栄枯盛衰を温泉地で見た【鬼怒川温泉】

和室

「湯けむりエリア」に向かう途中、電気がついているお座敷を発見した。

地図上では「湯上がり処」と記されているところだ。スリッパが並べられているし、誰かが中にいるらしい。ここなら入っても怒られないだろう。

和室2

湯上がり処。なるほど、畳のお座敷にくわえて、テーブルとソファ、そしてテーブルの上には囲碁セットが置いてあった。男女別に風呂に入った際、ここで待ち合わせにするとよさそうだ。

あと、奥には有料のマッサージチェアが置いてある。

こういう設備はすべてが新しく、くすんだ感じがしない。ボロ宿を二束三文で買ってそのまま使っている、というわけではないというのがよくわかる。大江戸温泉物語が買収してから、ちゃんと手をくわえお金をかけ、リニューアルしているということがいちいち伺える。

漫画完備

仕切りを挟んで隣には、マンガ図書館ともいえるエリアが広がっていた。

ずらっと漫画

これはすばらしい。暇つぶしには最適だ。

「ひとり旅だから、夜一人で暇をもてあましたらどうしよう?」なんて悩まなくていい。読みかけの本を持参するとか、スマホをポチポチといじらなくても、ここでマンガを読んでいれば何日でも持久戦ができる。

ホワイトボード

ありゃ。なぜか壁のホワイトボードに、ちばてつや先生の絵が。

ファミコン

ファミリーコンピュータが置いてあった。まだコイツ、現役で動くのか!もう30年以上前のものだろ、これって。

アルコール一杯無料

宿からのお知らせを告げるポスターがあちこちに掲示されている。この部屋にも置いてあったのだが、大江戸温泉スマホアプリで登録する会員になれば、「夕食時アルコール一杯無料」なんだそうで。かなり太っ腹だと思う。

そういえば、チェックイン時に職員さんからおすすめされたっけ。「アルコール一杯無料にできますが?」って。いやー、でもアルコールは一滴たりとも飲まないからなあ。ノンアルコールビール一杯無料、っていうなら喜んで権利行使するのだけど。

引き戸

湯けむりエリアを目指す。

「エリア」という名前がついていると、どうしても秘密めいた印象を受ける。それはきっと、「エリア51」(アメリカが宇宙人との密約に基づいてUFOの開発を行っていたり、人体実験を行っているとされるネバダ州の奥地にある基地)の印象が強いからだろう。

道中、「カラオケボックス新築工事中」のエリアを通過する。

先ほどの高速エレベーター新築工事中に続いて、この旅館は設備投資に余念がない。大型旅館のビジネスはもうアカン、というはずだったのに、どっこいこうして増設しているぞオイ。どうなってるんだ。

いずれ100円ショップとかユニクロとか、そういうテナントを誘致してイオンモールみたいになるんじゃあるまいか?

卓球ルーム

湯けむりエリア手前にある「卓球ルーム」。

無料で卓球ができるらしい。少しでも宿泊客からお金を頂戴しよう、と宿は必死・・・というわけではない。先ほどのマンガしかり、アルコール無料クーポンしかり。安い値段で集客して宿泊させたのち、さまざまなオプションでチャリンチャリンとお金を稼ぐビジネスモデルではない、ということだ。安い値段はあくまでも「高稼働率」をキープするためのものにすぎないらしい。

ドアのすぐ向こう側から、カンコンカンコンと球をはじく音と歓声が聞こえてくる。どうやらお楽しみ中らしい。扉をあけて中を覗くと、ばったりプレイヤーさんと目が合ってしまいそうなのでやめた。

さすがに一人旅で卓球、というのは無理だ。せいぜいできて、ラケットを手に素振りをするくらいだ。それはちょっとむなしい。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めまして
    コメントをさせて頂きます。
    記事に紹介されていた鬼怒川温泉の御苑で勤めていた者です。私が勤めていた頃はバブルの終わりの頃でした。
    平成4年頃~6、7年まで鬼怒川温泉のホテルの寮を借りて仕事をしていました。
    非常に懐かしいですね…御苑…本当に広いホテルで、今で言うダンジョンの様な(笑)新宿駅ほどではないですが、
    私は当時、宿泊されるお客様を部屋まで案内する仕事(フロント受付から客室案内係や繁忙期には仲居さんの
    サポートまで幅広く?仕事をしておりました。)をしていて、一度、お客様を部屋まで案内するのですが、フロントまで戻るには非常に時間が掛かっておりました。年末年始の忘年会や新年会や夏休み、冬休みなどとにかく休みを利用して来るお客様もたくさん来ていました。

    とにかく一番大変だったのは年末の忘年会シーズンですね、もう何百名との団体のお客様がどっと来るので、部屋までの案内も大変なことはさる事ながら、宴会も賑わい…もうお酒をたくさん召し上がるお客様も多かったので仲居さんだけでは、対応しきれずよくサポートにも駆り出されました。写真を拝見させて頂いてあの頃は…とつい懐かしんでしまいました、貴重な掲載して頂き写真をありがとうございました。

    今じゃ鬼怒川温泉も廃墟マニアには堪らない様な感じになってしまった様ですね、本当に懐かしい…。御苑は隠し部屋がたくさんありましたよ(笑)

  • はやぶささん>
    貴重な体験談、お聞かせいただきありがとうございます。往年の賑わいを実際に体験した方から聞けたことがとても嬉しいです。

    あの崖にへばりつくような建物、そして増改築を繰り返して巨大化した建物ははやぶささんが仰るような桁違いに大勢のお客さんがいらっしゃったたまものだと思います。炭鉱跡や金山跡が文化遺産として保存されているように、御苑のような超巨大ホテルはなんとか今後も経営が続いてほしいものです。団体旅行が減ってきてからまだそんなに時間が経っていませんが、すでに文化遺産的な珍しさと驚きに満ちた建物だと思います。

    御苑の前にある「ふれあい橋」、やたらと立派なんですがなぜあんな立派な橋があるのか、とても不思議です。

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