愛知迷走

カプセルルームの入口

23:37
さあ、いよいよカプセルホテルのターミナルドグマともいえる場所に侵入だ。齢42にして、ようやく「カプセルホテルらしいカプセルホテル」に立ち入ることになる。お父さんお母さん、遅くなってゴメン。ふがいない僕をここまで育ててくれてありがとう。ようやく僕はカプセルホテラーになるよ。

・・・って、あれえ?おかしいなあ、同い年で人生成功しているヤツは、高級ホテルだの部屋付き露天の旅館とかに泊まってるはずなのに。なんだか僕だけグレードダウンしているような。

いやいや違う違う、カプセルホテルというのはいわゆるひとつのアトラクションだ。スキューバダイビングを始めました!とかそういうのと同じで、ワクワクさを楽しむものだ。四十の手習いだ。楽しみでしょうがない。深夜高速バスに乗る、というのと近い感覚がある。自分が体力的に追い詰められる事がわかっているんだけど、敢えてそういう環境に身を投じるというのがむしろいい。

カプセルが並ぶエリアは、エレベーターやトイレ、洗面所があるエリアとは扉で仕切られていた。ガチャガチャ音がして睡眠を妨げるのはよくないだろうという配慮なのだろう。気が利いている。エレベーターを降りたら目の前にカプセル、となるとおちおち睡眠なんてできない。

カプセル地図

それにしてもすごいなこれ。倉庫じゃないか。見ろ、人間がモノ扱いされているぞ。

そのたとえはあんまりだとしても、良くてネットカフェ。番号を見ると、501番から700番まであった。1フロア200人収容、というわけだ。火事がや地震が起きないことを願うばかりだ。一斉に避難しようとして、将棋倒しが起きる。低価格で一泊できるのは、そういうリスクも許容する覚悟代込み、ということだ。

カプセルだらけ

うわあ・・・。

初めて見るカプセルホテル。びっくりした。そして静かに興奮した。

とても静かだ。そして窓がない空間ということもあり、空気が重たく感じられ、どんよりした雰囲気がある。そこにずらーっと並ぶカプセル。上下二段で、遠くまで続く。写真はカメラの絞りが開いているので明るく写っているが、実際はもっと薄暗い。こんなに視界が良くはない。

ブラインドが閉まっているカプセルは、中に人がいるということだ。静かなのは寝静まっているから、というわけではない。カプセルに入ったが最後、もう寝るかスマホをいじるかテレビを見るくらいしかやることがない。お茶を飲んでくつろぐ、なんてのは無理。だから、押し黙るしかない。僕だって、蛋白質と眠たくなるまでおしゃべり、なんて無理だ。一つの部屋に二人が仲良く寝転がって旧交を深める?やめろやめろ、旧交を深めすぎて男同士組んずほぐれつ、なんてなったらどうするんだ。

カプセル

蛋白質はまだカプセルには辿り着いていないようだった。寝具の乱れもなく、中に立ち入った気配がない。風呂場にもいなかったし、まだ洗濯を続けているのだろうか?まさか川に洗濯に行き、大きな桃でも拾ったのではあるまいな。

僕のカプセルは二階部分にある。一階カプセルのフチ部分にハシゴ的な出っ張りがあるので、そこに足をかけて上に登る。お年寄りは絶対に使えない施設だ。下の階には先客がいらっしゃるので、起こしてしまわないようにそっと、そっと気を遣いながら登る。

「すいません、上の階に越してきたおかでんですけど」と菓子折の一つでも持ってごあいさつに伺おうかと思ったけど、やめた。

カプセル内部

カプセルの中。人一人眠れればいいだろ?という潔さにシビれる。でも実際これで寝泊まりができてしまうのだから、人間って普段どれだけ贅沢な生活を送っているんだ?と思う。

特に僕の場合、こういうときには「隣の人と肩がぶつかりながら眠る」山小屋の経験が思い出される。なので、こうやって個人のスペースが確保され、しかも寝返りまで打てる環境というのは「贅沢」にさえ見える。これなら熟睡だって余裕だ。

よく、「カプセルホテルは周囲の人のいびきがうるさくて眠れない」なんて聞く。実際その通りなんだろうけど、「山小屋と比べればカプセルホテルなんて高級」と思えば全然気にならない。人間、一度は苦しい環境で育つべきだな。

カプセル壁面

壁面には、古めかしいタイプのスイッチを持つ操作パネルがあった。これを操作することで、青、赤、黄色・・・と光が点滅する。いやごめんなさい嘘です、それは別のホテルです。

カプセル操作部

オーディオのボリューム、ラジオ、時計およびアラーム。

ラジオは今時見かけなくなった、「つまみを回すことでチューニングする」タイプ。昔はこのつまみの微細な調整で、遠くの地方局のラジオがかろうじて聞こえたり聞こえなかったり、なんてやったものだけど今じゃプリセットされたボタンを押すだけ。思わず、聞きもしないのにぐりぐりとつまみを回したった。

避難図

万が一があっても困るので、ちゃんと避難経路を見ておく。

といっても、階段とエレベーターでは限界があるので、避難ばしごがある場所のチェック。いざとなったら、はしごで逃げよう。

寝る体制に入る

寝転がった状態。

足元の頭上にテレビが置いてある。テレビを見る場合、イヤホンが用意されているので、それを使って聞くことになる。さすがにスピーカーから聞く、ということはできない。

ブラインドは鍵になるようなものは付いていないし、外からうすぼんやりと中の様子が見えてしまう。防犯の意味もあるのだろうが、セキュリティ・プライバシーはほとんどない。だから貴重品に限らず貴重ではないものであっても、基本的に1階のロッカーに格納しておかないといけない。

まあいいや、今日はもう終わりにしよう。明日朝早いことだし。24時過ぎに就寝。この日歩いたのは26,000歩。明日は電車移動がメインとはいえ、どれだけ歩くことになるのやら。

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