11:03
えーと、次はどこだっけ。初級編と上級編がこんがらがる。しかも慣れない土地柄、知らない地名、そして複雑すぎる名鉄の路線図。「一つの駅をクリアしたらすぐ次の駅へ」という旅ガラスなので、頭の混乱が収まらない。
でもそんな状況を楽しみながら、次の駅へ向かう。
・・・で、次の駅、どこだっけ。またその繰り返し。
なにしろ、この電光掲示板を見ればわかるとおり、行き先が無茶苦茶だ。いや、名鉄さんや地元民の皆様においては当たり前の光景なのだろうが、これから発着する電車3つとも行き先がバラバラ、列車種別もバラバラ。えっと、僕はどの電車に乗れば良いんでしたっけ?と。
これまでの話を整理すると、上級編の4番目の駅が「本笠寺駅」。
初級編の次の駅が「堀田駅」だ。
いずれも、名古屋駅を通過した先の場所にある。堀田駅は「神宮前駅」から一駅先。なので順番としては堀田駅を先にするのが順当だろう。
「蛋白質、折角だから熱田神宮に立ち寄るというのはどうか?今日も神社仏閣が満喫できるぞ」
「熱田神宮?」
蛋白質にはいまいちピンとこないようだ。
「三種の神器のひとつ、草薙の剣があるという話の由緒あるお宮だぞ、日本のそんじょそこらの神社とは格が違う。折角だから見とけ」
「熱田神宮といえばひつまぶしが食べられるしなあ」
しぶちょおが言葉を添える。ああそうか、もう昼飯時間が近いんだな。アワレみ隊の活動というのは大抵「わっせ、わっせ」とスケジュールを詰め込むので、大抵昼飯時間が大幅に遅れる。昨日がまさにそうだったのだが、その点今日はなんと計画的なんだ。
「あつた蓬莱軒まで行くのか?遠くないか?」
「いや、熱田神宮の隣だし遠くないぞ?それに、蓬莱軒以外にも店はある」
「というわけだ蛋白質、折角だから名古屋メシ喰いたいだろ?ひつまぶしがダメならもう、あんかけパスタをパスタデココで食べるか二者択一だ」
「それだけしか選択肢がないんかい!」
結局、その場では昼飯は決まらなかったものの、とりあえず熱田神宮に立ち寄ることは大決定した。おお、なんて余裕なんだ。既に「SAGASE!」は中盤戦にさしかかっているから、ゆとりができている。
さて、となるととっとと電車に乗りたいわけだが、次の電車は「快速特急 豊橋行き」になっていた。
「ちょうど良かった、また指定席に乗れるぞ」
しぶちょおがほくほくしている。どういうことだ?
「この電車、車両の一部にミュースカイみたいな指定席があるんよ」
はー、そんなエレガントな仕様になっているのか。だから電光掲示板には「一部特別」という表示が出ているのだな。そりゃいいや。折角の権利だ、どんどん行使しなければ。
11:18
というわけで権利行使中。
もう、さっきみたいに躊躇はせずに、とっとと着席しちゃう。この指定席はガラガラで、他のお客さんに気を遣う必要はなかった。
11:26
楽しいひとときというのはあっという間でございます。熱田神宮駅に到着。
さてここからは「SAGASE!」企画を一時中断して、熱田神宮にお詣りしよう。
「いいか、神聖な場所なんだから、境内に入るときは土足になって土下座するんだぞ」
「それは絶対に嘘だ」
さすがに蛋白質には信じて貰えなかった。
11:34
織田信長が戦に大勝したことを記念して奉納した「信長塀」を見たりしながら、杜の中にある熱田神宮を目指す。参拝客はとても多いが、自然の中に囲まれているのでとても気持ちが落ち着く。先ほどまでひたすらゴットンゴットン揺られていたのだから、なおさらだ。
11:36
「見ろよ蛋白質、昨日見た教会とは全然違うよな。ほら、ガンダムのツノみたいなのが屋根に付いているし」
と蛋白質に声をかけていると、しぶちょおが
「お前、いくらなんでもガンダムのツノは雑な表現過ぎるだろ、ちゃんとあれには由来も名前もあるんだから。えーと、あれ、なんだったかでてこない」
と苦悶していた。そういえば、アワレみ隊で伊勢神宮に行ったときに学んだはずだけど、すっかり忘れてしまった。あー。
正解は、写真左側の長い「ツノ」が「千木(ちぎ)」で、横に並んでいるのが「鰹木(かつおぎ)」。この熱田神宮の場合、千木が「内削ぎ」になっているので、ジェンダーとしては女性ということになる。
「あの柱はアンテナの役目を果たして、UHFとVHFの両方が受信できて・・・」と話を続けるつもりだったが、正式名称すらわかっていない現状これ以上嘘を蛋白質に教えるのはやめた。
そんないい加減な解説をしていたのだが、蛋白質はやたらとこの光景に感心している。大げさに手をポン!と叩き、「そうか!」なんて言っている。彼は常にアクションがわざとらしくオーバーなのだが、本人はいたって真面目だ。
「なにがどう『そうか!』なの?」
「この景色だよ!森の中にある。人々の住んでいるところと隔絶されている」
「まあ、そうだろうなあ、わざわざ穢れと分けているわけだから」
「教会の場合、特にヨーロッパなんてそうなんだけど、町の中心なんだよ。町のシンボルなんだよ。町の中心に教会がある。で、そこに象徴的な教会が建てられる。その違いというのがある」
なるほど。今更感のある気づきではあるが、彼はキリスト者として、日頃の信仰と結びつけて特にこの神社について感じ入るところがあるようだ。
また、熱田神宮のお賽銭箱の先には何もない(仏像のような祈る対象物がない)ということについても何か言っていた気がするけど、忘れた。キリスト教との共通項とかなんとかだったと思う。
11:50
「ご褒美を買ってもいいと思うんだ」
しぶちょおが熱田神宮から退散する際に、そう言う。
「この企画がゴールしたときに食べようぜ、熱田名物の『きよめ餅』っていうのがあるんだ。ほれ、お店はすぐそこだ」
はー。初めて聞く名前だけど、いいんじゃないでしょうか。では立ち寄っておこう。
きよめ餅のお店は大混雑。とても人気がある和菓子のようだ。
ごったがえす店頭から、ショーケースを覗き込むとどうやら小判型?をしたまんじゅうらしかった。表面に「きよめ」と焼き印が押してある。これを10個入りとかはいらないけど、ちょうど5個入りの箱があったので、それを購入した。ゴールしたら記念に食べよう。
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