栄枯盛衰を温泉地で見た【鬼怒川温泉】

巨大ホテル

13:38
あれ?

ちょうど鬼怒川温泉駅の正面に位置する場所に大きな旅館があるのだが、ここは「ホテル三日月」だった。「ホテル三日月」といえば、鴨川、勝浦、木更津といった千葉県の房総半島にある巨大旅館のイメージだったけど、いつの間に鬼怒川にもあっただなんて。しかも駅前一等地。

これも倒産ホテルを安く買ったのか?と思ったけど、それにしては堂々としすぎている。きっともともとあったんだろうな。でも、それにしては唐突過ぎる。なんでいきなり千葉県地盤のホテルチェーンなのに、鬼怒川に?

噴水

ホテルの前には噴水が備わっているプールがあった。

シーズンオフのプールのようにしょぼくれた感じになっている。ハイシーズンになれば、もう少し見栄えがよくなるのだろうか?

お金がかかるからメンテナンスを諦めたのかと思ったが、時折ぴょーっと水鉄砲のような水がプールから吹き上がっているのが見えた。どうやら現役で稼動しているらしい。「しょぼくれている」なんて感想を持ってしまって、ごめん。

水面にゴツゴツした機材が丸見えで、それが「メンテナンスしてないっぽさ」を感じさせた。しかし、おそらくこれは夜間ライトアップ用の照明なのだろう。夜になると、噴水とあわせて幻想的な面持ちになるのだと思う。きっとそうだ。ただし、昼間見ても見栄えが良いものではない。

ペットホテル

ホテルの車寄せ下に、「ワンダーホテル」と書かれた入口があった。ペットホテルがあるらしい。

へえ!温泉旅行にワンちゃん同行で、ワンちゃんはホテル内の犬専用ホテルエリアにてお預かり、か。そりゃいいや。

それにしても、あらためてこの建物を見ると巨大だ。駅前一等地だから集客に自信あり、ガツンとぶちかましてやったぜ!ということなんだろうけど・・・このご時勢、これだけの規模の客室を埋めることなんてできるのだろうか?維持管理コストだけで、儲けが吹っ飛んでしまいそうだ。

・・・と思ったら、あらびっくり。ここはちょいと前までは「ホテルニュー岡部」だったのだという。「ホテルニュー岡部」といえば、塩原(栃木県)や伊東(静岡県)に拠点を持ち、関東エリアでは頻繁にTVCMを流してそのメロディは誰しもが知る、というくらいの有名な宿だ。それがいつの間にか凋落していたとは。鬼怒川のホテルニュー岡部はホテル三日月に買収され、塩原と伊東は大江戸温泉物語に買収。時代は流れる。

でも、「買い叩かれ」かもしれないけど、売る相手がいるだけまだマシだ。鬼怒川温泉の負の遺産である「廃墟旅館群」は誰にも相手にされなかった成れの果てなのだから。

鬼怒川ライン下り

わざと大通りを通らず、普通の路地を歩く。

ホテル三日月の脇に、「鬼怒川ライン下り」の看板を発見した。そうか、川下りがあるのだな鬼怒川には。最近、若者相手にしたラフティングが鬼怒川で人気、と聞いたことがあるけど、ちゃんとこういう昔ながらの川下り船もある。

それにしても、この文字のフォントは古めかしい。今でも十分味わい深い、21世紀では使われないフォントではある。しかしまだ「古ぼけている」「ださい」の域を超えていない気がする。あともう20年くらいそのまま我慢して使っていれば、一回りして「レトロ感溢れていてクール」になると思う。頑張れ。

ライン下りは営業していない

ありゃー。

折角だから川下りの船着場まで行ってみようかと思ったけど、看板が出ていた。

鬼怒川ライン下りの営業は11月23日で終了となりました。
来シーズンは4月中旬より営業となります。

さすがにこんな厳冬期に冷涼感満点の川下りなんてやる人はいないか。そもそも観光客自体が少ない季節なんだし。

ホテル

金谷ホテル鬼怒川。

日光にある有名なホテル、「金谷ホテル」の鬼怒川版。こんなところにもあるとは知らなかった。まさかこれも倒産したホテルを買い取ったのか?と思ったが、そんなことはなく元から金谷ホテルだ。

このホテルのパンはおいしいと評判で、日光のあちこちで金谷ホテルベーカリーが出店している。一度も食べたことがないので、今回の旅行のお土産で買ってもいいかもしれない。

EVチャージ

「EV QUICK」という看板が掲げられた駐車場。充電器付き。

最近、急激にこういうPHVまたは電気自動車向けの駐車場が増えている気がする。この写真を撮影したのは、「おっ、最近の旅館業というのはこういうこともやっているのか!」と驚いたからだ。しかし、この後しばらく続く町歩きの最中にいたるところで同じものを見かけ、「単に自分が無知だっただけ」に気づかされた。助成金が出るからだろうが、観光地ではけっこうこの手の施設が当たり前になりつつあるのだな。

EVチャージ機

非接触式の会員ICカードでの認証・支払いとなるようだ。非会員は「1~5分まで250円、以降1分おきに50円(税別)」という料金となる。

充電器の取説

充電時間の目安が書いてあり、三菱i-MiEVだと45分程度、日産LEAFで60分。あれ?このチャージスルゾゥは一回30分までしか充電できないんだけど、30分過ぎたらもう一度最初から認証・決裁をせよ、ということだろうか。

LEAFの場合、バッテリーがもしすっからかんの状態で、満タン充電しようとすると60分かかるので・・・3,000円。LEAFは一回の航続距離が300kmも行かないので、どんなに頑張っても1キロあたり10円の燃料費がかかるということになる。これはかなり高い。

ガソリン車の場合、ガソリン代がリッターあたり110円だとして、現在だとLEAFクラスのサイズの車ならリッター20キロは走れる。つまり、ガソリン車だと1キロ5.5円のコストということになる。

うーん、現時点では電気自動車というのはCO2排出が少なくてエコっぽいというだけで、消費者レベルではメリットが薄い車のように見える。いずれは劣化するバッテリー交換コストも含めて、ガソリン車よりも安くならないとちょっとお得感は感じられない。まあ、かなりそれは難しい話ではあるけど。

ホテル

こうやって大きなホテルを横とか裏から見るのは本当に好きだ。油断した景色がそこには広がっているからだ。あと、大型ホテルならではの増改築。ごちゃっとした作りが面白い。どういう順番で増改築されたのだろう?なんて考えるのはパズル的でもある。

渡り廊下のような場所が見えるが、どうしてこういう廊下の作りになったのだろう?
建物同士のフロアの高さがあっていないのはなぜだろう?

そういうのが、楽しい。

またここも7,800円ホテル

大通り(会津西街道)に回り込んでみると、この宿の名前がわかった。「伊藤園ホテル ニューさくら」と書いてある。あっ、この看板!さっきも見たぞ。鬼怒川ロイヤルホテルと同じ、そっけない青い看板。そして、「一泊二食飲み放題付き」で7,800円という破格値。ここも買収されたのかー。

買収先は、「伊藤園ホテル」だった。この名前、聞いたことはあるけどよく知らない。伊豆半島の伊東を拠点にしているホテルじゃないのか?

後で調べて実情を知ったのだが、現在大絶賛急拡大中のホテルチェーンで、やはり倒産した全国各地のホテルを買い取り、リニューアルして廉価で提供しているらしい。大江戸温泉物語グループと同じだ。

大江戸温泉物語が宿によって変則的な値づけをしているのに対し、ここ伊藤園ホテルは完全に全国一律料金のようだ。なので、もともとが立派なホテルだった場合、7,800円にしちゃありえないくらい贅沢な施設ということもあるだろう。逆に、値段相応なホテルだってあるかもしれない。当たり外れは結構ありそうだけど、7,800円という値段である以上、「外れ」ということはなさそうだ。この値段で文句を言ったらイカン。

経営が伊藤園ホテルズに移ったとはいえ、さすがにこの大型施設はもてあましたらしい。道路に面した建物の一部は使っていないようで、がらんとしていた。身の丈にあった経営規模にしているのだろう。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めまして
    コメントをさせて頂きます。
    記事に紹介されていた鬼怒川温泉の御苑で勤めていた者です。私が勤めていた頃はバブルの終わりの頃でした。
    平成4年頃~6、7年まで鬼怒川温泉のホテルの寮を借りて仕事をしていました。
    非常に懐かしいですね…御苑…本当に広いホテルで、今で言うダンジョンの様な(笑)新宿駅ほどではないですが、
    私は当時、宿泊されるお客様を部屋まで案内する仕事(フロント受付から客室案内係や繁忙期には仲居さんの
    サポートまで幅広く?仕事をしておりました。)をしていて、一度、お客様を部屋まで案内するのですが、フロントまで戻るには非常に時間が掛かっておりました。年末年始の忘年会や新年会や夏休み、冬休みなどとにかく休みを利用して来るお客様もたくさん来ていました。

    とにかく一番大変だったのは年末の忘年会シーズンですね、もう何百名との団体のお客様がどっと来るので、部屋までの案内も大変なことはさる事ながら、宴会も賑わい…もうお酒をたくさん召し上がるお客様も多かったので仲居さんだけでは、対応しきれずよくサポートにも駆り出されました。写真を拝見させて頂いてあの頃は…とつい懐かしんでしまいました、貴重な掲載して頂き写真をありがとうございました。

    今じゃ鬼怒川温泉も廃墟マニアには堪らない様な感じになってしまった様ですね、本当に懐かしい…。御苑は隠し部屋がたくさんありましたよ(笑)

  • はやぶささん>
    貴重な体験談、お聞かせいただきありがとうございます。往年の賑わいを実際に体験した方から聞けたことがとても嬉しいです。

    あの崖にへばりつくような建物、そして増改築を繰り返して巨大化した建物ははやぶささんが仰るような桁違いに大勢のお客さんがいらっしゃったたまものだと思います。炭鉱跡や金山跡が文化遺産として保存されているように、御苑のような超巨大ホテルはなんとか今後も経営が続いてほしいものです。団体旅行が減ってきてからまだそんなに時間が経っていませんが、すでに文化遺産的な珍しさと驚きに満ちた建物だと思います。

    御苑の前にある「ふれあい橋」、やたらと立派なんですがなぜあんな立派な橋があるのか、とても不思議です。

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