薬師の湯を素通りした先に、「若葉荘」と書かれた扉があった。どうやら2部屋、客室があるようだ。
たった2部屋のために、わざわざ「若葉荘」と銘打たれているのが謎だし、わざわざ扉で仕切っているのも謎だ。ここから先はプライベートエリアで立ち入り禁止、というわけではなさそうなので、扉を開けて中に入ってみた。
・・・しかし、案の定ではあるが、すぐに行き止まりになって、ふすまがぴったりしまった玄関があるだけで、中がわからなかった。
その時、ちょうど若葉荘の部屋に泊まっていると思しき人が戻ってきて、僕と鉢合わせになった。狭い廊下、しかも扉で仕切られた廊下の中に部外者である僕がいるわけで、僕は気まずくて慌てて外に出た。やべー、盗人と勘違いされそうだ。
いったん「やはぎ」がある木造の建物に戻る。ここは上の階にも部屋があるので、階段がある。折角だから登ってみよう。この上に体育館のようなものがある、と館内地図では見えるのだけど、まさかそれは嘘だろ?
階段は、建物二階部分で終わりにならず、そのまま上へ上へと伸びていた。あれれ、どこへ行くの。
二階の探検はひとまず置いておいて、そのまま階段を登ってみた。どうやら、自炊部の建物を超越して、丘の上に上っていくらしい。丘の上に別の建物があるのか。
階段途中にあった、「食堂ご案内」の看板。
食堂ご案内
中華
きそば
丼類御利用の方は食堂部の方へお越し下さいます様お待ちしております
食堂部
だって。味わい深い。「食事処やはぎ」なんて名前ではなく、昔は「食堂部」という潔いネーミングだったんだな。フォントもまたいい味出てる。
階段を上りきると、そこには確かに講堂のような場所があった。
・・・これ、何だ?
廃校?
「体育館」に相当する部分には卓球台が二つおいてある。そういえば、館内案内に、卓球ができるのでやりたい人は事務所まで連絡を、って書いてあったっけ。
そして、舞台もちゃんとある。
一体これがなんのために作られたのか、よくわからない。
講堂?の隅っこに、蚊帳みたいなのが吊ってあるので何事かと思ったら、ゴジラが描かれた看板が中に置いてあった。ああ、どうやらボールを投げて的当てをする競技用の場所なのだろう。でもなんでこんなところに?縁日みたいだ。
講堂?の全景。舞台が障子で仕切られているという不思議な構造。昔は旅芸人一座なんぞがやってきて、宿泊客を楽しませたりしたのだろうか?いや、さっぱりわからない。
いずれにせよ、誰一人いないこの空間は大変に気に入った。しばらく舞台に腰をかけ、ぼんやりと時間を過ごした。
講堂のような建物を後にし、自炊部の木造建物の二階部分を歩いてみる。
ここも、廊下が建物の窓側にあり、部屋を取り囲むように配置されている。ぞうきんがけグランプリを開催して、この廊下10周!なんてやると楽しそうだ。
しかし、この障子とふすまの中だってれっきとした部屋だ。景観の一つもない、完全に壁に囲まれてしまっている部屋なので居心地はあまり良くない。
そういえば僕が労働組合の執行委員をやっていたとき、「オフィスというのは窓がないといけない。窓がない部屋は『倉庫』と同じで、執務環境としては認められない」と先輩から習ったっけ。
なんでこんな窓側に廊下なの?と不思議だが、それは21世紀の論理だ。昔は外廊下というのは当たり前だったし、なんならガラス戸なんてなくて外からむきだしだったかもしれない。
それにしてもカルチャーショックを受ける間取りで、いちいち驚かされる。
下の階に通じる階段。
狭い・・・。
踊り場までは広いのに、そこから先が狭くなっている。空いた空間はあるようなので、もともとはもう少し広い階段だったのかもしれない。改修した際に何らかの事情で階段を狭くするしかなかったのだろうか。
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