様を部屋まで案内するのですが、フロントまで戻るには非常に時間が掛かっておりました。年末年始の忘年会や新年会や夏休み、冬休みなどとにかく休みを利用して来るお客様もたくさん来ていました。
とにかく一番大変だったのは年末の忘年会シーズンですね、もう何百名との団体のお客様がどっと来るので、部屋までの案内も大変なことはさる事ながら、宴会も賑わい…もうお酒をたくさん召し上がるお客様も多かったので仲居さんだけでは、対応しきれずよくサポートにも駆り出されました。写真を拝見させて頂いてあの頃は…とつい懐かしんでしまいました、貴重な掲載して頂き写真をありがとうございました。
今じゃ鬼怒川温泉も廃墟マニアには堪らない様な感じになってしまった様ですね、本当に懐かしい…。御苑は隠し部屋がたくさんありましたよ(笑)
はやぶささん>
貴重な体験談、お聞かせいただきありがとうございます。往年の賑わいを実際に体験した方から聞けたことがとても嬉しいです。
あの崖にへばりつくような建物、そして増改築を繰り返して巨大化した建物ははやぶささんが仰るような桁違いに大勢のお客さんがいらっしゃったたまものだと思います。炭鉱跡や金山跡が文化遺産として保存されているように、御苑のような超巨大ホテルはなんとか今後も経営が続いてほしいものです。団体旅行が減ってきてからまだそんなに時間が経っていませんが、すでに文化遺産的な珍しさと驚きに満ちた建物だと思います。
御苑の前にある「ふれあい橋」、やたらと立派なんですがなぜあんな立派な橋があるのか、とても不思議です。