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「花籠」での食事ののち、しばらく南に向けて歩いて行くと、周囲と比べて明らかに大きな建物が見えてきた。あれが花巻を代表するお店、「マルカン百貨店」。
花巻には地場の百貨店があるのか!と驚かされる。アリオやイオンといったショッピングモールが百貨店の代わりを果たすようになって久しいけど、どっこいまだ頑張っているお店もある、ということだ。
※しかし、このマルカン百貨店は2016年6月に閉館することがこの後発表された。やはり時代の波には逆らえなかったか。
マルカン百貨店がある周囲が花巻の中心地、ということになる。アーケード街とまではいかないけど、ひさし付きの商店街が東西に伸びている。
2月中旬ということもあって、かなり寒い。雪があちこちに残っている。これだけ寒いと、なかなかぶらぶら歩きをしながらお買い物、というわけにはいかない。
マルカン百貨店正面。100円ショップの看板がお出迎え。そうかー、百貨店であっても100円ショップというのは貴重なお店なんだな。
僕が子供の頃、百貨店という言葉は「親がちょっとした高級品を買いに行く場所」というものだった。お歳暮とか、スーツを仕立てるとか。しかしその対極である100円ショップが目の前にあるのだから、時代は変わったと思う。
そもそも、目の前の入口は閉鎖されていて入ることができなかった。その入口をふさぐように、学生服のマネキンが陳列されていた。なるほど、地方都市にとって学生服というのは非常に重要な位置づけなのだな。それはその通りだと思う。
正面の入口はふさがれていたので、脇から中に入ってみる。
明らかに熟したマダム向けのかばんがお出迎え。
フロア案内を見ると、興味深い。
男子の制服が2階、女子の制服が3階と分かれて売られている。制服売り場が2フロアにまたがっているというのは初めて見た。
あと、エスカレーターを利用して上の階を目指したのだが、どのフロアも色あいが「お年寄り好み」なカラーばっかり。そうか、これが現実なのかとちょっとカルチャーショックを受けた。東京界隈で、きらびやかな世界ばっかりを見て「こういうものだ」と勝手に思い込んでいたけど、それは虚構の世界で、本当の日本ってのはこういうものなのだ、と。自分がこれまで見てきたものが「砂上の楼閣」だったような気がした。
なにしろ、1階に婦人下着が売られているのだけど、まずその時点で「百貨店が非日常空間ではない」ということを思い知らされる。
マルカンのチラシ。
2月という時節柄もあるけど、学生服がいかに主力商品であるかというのがよくわかる。チラシの裏面全部を使って学生服を売り込んでいる。
表面はというと、50%~70%引き、と書かれていて、おしゃれ感とはちょっと違う。「得市」というネーミングもそう。多分、かっこつけている百貨店なら「クリアランスセール」とか名乗っているだろう。せいぜい、「バーゲン」だ。
でも、そんな横文字でカッコつけても今更意味はないだろうし、「得市」は「得市」で良いと思う。
階段踊り場の掲示板には、パートやアルバイトの募集告知がたくさん貼ってあった。時給はどれくらいなのだろう?
後で花巻の求人情報を調べてみたら、花巻市内のファーストフード店で時給700円~だった。東京都の最低時給が907円(2016年2月時点)なので、その差はかなり大きい。
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