栄枯盛衰を温泉地で見た【鬼怒川温泉】

油元

日光物産協会の真向かいにあるのが、「油源」。先ほど見かけた油源の建物は営業していなかったが、こちらはきっちり営業中。

これまで数多くの湯波料理の誘惑を断ち切り、ここまでせっせと歩いてきたのは、油源で湯波を食べりゃ全てが丸く収まるのではないか?と思っていたからだ。いや、油源なるお店がどれだけスゲエのかは全く知らないんだけど、なんか歴史と風格と評判がありそうな気がしたので、つい。

僕は最近、ますます事前にネットやら雑誌で作戦を練らなくなってきている。だから、「油源」というキーワードで「なんかうまそう!そこにしよう!」と脊髄反射している。本当にこれでいいのかわからないけど、まあいいや。ネチネチと作戦会議をやっていたら、また僕の精神が疲弊して体調を崩してしまう。何も考えずに行動した方がいい。それがここ数ヶ月の温泉療養で学んだことだ。

しかし、店頭に「甘味ゆば」という看板が出ていたのを見て、さすがに肝が冷えた。お昼ご飯を期待してやってきたのに、甘味しかありませんでした、というのは切なすぎるからだ。「あんみつの中に湯波がはいっております」とか、「湯波ぜんざいでございます」とか言われても、それを昼飯にするのはイヤだ。

油元メニュー

でも落ち着け、ちゃんと湯波料理があるぞ。

「湯波づくし膳 1,450円」。

尽くされてるぞオイ。尽くされるのって、悪い気はしないものだ。尽くす女、尽くす湯波。ああ、そういうものに取り囲まれて暮らしてぇ。

「尽くす女」が自分にかいがいしく寄り添うためには、まずは僕が頑張らないと。ふんぞり返っていてもそんな境地には立てないので、自分磨きを明日から頑張る。10年後には「尽くす女」がそばにいてくれますように。

それは先の課題として、とりあえず「湯波」には尽くされようと思う。少なくともこれなら、ちょっとした散財で得られる幸せだ。女だってカネを出せば尽くしてくれるって?やめろやめろ、そんなゲスいことを考えてはいかん。

このお店でも、昨日鬼怒川で食べた「HIMITSU豚」のメニューがあった。どうやらこの界隈で猛烈にプッシュしているブランド豚らしい。HIMITSU豚のチャーシュー丼、だって。昨日がチャーシューサンドだったので、二日連続和洋メニューでHIMITSU豚三昧・・・というのもちょっと面白い。面白いけど、あんまり嬉しくないからやらない。湯波だ、初志貫徹で湯波づくしでお願いします。

油元店内

料理が届くまでの間、店内を見渡す。

お土産品を売る冷蔵棚に囲まれた店内。食事処というのはあくまでもこのお店の一部に過ぎないようだ。席数自体は少ない。

厳冬期の平日だからこの有様だけど、観光シーズンになったら行列が出来る立地だ。その割には、1,450円で湯波づくしというのは嬉しい。観光地なら、調子に乗って2,000円くらいのメニューをバーンと打ち出しても何ら不思議じゃないのに。

油元冷蔵ケース

冷蔵棚を見ると、湯波がいろいろ、紫蘇巻き唐辛子、たまり漬けなどいろいろ売られている。油源って、湯波屋さんじゃないんだな。今頃知った。

そんな中、山椒の佃煮が売られていることに気がついた。山椒、旨いんだよな。ぴりっとしていて、ご飯が進む。単に塩辛けりゃいいだろ、っていうまずい佃煮と一緒にしちゃいけない。こいつァ佃煮ならではの重厚さと、山椒ならではの華やかさを同時に発揮する優れたヤツよ。滅多に口にすることはないのだが、絶品だよな、ほんと好き。

しかしお値段が素晴らしいのですよ。「山椒若葉煮」が60gで1,080円、120gで2,160円。おい、たった60グラムで夏目漱石さん一人の価値になるんだぞ?高いだろさすがに。ご飯をモリモリ食べたら、あっという間に一回で10グラム以上は食べてしまう。金持ちだ、こんなのをぱくぱく食べられるのは真の金持ちだと思う。

くやしいのぅ、ワシの財力じゃあちょっと手が出んのぅ、と指をくわえてみていたら、隣に「実山椒佃煮」という別の商品があった。こちらは70gで680円。おっ、安い!・・・いや、これだってかなりお高いんですけどね。でも、相対的に安い。

結局、買っちゃった、実山椒佃煮。70グラムじゃ少ない、折角だからあともう一袋!とも思ったけど、さすがにそれは貴族階級の娯楽に等しく、やめておいた。まあ、旨かったらまたどこかで買えばよかろう。これだけの老舗だし、都心のデパ地下のどこかに出店があるだろ。

・・・後日、家でこの実山椒佃煮を食べたのだが、「しまったァァァ!」と飛び上がる事態になった。「旨いに違いない」という想像を遙かに上回る、超絶のうまさだったからだ。これはいかん、エンゲル係数がストップ高になってもやむなし、というくらいにすぐ追加の注文がしたくなったほどだ。

が、油源は都心にお店なんてなかったし、オンラインショップもなかった。日光で買うしか、すべはないのだった。ギャー。また今度、いつ日光に行くかわからないけど、そのときには!そのときには・・・ぐぬぬ。

【後日談】2016年、この油源を再訪する機会があったのだけど、「実山椒佃煮」は売られておらず、お高い「山椒若葉煮」しか取り扱いがなかった。やっぱり今度も、その値段を前に撃退され、すごすごと手ぶらで引き下がることになった。

油元食事

そんな後日談があるとはつゆ知らず、この時点の僕は無邪気に湯波に尽くされまくってご満悦ですよモウ。

ゆばと野菜のふんわり豆腐餡かけ、ゆば卯の花、生湯波の刺身、揚巻ゆばの煮付け、栃木牛時雨煮、寄せ湯波の山椒味噌添え・・・という品揃え。おっと、お味噌汁にも湯波が入っていたっけ。

いろいろな調理法でいただく湯波は、いちいち「おおう」「そうきたか」「厳しいッ!その攻め方はきわどいッ!」などと唸らされる。量は多いけど、淡泊な湯葉なのでぱくぱく食べられておなかにはちょうどいい。牛肉のしぐれ煮が入っているのでちょっとこってりした料理もあって満足度はかなり高い。いやぁ、いいもん食べたわー。途中で別のお店に浮気しなくて良かった。他店と比べてこのお店がNo.1なのかどうかはわからないけど、少なくともこれ以上ない大満足だった。

東照宮手前の標識

さあ、あらためて先に向かおう。道路標識には「世界遺産日光の社寺」という文字が見える。

そういえば、日光には何度も訪れているし、訪日中の外国の友人を連れて行ったこともある。しかし毎度毎度、拝観料に怖じけ付いて肝心の社殿を拝んだことがない。境内をウロチョロした程度だ。

今回一人旅だし、こういう時だからこそお寺参りをすればよいのではないか?とも思った。誰かと一緒だと、大抵の人は「日光東照宮?見たことある」と言って、二度目三度目の訪問をいやがるからだ。誰もが、ここの拝観料には及び腰だ。

しかし今回もまたご縁がなかったようで、東照宮はスルー。見ざる・聞かざるですよ。

店長おすすめ

途中で見かけたお店の看板。おっと、ゆば御膳がここだと2,200円だ。店長お薦め、だって。そりゃそうだろう、2,200円もお客様から頂戴できりゃ、店長だって鼻息荒く腕まくりしちゃうよ。さぞやイイモン喰わせることができるだろう。

さっきの油源で食べたゆばづくし膳1,450円と単純比較するわけにはいかないけど、「折角日光なんだし、湯波食べたいよね」という単なる思いつき程度であれば、安い定食で構わないと思う。2,200円出さなけりゃ湯波が食べられない、というわけではない。

神橋

神橋。

「日本三大奇橋」の一つ。初めてこの橋の事を知ったのは、アワレみ隊の「日本三大の旅」だ。そのとき、「山梨県の猿橋」「富山県の愛本刎橋」とともに、この「栃木県の神橋」は訪問したものだ。もっとも、「日本三大の旅」のときは修理中で完全に覆われていたし、車で素通りしただけだったけど。

神橋の「渡橋」には300円のお金が必要となる。そのせいで、誰もこの敷地内には足を踏み入れていなかった。

神橋

神橋。「日本三大奇橋」と呼ぶには平凡な作りに見える。神聖な橋として、神事の時または将軍家か勅使くらいしかこの橋は使えなかったらしい。それが今では300円。

ただし、橋を突っ切ることはできない。対岸まで渡ったら行き止まりなので、また戻ってこないといけない。そこまでは庶民どもにさせるわけにはいかん、ということなのか。

神橋橋げた

橋げたを見ると、なるほど「奇橋」と呼ばれるわけがわかった。岩の上に乗っかってるぞオイ。川の青、岩の白、そして橋の朱色。なかなかに映えて気持ちが良い。

金谷ホテル

神橋を見下ろす高台に、なにやら瀟洒な建物が建っていた。地図を見るとあれが日光金谷ホテル。パンがとても有名で、そういえば東武日光駅前をはじめとして既に何回かこの金谷ホテル謹製パンを売るお店があった。

折角なので、帰りがけに買ってかえりたいものだ。



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