潜入、湯治宿【大沢温泉】

対面も本館


お食事処やはぎのある棟の向かいに、中庭を挟んで別棟がある。別棟といってもこちらと繋がっている建物だ。あちらも自炊部。複雑な作りだ。道幅の狭い廊下を右往左往するので、ますますダンジョン感が高い。

タオルがたくさん干してある。ああ、あそこの宿泊客は長逗留しているんだろうなあ、と思う。一泊二日のお客さんなら、ああも運動会の万国旗のようにたくさんタオルを吊るすことはしない。

案内表示

「やはぎ」の近くに、「リフレッシュ癒」の看板が出ていた。本来ならコインランドリーコーナーの脇に拠点を構えているはずなのだが、工事が入っているだかなんだかで一時的にこっちに退避しているらしかった。

ガラス張りでもなければ呼び鈴があるわけでもない。中がよく見えないので若干びびりながら障子をがらりとあけると、6畳程度のスペースに施術台二つ、ぎゅうぎゅうにおいてある場所だった。もともと客室だったところを一次利用しているらしい。

ゆっくりお風呂に入って、夕食食べる前にモミモミされたかったので、18時からということで予約をお願いしておいた。

施術師は日替わりのようで、施術師によって専門分野が違うらしかった。どんな分野があったか忘れたけど。なので、「昨日の先生はすばらしいテクニックだったので今日も是非」と訪れても、別の先生だったりする。

趣の違う建物

「対岸」の建物に向かってみる。

フロントから始まって食事処、炊事場、そして僕の居室に通じるあたりまでは木造の建物なのだが、こちらはコンクリートで作られていた。後付けされたものらしい。

建物の雰囲気も全く違い、こちらは木造ならではの味わい、というのはない。

あれ・・・ここ、部屋の入口がちょっと変わっている。この奥、大広間があるかのような作りだ。ふすまの手前に上がりがまちがある。宴会場として使っていた部屋を、間仕切りで区切って宿泊部屋にしているのかもしれない。中を覗いてみたいところだけど、ふすまが閉まっているので中の様子はわからなかった。しかし、スリッパが置いてあるところを見ると、ここに人が泊まっているのは間違いなさそうだ。

こういうのを見て、いろいろ想像するのも楽しいものだ。

廊下

冬場だと寒々しい印象を与える廊下と壁。このあたりは部屋が左右にある。右側が川に面した部屋で、左側が中庭に面した部屋。もちろん中庭に面した部屋のほうが眺望が悪く、日当たりも劣る。僕みたいな一人泊の冴えない宿泊客ならこういう部屋が妥当だと思うのだが、つくづく良い部屋をあてがってもらったものだな。

洗面所

お手洗いは抜本的かつ大胆にリノベーションされていて驚愕。壁面が湾曲しているぞオイ。

とてもきれいで、つい最近改修したものだと思われる。すげー。流しがステンレスの桶みたいなものじゃなくて、ちゃんと陶器だし。

コンロ

この洗面所は、炊事場も兼ねているようだ。先ほどの炊事場ほど巨大ではないものの、ガスコンロとシンクを備えている。あれ?ここでガスを使ったら無料なのか?
電子レンジも完備。一度に複数の人が調理をする、というのは無理だけど、ちょっと汁物や料理を温める程度なら便利だ。

高そうな部屋

コンクリート作りで薄ら寒い印象を持つ建物だけど、客室の扉を見るとちょっと立派だ。ふすまで仕切られているなんてことはなく、木の格子戸になっている。しかもそこを開けたら即畳の部屋、という形ではなく、玄関でワンクッションかましてからその奥に部屋があるらしい。何気にこっちの方が「格が上」の部屋なのかもしれない。

一方我が部屋は、大沢の湯に行くにはとても便利だけど、なにせ木造の廊下だ。人が横を通るたびにドシドシと音と振動が響き、何事かとびびるくらいだった。そして、本当にふすま一枚隔てた向こうで見知らぬ人が通り過ぎるので、やっぱり若干の恐怖感はあった。無思慮な人がガラッとふすまを開けて中をのぞき込むんじゃないか、という心配。

窓から外を見る

コンクリ作りの建物から、北側を眺めたところ。豊沢川が流れ、正面に曲り橋、そしてその奥に菊水館が見える。

手前の自炊部建物は、三階建てになっている。三階部分は窓辺まで部屋があるが、古くから存在するのであろう一階部分と二階部分は、窓側が廊下だ。窓ガラスの奥に、廊下を挟んで部屋のふすまが見える。

あのふすま一枚の奥に部屋が並んでいると思うと、なんだか面白い。今とプライバシーの考え方が全然違うし、「部屋から外の景色を楽しむ」という概念がそもそも存在しなかったことがよくわかる。

薬師の湯入口

自炊部・コンクリ建物の1階部分に下りてみる。

ここは風呂場となっている。階段を下っていくと、むっと湿気が押し寄せてくる。メガネが曇りそうだ。

薬師の湯(女)

薬師の湯(女湯)がある。その奥にも、女性専用の湯を意味する赤い暖簾がぶら下がっているが、そちらは「かわべの湯」。女性専用の露天風呂となっている。露天風呂といえば「大沢の湯」があるが、これは混浴だ。混浴はちょっと・・・と抵抗感があるご婦人方のために、女性専用の露天風呂が用意されているというわけだ。

この「かわべの湯」は、「男性専用時間」とか「朝になると男風呂と女風呂が入れ替わります」といった配慮は一切ない。ただひたすら、女性専用だ。男に見られたらまずい、何かすごい「秘密」が隠されているのかもしれん。

薬師の湯(男)

一方こちらは男性の薬師の湯。

薬師の湯を見下ろしたところ

薬師の湯は、暖簾をくぐってから階段を下っていった下に湯船があった。半地下だ。いや、位置関係としては事実上の地下だ。

そういえば、この近くにある鉛温泉藤三旅館に泊まったときも、風呂はこうやって階段を下ったところにあったっけ。お湯そのものは川底から湧いているので、川の水面と同じ高さに湯船を下げているんだ、という話だった。ここもそういう理由なのだろう。ただし、鉛温泉が床下湧出の湯船だったけど、薬師の湯はそうなってはいない。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください