栄枯盛衰を温泉地で見た【鬼怒川温泉】

この建物は何だろう?

13:49
「ニューさくら」の対面にある巨大な建物。なんだこれ?

小雨が降ったり止んだりするどんよりした天気であることも相まって、不気味に見える。

廃墟・・・?よくわからない。マンションのようだが、さすがにこの天気で洗濯物を外に出しているひとはおらず、気配が感じられない。コンクリートの外壁が武骨だ。

大きな建物なので、威圧感がある。

地図で調べて見たら、鬼怒川温泉マンションという建物らしい。やはりマンションだった。

後日あらためてネットで調べてみた。リゾートマンションのような位置づけらしい。1976年建築と記されている不動産サイトがあったり、1978年としているサイトもあるので正確な築年数は不明。しかし、いずれにせよ40年近くが経過しているのは間違いないのだろう。

間取りは1Kからあるようだ。借りると1カ月で4万円弱。・・・結構高いな。売りにも出されているようだが、僕が見た限りでは35万円~450万円のレンジだった。買う人、いるのだろうか?

大きなホテル

今や伊東園ホテルズのチェーンになっているニューさくら。かなり巨大だ。これだけの巨大ホテル、稼働率が下がったらあっという間に維持費用が経営を圧迫してギブアップしてしまうだろう。冬は寒い土地なんだし、館内をくまなく暖房するだけで一体どれだけのコストがかかることやら。

一部閉鎖中

そんなわけで、ニューさくらの一部はごらんの通り閉鎖。見栄えは悪いが、経営を成り立たせるためには必要な措置だろう。

源泉

ニューさくらの傍らで、「大滝の湯」と称する源泉が出ていた。アルカリ性単純泉、PH9.1、湯温51度。

失礼ながら、「鬼怒川というのは源泉が既に枯渇していて、井戸水を湧かして使っている」という噂を聞いたことがある。根拠がないデマではあるけど、確かに鬼怒川温泉というのは「温泉に入っているなぁ」と感嘆するほど魅力的なお湯と思ったことがない。僕の私見だけど。

しかしどうだ、こうやってとうとうとお湯が沸いているじゃないか。なんだなんだ、どこから出てきたんだ「枯渇」話は。ちゃんとお湯が沸いているぞ。しかも、こうやってジャブジャブ道路脇でディスプレイできるくらいにはお湯に余裕があるのだろう。

とはいえ、これだけ巨大旅館が軒を連ねていて、各旅館ごとに贅を尽くした大浴場が設けられている。いくらお湯があっても足りるということはないのだろう。

通り

バス通りを歩いて行く。

鬼怒川御苑

13:54
鬼怒川御苑。名前だけ見ると普通のお宿だが、これが本日の宿泊地だ。大江戸温泉物語が買収した宿。宿名はそのまま残し、経営がそっくり大江戸温泉物語に切り替わったのだろう。

階段を下りる

鬼怒川御苑の手前に、川をまたぐ橋に通じる階段がある。

まだチェックインするには早いので、さらに町歩きを続けようと思う。次は川向こうに渡るぞ。

ホテル

きぬがわ温泉ふれあい橋、と名付けられた橋を渡る。

川の対岸に大きなホテルが見える。あれは・・・現役だな、電気が灯っているのが見える。

鬼怒川に到着してこの方、まずは「廃墟かどうか」というのを気にするようになっている。まずそういう判断基準で建物を見ないといけないといのが、鬼怒川の現状だ。

それにしてもデカいホテルだ。低層階部分が広く、大宴会場どころか体育館があるんじゃないか?というくらい大きい。「鬼怒川観光ホテル」という名前らしい。

後で知ったのだが、ここもまた大江戸温泉物語チェーンだった。ああ、一度経営が立ちゆかなくなったのか。やっぱりなあ・・・。

それにしても、川を挟んですぐ対面に大江戸温泉物語グループの巨大宿が2軒もあるとは。お互い集客がバッティングして共倒れしてしまわないのだろうか?それだけ現在のビジネスモデルに勝算がある、ということなのか。

大江戸温泉物語がどういう旅館経営をやっているのか、この後しっかりと宿泊客として体験してみたい。

川沿いのホテル

鬼怒川の渓谷沿いにへばりつくように建つ巨大旅館群。

やっぱりここでも、「廃墟かどうか」の品定めがまずは行われる。

そういう意味では、見ていて飽きない景色ではある。地元の人にとっては不名誉この上ないと思うけど。

崖の一部をコンクリで固めてでも建物をせり出しているのは、昔の時代のガツガツした雰囲気を色濃く感じさせる。今だったら、景観を守れ!ってことで反対運動が起こるから、こういう建築は無理だろう。そもそも、地震や洪水のことを考えて、今だとこういう建物は作りづらいだろうし。

建物そのものが崖にせり出しているのに加え、ご自慢の風呂は渓谷ビューだ。そのため、ホテルの最下部、まさに崖そのまんまな場所に湯屋とおぼしき建物が建っているのがわかる。そういうのをいちいち紐解いて観察するのは、時間を忘れさせる楽しさだ。

御苑遠景

橋から今晩の宿「鬼怒川御苑」を振り返ったところ。

げえ、実はこの宿、相当にデカいぞ。デカいなんてもんじゃない、空母並の規模じゃないか。戦争反対!

増改築を繰り返したというのが一目でわかる建物群。昔はイケイケでどんどん客室を増やしていったんだろうな。それに見合う集客がグイグイあったんだろう。しかし規模を拡大しすぎて、結局経営を他企業に任せることになる。栄枯盛衰だ。

とはいえ、バトンタッチされた大江戸温泉物語は今こうして積極的に経営をやっているわけだ。先ほど見た伊東園ホテルもそうだし、ホテル三日月だってそう。一体どういうからくりだ?建物をこしらえる初期費用が不要だから安くできる、というのはよくわかる。とはいえ、こんな「一度は死に体にまでなった巨大建造物」を維持していくのは大変なことだ。

橋の上から鬼怒川

まあいい、今すぐ答えなんて出るわけがない。

探検を続けよう。

ホテル街

14:01
鬼怒川温泉の町散策は続く。

道がさほど広くないのに、渓谷沿いのホテルはやたらとでかい。

ホテルが近づいてくるたびに、「このホテルは営業しているだろうか・・・」と建物の外観、敷地内の様子を細かく観察する。営業していたとしても、買収されて新しい経営に鞍替えした形跡がないか、も気になる。

別にそんなことを知ったからといって何か良いことがあるわけでもない。また、人のあら探しをしているわけでもない。でも、ただ漠然と健康のためにお散歩しているわけではないので、道行く先で見かけた光景にはそれなりに興味を持って接している。それだけのことだ。

右手に見える宿は「ものぐさの宿 花千歳」という宿だった。営業中。素泊まりプランはお一人様2,016円~であるらしい。素泊まりとはいえ、恐るべき値段設定だ。さすがにこの「2,016円」が適用となる条件はかなり厳しいと思うが。

玉の湯

鬼怒川プラザホテル、これもデカい。

というか、鬼怒川というのはデカくなければホテルではないのか?というくらい、本当に規模の論理で宿が競い合っている。小さな宿も中にはあるけど、その数は少ない。

ホテルの前には、大きな石の玉があり、そこからお湯が沸いていた。

玉の湯解説

宝の湯、という名前らしい。

この解説によると、昔は鬼怒川の東岸を「藤原温泉」、西岸を「滝温泉」と呼んでいて、滝温泉エリアにあるこの宝の湯は鬼怒川温泉発祥の湯でもあるという。毎分300リットルも湧出しているというから、かなり驚いた。えっ、そんなに出てるの!?申し訳ない、「鬼怒川=塩素くさい温泉」という先入観しかなかったけど、考えを改めないといけないかもしれない。

飲食店

このあたりは、川沿いには大型ホテル、道路を挟んで山側には小さなお店があったりする。ただ、「温泉街」と呼ぶほど風情があるわけではない。

そりゃそうだ、ここまでホテルがデカいと、宿泊客は外に出る気が失せる。旅館内で完結してしまう。

通りを歩く

町歩き続行。右手に見える一心館というホテルも、もちろん営業中。

橋

14:06
鬼怒川をまたぐ橋がまたあった。ここも先ほどの橋同様、やたらと歩道が広い。彫刻が身体をくねらせてお出迎え。

正面に茶色い外壁のホテルが見える。橋の正面に堂々と構えていて、規模は中型ながらも立派に見える・・・が、よく見るとあちこちの客室の窓ガラスが割れていた。ああ!あれも廃墟なのか!

廃墟というのはひっそりとあるもの、という常識を打ち破る堂々っぷり。「まさか廃墟ではあるまい」と油断していたので、割れたガラスを発見したときはゾッとした。

橋の上から

橋の上から、鬼怒川上流を見やる。

西岸にはまだまだ大型ホテルが建ち並ぶ。既にこのあたりは、鬼怒川温泉駅からだと歩いて行くのはちょっと厳しい。送迎バスありきの位置となる。それでも堂々と宿があるのだから、大したものだ。昔はバンバン送迎バスが駅とホテルとの間を行き交っていたのだろう。いや、それは今でも一緒か?今でも営業しているからには、そういうことなのだろう。

古びた建物

「政府登録」という言葉が今となってはレトロ感ある、鬼怒川温泉ホテル。

1949年に制定された「国際観光ホテル整備法」に基づいて登録されたホテルのことを指す。

さすがに古い法律なので、基準というのが

  • 浴室は自由にシャワーの温度を変えられること。
  • トイレは水洗式かつ洋式便器であること。

といったものであり、今となっては当たり前のものが多い。しかし、昔はこの「政府登録」が一つの目安となって、外国人観光客は宿を探したのだろう。

鬼怒川温泉ホテルは・・・営業しているっぽい。

橋の上から

振り返って、先ほど通り過ぎた「一心館」と「鬼怒川プラザホテル」を見る。

鬼怒川プラザホテルはかなり立派に見える。立派、というか建物がくすんだ感じがしない。大規模修繕を行っているのかもしれない。最近出来た全く新しい宿です、というわけではあるまい。



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