帰りの新幹線のきっぷは、既に花巻駅の自動券売機で確保してある。はやて118号。
行きは「モバイルSuica特急券」で購入(12,350円。東京→花巻)だったが、帰りは「えきねっとトクだ値10」で購入して12,610円(盛岡→東京)。帰り道の方が距離が長いのだけど、260円しか高くなっていない。こういうところが大変にややこしい。
15:44
頃合いがよくなってきたので、改札をくぐり抜けてホームを目指す。いよいよ、3泊4日を過ごした岩手県を後にする。
15:48
コンコースにある待合用のベンチ。頭上にはヒーターが設置されており、座っている間に寒い思いをしなくてよいようにしてある。このあたりが北国ならでは。
ベンチにはちゃんと手すりがついているのだが、これは「ささやかなサービス」というよりは、ヒーターがあって暖かくてついつい横になって寝ちゃう輩が出ないようにするためだろう。
さすがに新幹線改札の中なので、ホームレスがやってくることはないと思うが。
列車の出発時刻を伝えるディスプレイを見ると、自分が乗る予定の便の4分前にも、東京行きの便が設定されていることがわかる。すげえ、4分刻みで東京行きが出ているのか!盛岡侮れん、と驚いたのだが、15:54の次は16:50だった。1時間近くの空白。さすがに4分刻みともなれば都心の山手線レベルだ。そんなに景気よくバンバン新幹線が行き来するわけはないか。
15:50
で、その「1本前」の新幹線を見送る。E5系の「はやぶさ」だ。東京までビュンビュンすっ飛ばしてくれる、速達列車になる。なにせ、次の駅が仙台、その次が大宮、上野、東京だもの。途中をすっ飛ばされる福島県、栃木県の心中は穏やかではあるまい。
この便に乗ろうかとも思ったのだけど、「はやぶさ」って「はやて」よりも特急料金が高く設定されているのでやめた。駅を通過する瞬間は男女問わず優越感に浸るものだ。その対価として考えると、ちょっと割高に思えたからだ。
はやぶさの後ろには、真っ赤なE6系スーパーこまちが連結されていた。秋田からやってきた列車を連結したものだ。ええのう。こまち、乗ったことないのぅ。
15:51
で、僕がこれから乗るのはリーズナブル新幹線「はやて」だ。上越、長野新幹線でもおなじみE2系で今更ワクワク感はない乗り物ではある。
この「はやて」は、行きの時と一緒で、盛岡~仙台の間にある細かい駅を全て各駅停車してくださる。岩手県民アンド宮城県民の皆様に愛されてやまない列車だ。でも、東京からやってきた「外野」の僕からしたら、、「くりこま高原」とか停まらなくてもいいだろ、もし必要なら、バスみたいに「お降りのかたは最寄りのブザーを押してください」ってすればいいだろ、と思ってしまう。ブザーが鳴らなかったら、そのままスルー。ごめん地元のみなさま。
この「はやて」、仙台までは「やあどうもどうも」といった風情で周囲に田園しかないような駅でも各駅で停まっていくのに、仙台から先は急に人が変わり、一気に大宮まですっ飛ばす。やっぱりここでも福島県と栃木県の人、がっかり。
16:17
新幹線は南へと進む。各駅で停車する都度流れる車内アナウンスで「東京行きです」ということばが流れるので、だんだんと気持ちが東京に向いてきた。そしてこの旅の終わりを実感していった。
今回は花巻観光に始まり盛岡観光に終わる、というかたちで随分色気を出した温泉療養になった。さらには、探検しがいがある上に非日常感満載な古い建物である大沢温泉自炊部に居を構えるということで、落ち着かない展開になりそうだった。しかし全ては時間が解決した、という気がする。3泊4日という日程、正解だったと思う。「もううんざりだ」と思うまで滞在してこそ、意味がある。
さすがに勤め人として、農家の方やリタイアされた方のように1カ月単位での湯治は時間がとれないけど、精一杯時間を確保した3泊4日は、さすがのまったり加減だった。盛岡の観光地巡りは随分とあちこちを巡ったけど、決して苛立つ事なく、時間と地図とを見比べながら詰め込むようなこともなかった。始終穏やかな気持ちで過ごせたと思う。
12月、1月、2月と毎月平日を使った温泉療養をやってきたけど、ここまで大規模な形でできるのは今回が最後になる見込みだ。しかし、気持ちと体をほぐすためにも、定期的に温泉通いはしたいものだ。これは単に小一時間、日帰り入浴施設に行けば良いというものではない。やっぱり泊まりがけで、ひたすらお風呂に入りたいものだ。
ひとまず僕は都会の喧噪に溶け込もう。しかし、また息苦しくなったら息継ぎにこよう。そのタイミングとかコツというものは、今回少し掴んだ気がした。
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