23:37
23時近くになって、蛋白質とカプセルホテルに戻ってきた。
明日朝7時に上小田井駅に集合、ということは、逆算すると6時20分にはホテルを出発しないといけない。身だしなみや朝風呂の時間を踏まえると、起床時間は5時半過ぎになりそうだ。体力勝負だ。
「早く風呂に入って寝よう」
と蛋白質に声をかけたら、蛋白質は残念そうな顔をして
「これからコインランドリーで洗濯をしなくちゃいかんのだ」
という。えっ、日数分の服を持ってきていないの?
「カプセルホテルだからコインランドリーがあると思って、最低限のものしか持ってきていない」
「ちょっと待て、じゃあ何でカートをゴロゴロ転がしてきたんだ。荷物、少ないじゃないか」
謎すぎる。やっぱり、自分を罰するために敢えて今回の旅行にカートを持参したとしか思えない。何の罪を償いたいんだ?
彼はGWの前半、高速夜行バスを使って広島に帰省していたらしい。で、大阪の家にいっぺん戻ってきて、すぐ翌日に名古屋入りという強行軍だ。しかも名古屋には早朝入りだし、この日は26,000歩近く歩いているし(おかでん実測値)でヘロヘロ状態。よくやるぜ、と思う。
「洗濯なんて明日でいいんじゃないか?もう今日は遅いぞ」
「でも今日洗っておかないと」
いやー、そうすると寝るのはかなり遅くなるけど、大丈夫なんだろうか。大丈夫じゃないよな。やはりここでも彼は自らを罰し続けていた。常に罰せられていないと気がすまないらしい。
1階フロントの奥にあるロッカールームに荷物を入れ、館内着に着替えて地下4階の風呂場に向かう。洗濯物が気になる蛋白質とはここでお別れ。
階段で下りていったら、かなり急で足を踏み外しそうになった。ダンジョンに潜るような印象を受ける。リラクゼーションチェアがずらっと並ぶフロアが途中にあり、サウナ代だけ払って入館した人たちがテレビを見つつ仮眠をしていた。満員御礼。
そういえば、カプセルホテルのほうも満員御礼になっていた。500室もあるのに全部埋まるのだからすごい。立地条件の勝利、という要素もあるだろう。風呂上り、フロント前のロビーで体をクールダウンさせていたのだが、24時を回った時間だというのに次々とお客さんが来訪していたのにはびっくりした。その多くが酔客であり、終電をなくすまで飲んだので、タクシーを使うくらいならカプセルホテルを・・・という思惑だったようだ。しかしあいにくの満室なので、お断りされていたけど。
地下にはマッサージコーナーもあり、心底「受けちゃおっかなぁぁぁぁぁぁ」と思い悶絶した。この時間からマッサージを受けると睡眠時間が削られてしまうが、それでも受けたいと思わせる本日の疲労感。特に、足。2.6万歩(約17km)も歩いていたら、足の裏がむくんで痛い。風呂に入ってもこの違和感は取れないっぽいので、なんとかしたい。
・・・けど、やめた。フットマッサージ代20分2,100円に躊躇しただけでなく、なによりも寝たかったからだ。
館内には食堂もあるらしい。朝6時から営業している働き者なお店だ。焼き魚定食が580円といった感じで手ごろなお値段で食事がとれる。おっと、生ビールをはじめとするお酒も取り扱っているのか。カプセルホテルで一泊して、朝風呂浴びて、朝酒という人も中にはいるのだろう。やるなぁ。
あいにく僕らは明日朝が早い。この食堂のお世話になることはなかった。
お酒の取り扱いもいろいろあるようだ。安酒を飲ませてりゃいいだろ?という感じではない。男性専用の施設だけある。
地下4階、この建物の最下層にある風呂はとても広かった。広い、というか浴室の大半を温水プールが占めている。大人の胸くらいある水深のプールで、実際にここでは頭を浸けて泳いでもよいらしい。みんなめいめいに、クロールをやったり平泳ぎをやっていたりした。おい、平泳ぎはちょっと待て。開脚したときに、水着で遮られていない部分がコンニチハする。
このプールがとても広いために、その他の「適温」のお風呂は小さめ。でも、混雑しているわけでもないので、十分に楽しめた。
風呂に30分ほどいたが、まだ蛋白質は風呂場にやってくる気配がない。朝風呂一発勝負ということにして、今晩は風呂を諦めたのだろうか?
6階のカプセルスペースに行ってみる。カプセルが並ぶエリアの外にトイレがあるのだが、ずらーっと便器が並んでいて圧巻だった。体育館とかの公共施設のトイレ並だ。さすがカプセルホテル。建物自体は広くないのだけど、とにかくぎゅっと人が密集している。だから、トイレを過不足なく作ろうとすると便器の数がたくさん必要になる。
嬉しくなってしまい、洗面台まで撮影してしまう。いろいろアメニティがあるのだな。ヘアトニック、リキッド、シェービングフォーム・・・。「カプセルホテル=安宿」という印象だったけど、部屋がカプセルで狭いというだけでアメニティは全く問題なかった。
安民宿、とか安旅館、というところはアメニティが一切ないことでコストカットを行っているが、ここにはちゃんとある。ほら、歯ブラシだって使い放題で置いてある。
この歯ブラシ、既に歯磨き粉がブラシ部分に練りこんであるタイプで、そのまま口にくわえてガシガシやれば泡が立つ。
「あああ!」
思わずうめき声を上げてしまった。こいつ、激辛だぞ!?清涼感がハンパなく、口の中にドライアイスを突っ込まれたかのような印象を受けた。さすが男性専用カプセルホテル。メンソール感MAXな歯ブラシを敢えてチョイスしているのだな。
「悪魔の液体」とも言われるリステリンを毎日欠かさず使って口腔内の鍛錬に余念がない僕でさえおしっこを漏らしそうになる歯ブラシ。恐るべしこのホテル。なお、他に歯ブラシの選択肢はないので、ここの宿泊客は黙ってこのクールさを受け入れるしかない。
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