
大浴場に行ってみる。まず玄関となる場所からして、広い。
大浴場がどうだったかは覚えていない。広かったと思う、うん。さすがに大浴場にはお客さんがいっぱいいて、写真撮影なんてとんでもなかった。
もう今や嬉し楽しい夕食タイムになっているのに、玄関先にはスリッパがたくさん。それだけまだ、入浴している人がいるということだ。やはり大きなホテルなので、宿泊客そのものが多い。
温泉はやっぱり塩素臭い。泉質そのものを楽しみに鬼怒川を訪れる人はそもそもいないだろうが、そうはいっても「温泉」と名がつく以上それなりの期待をしてしまう。しかし、これだけ塩素っぽかったら、近所のスーパー銭湯の方が良いのではないか?と思ってしまう。
あくまでも「今は既に時代遅れとなりつつある大型ホテルを、今だからこそ敢えて楽しむ」というサブカル的発想に立つのが正しいと思う。

百花8階に行ってみる。これでこのホテルはほぼ全部見たことになる。
新館にあたる百花館は9階建てなのだけど、その8階部分の内側が会議室になっていた。建物の外周部分は客室で、廊下の内側が会議室という構成。なので会議室には窓がない。会議室の入口には名札があって、それを見るとどうやら現在、大学のゼミが利用しているらしい。
講義や会議をやって、その後宿に泊まって温泉に浸かって、メシ食って酒を飲む・・・という段取りか。それはいいよな。しかし、本当に宿から一歩も出ないままこの合宿が終わってしまう。外出したって、行く場所がないし、ホテル内ですべてのことが完結してしまう。

会議室の案内表示。
「VIP会議室 華厳」の案内が見える。会議室にもVIP向けというのがあるのか!「華厳(けごん)」という名前も、VIPっぽい。
おそらく、召使いが常駐していて、マイクやプロジェクターの調整とか、ホワイトボードを消したりするんだろう。あと、椅子は全部マッサージチェアとか。
ダメだ、発想が貧困すぎる。「VIP」扱いされたことがないから、想像に限界がある。

19:15
そろそろお食事処へGO。本日のメインイベント中のメインイベントだ。バイキング!食べ放題!そしてソフトドリンク飲み放題!さあ、食べるぞ。
一人で黙々とバイキングというのは、端から見てると随分「ぼっち」感があるだろう。それは否定しないが、一人メシに全然抵抗がない僕としては全く引け目がない。「好きなタイミングで、好きな量、食べるぜエエエエッ!」と気負うならば、むしろ一人は望むところだ。
手元の食券では、僕が指定した夕食時間は「19:15~21:00」となっている。本来なら、こんな指定時刻ぴったりに食事処には行きたくなかった。なんだかがっついているようだからだ。飢えているオッサンは見苦しい。痩せていて飢えているなら同情するが、僕みたいに小太りでザ・オッサン面した浴衣のとっつぁんが「メシだメシ!」とソワソワしているのは大変にうっとおしい。やはり、自意識過剰と言われようとも、「・・・ああ、もうメシの時間?しょうがないな、ちょっくらかっこんでくるか。」程度のそっけなさが欲しい。それが大人のたしなみというものだ。
とはいえ、19時15分ちょうどに現地入りしたのは、フロントで「早い時間に行ったほうが良い」とアドバイスを受けていたからだ。そのほうが混まないらしい。さらに、遅い時間になったら、ひょっとしたら品切れになった商品が補充されないかもしれない。食べ損ねるというのはとてつもなく悔しいことなので、食材がちゃんと補充される時間帯に滞在したいものだ。
そんなわけで、19:15。
入口のところではスタッフさんがやってきた宿泊客を交通整理している。しばらく順番待ちをし、自分が案内されるのを待つ。

うわぁ・・・。これはすごい。
料理がずらっと並んでいるぞ。カウンター一列で、右から左へジリジリとスライドしていけば全種類取れる、という類ではない。カウンターだけでなく、島型に料理テーブルが並ぶ。こりゃあ、全部食べるのは大変だぞ。
全部食べなくて良いのだけど、どうして未だに「全部」ということを気にするのかね。決して卑しい育ちではないはずなのに。

一方、客席はこちら。
ずらーっと並ぶ椅子と机。

北海道グルメフェア、というのはポスターだけの見掛け倒しかと思ったけど、本当に現地で大々的にやっていた。ちゃんちゃん焼き!ジンギスカン!イカ!松前漬!その他もろもろ!

いろいろ並んでいて、もうどうにでもして状態。
この手のバイキングの場合、汁物というのは鬼門だ。平皿に盛るわけにはいかないので、小さな取り皿を別途用意しないといけないが、トレイに乗り切らない。
それがどうだ、ここには何種類もの鍋が並んでいるじゃないか。やあ、一体僕は何往復すればいいの?
往復しなくてもいいけど、でもする。いや、やめとけって。いやいや、やるって。
一人で自問自答。
ありきたりな寄せ鍋っぽいものなら「まあ、食べなくてもいいや」という気持ちになるかもしれない。しかし、「花椒鍋」なんていうちょっと見慣れない鍋があったりするので、やっぱり気を引き締めて「全部取ります、取らせていただきます」と誓う。

寿司もずらり。
ちらし寿司は取らなくてもいいかなー、握りずしがあるし。
と思いつつも、ついつい取ってしまうのが悲しい。取らずにはおれんのですよ。

「もうご飯ものは寿司をいくつも取ったからいらんぞ?やめとけ?」と思っていたのだけど、「栃木県産コシヒカリ」なんて絵付きで紹介されていたら、がぜん欲しくなる。
「カレー?カレーライスなんて食べるのが、一番損なんだよ。お子様向けのハッタリだよな」
と鼻で笑っていたのだけど、よく見るとこれが「北海道グルメフェア スープカレー」だったりする。「スープカレー!しかも期間限定のグルメフェアだし。じゃあ折角だからこれも」なんてやりだすと、もうきりがない。いかんいかん、僕は今晩一体どれだけ食べれば良いの?

コーヒーとかソフトクリームとか、そういうものも食べ放題。
さすがに夜だからコーヒーを飲むのは控えたいが、ソフトクリームはぜひとも控えたくないものだな。食事のシメとしていただこう。

ソフトドリンクもいろいろと。
アルコール飲み放題は当然有料だけど、ソフトドリンクは無料。この中にノンアルコールビールがあればいいのに。ノンアルコールビール飲み放題、って居酒屋とかでもあんまり見たことがない。
コメント
コメント一覧 (2件)
初めまして
コメントをさせて頂きます。
記事に紹介されていた鬼怒川温泉の御苑で勤めていた者です。私が勤めていた頃はバブルの終わりの頃でした。
平成4年頃~6、7年まで鬼怒川温泉のホテルの寮を借りて仕事をしていました。
非常に懐かしいですね…御苑…本当に広いホテルで、今で言うダンジョンの様な(笑)新宿駅ほどではないですが、
私は当時、宿泊されるお客様を部屋まで案内する仕事(フロント受付から客室案内係や繁忙期には仲居さんの
サポートまで幅広く?仕事をしておりました。)をしていて、一度、お客様を部屋まで案内するのですが、フロントまで戻るには非常に時間が掛かっておりました。年末年始の忘年会や新年会や夏休み、冬休みなどとにかく休みを利用して来るお客様もたくさん来ていました。
とにかく一番大変だったのは年末の忘年会シーズンですね、もう何百名との団体のお客様がどっと来るので、部屋までの案内も大変なことはさる事ながら、宴会も賑わい…もうお酒をたくさん召し上がるお客様も多かったので仲居さんだけでは、対応しきれずよくサポートにも駆り出されました。写真を拝見させて頂いてあの頃は…とつい懐かしんでしまいました、貴重な掲載して頂き写真をありがとうございました。
今じゃ鬼怒川温泉も廃墟マニアには堪らない様な感じになってしまった様ですね、本当に懐かしい…。御苑は隠し部屋がたくさんありましたよ(笑)
はやぶささん>
貴重な体験談、お聞かせいただきありがとうございます。往年の賑わいを実際に体験した方から聞けたことがとても嬉しいです。
あの崖にへばりつくような建物、そして増改築を繰り返して巨大化した建物ははやぶささんが仰るような桁違いに大勢のお客さんがいらっしゃったたまものだと思います。炭鉱跡や金山跡が文化遺産として保存されているように、御苑のような超巨大ホテルはなんとか今後も経営が続いてほしいものです。団体旅行が減ってきてからまだそんなに時間が経っていませんが、すでに文化遺産的な珍しさと驚きに満ちた建物だと思います。
御苑の前にある「ふれあい橋」、やたらと立派なんですがなぜあんな立派な橋があるのか、とても不思議です。