愛知迷走【SAGASE! ~ 記憶を呼び起こし 駅を探し出せ ~】

きけん

09:26
大縣神社を一通り見たあと、我々は田縣神社へと移動することになった。電車で一駅名古屋寄りのところにある田縣神社だが、駅まで延々あの道をまた歩くのはしんどい。さらに、電車は便数が少なく、移動でかなりの時間ロスがありそうだ。

そんなわけで、タクシーを呼んだ。最近はスマホアプリで簡単に地元のタクシー会社の電話番号がわかるし、タップ一発で電話がかかるので楽だ。 10分ほどで到着する、ということなので、それまでの間鳥居の前で待つことにした。電話に応対したタクシー会社の人は、僕が「オオアガタ神社」と伝えたら「え?」と一回聞き返し、「ああ、オオガタ神社ですね」と言い返していた。正式名称はオオアガタ神社で間違いないはずだけど、地元では若干省略して「オオガタ神社」と呼んでいるのかもしれない。

さて、鳥居前には緑色のパイロンがいくつも並んでいる。鳥居の真ん中を仕切る形で並べられており、どうやらパイロンの右側を参拝客、左側を安全祈願のお祓いのためにやってきた車が通行せよ、ということらしい。 しかしそのパイロンには「きけん」という張り紙が貼ってある。どうやら、危ないものらしい。

「おい蛋白質気をつけたまえよ。このパイロンは危険らしい」
「ちゃうちゃう!このパイロンが危険なんじゃなくて、通行注意を促すための表示だろ?」
「そんなこと、どこにも書いていないぞ。『きけん』って書いてあるんだから、パイロンが危険なんだろ。おい、さわるなよ?さわると爆発するかもしれんぞ」
「そんなもの、ここに置いてあるわけないだろうが」
「わからんぞ?ちゃんと警告はしてあるからな、これで爆発とかしても自己責任だからな?」
「とりあえず触ってみればその真相はわかるだろう」
「やめろ!きけんだと書いてあるんだぞ。僕はここで貴重な友を失いたくはない」
「なんだその悲壮な話は」

危険を顧みない蛋白質

「よし、触ったぞ。危険除去完了。まずはこのパイロンが危険であるという可能性はこれで消えたわけだ」
「いや、今この瞬間は大丈夫かもしれないが、この後爆発するかもしれない。地面が陥没して落とし穴があるかもしれない。油断するなよ?蛋白質」
「いやいや、あくまでもこれは『車が通るから、歩行者は車に気をつけてくださいね、って注意喚起だろ。そして、車には歩行者がいるから気をつけて』って意味でもある」
「それならそう書かなくちゃわからないだろ。そう書いていないってことは、やっぱりこのパイロンがきけんなんだよ」

そんな会話をしているとき、すぐ真横を車が一台通り抜けていった。それを間近で見た蛋白質、

「見たか!車が接近していったぞ。危険だろこれはどう見ても!」

と叫ぶ。

「車が危険なんじゃない、車でさえも引き寄せてしまう謎の磁場を持っているこのパイロンこそが危険なのだ、とも考えられるだろう」
「そこまでしてパイロンを危険にしたいのか!?」

・・・あ、タクシーが来た。この話はもう終わりにしよう。

タクシーに乗る

09:31
田縣神社へスイスイと向かう。楽で大変に結構だ。 運賃は3,000円弱だったと思う。

11:22の新幹線を指定席予約している僕にとっては、朝9時半とはいえそろそろ時間的にやばくなってきている。タクシーでちょうどよかった。 折角の名古屋なのに、なんでこんな早い便の新幹線を確保したのか?と思うだろう。それは単に指定席で空きがあったのがこの便だけだったからだ。名古屋から自由席に座れるなんて期待はまったくしていないので、指定席しか考えていない。つり革がない新幹線の立ちっぱなしは、通勤電車の立ちっぱなしよりも疲れる。なので、かなり早い名古屋離脱、というわけだ。

09:40
田縣神社到着。

田縣神社

大縣神社が山の中に静かにたたずんでいるのに対し、田縣神社はとても開放的だ。犬山に通じる通りに面していて車の往来が結構あるし、駐車場には観光バスも停まっている。 ・・・ええ?観光バス?観光地なのか、ここ。

蛋白質感心

見ると、境内には人がいっぱいいる。ありゃ?外国人観光客の集団もいるぞ。喋っている言葉からすると、どうやらタイの方らしい。タイからもわざわざ観光に訪れるのか。 タイといえば熱心な仏教国で、あちこちに仏塔が建っていることでおなじみだ。微笑んでいる巨大仏像がある印象だが、そういう国の人が「男性の性器を模したものが奉納されている神社」というものに対してどう感じているのだろう?日本人が秘宝館にニヤニヤしながら行くのと同じような感覚なのだろうか。

あと、小学校の遠足なのか、町内の子ども会の遠足なのか、子どもたちがたくさん大人に引率されて訪れていた。なかなか大胆な取り組みだ。この神社に対して、どういう説明を大人たちはするのだろうか?

田縣神社の中1

田縣神社の拝殿。 写真撮影禁止ではないので、参拝に訪れた老若男女、国籍問わずみんな「ひゃー!」とか言いながらカメラやスマホを構えていた。 みんな、ご神体方面ではなく、その手前に奉納されているお神輿・・・に載せられている木工細工・・・ばっかり見ている。

田縣神社の中2

おっと、本殿の左側だけでなく、右側にも奉納されていた。まるで狛犬のようだ。黒光りしていて威圧感がすごい。 ここまでデカいと、親近感といったものは全く感じない。ただただ、「すげぇなあ」という感想しかわかない。「うらやましい」とか「自分もこうありたい」みたいな、自分に置き換えた感慨というのは皆無だ。女性だってそうだろう、「こういうものにあこがれる」ということはあるまい。

ニヤニヤしながらこの地を訪れる人が大半だとは思うが、いざ実際に奉納されているモノを見ると、案外敬虔な気持ちになるものだ。とはいえ、五穀豊穣を祈ったにしてはちょっとやりすぎ感があり、いったいどの時点で商業的な気持ちが混じっていったのか(それとも、未だにまったくそういうのは混じっていないのか)、ちょっと気になる。

現に、ここにやってきている参拝客のほぼすべては、神様にごあいさつ・・・というより、この男性型にごあいさつしている。神社としては、「イロモノとして捉えられるのは不本意」だとは思うが、実際そういう解釈で参拝客が来ているというのが現実だ。

神社解説

この神社を高名たらしめているのが、先ほどから見えているお供え物の「大男茎形(おおおわせがた)」だ。毎年3月15日に行われる豊年祭で、みこしに担がれ、町を練り歩き、時にはローリングし、そのあと奉納される。神様そのものがこの大男茎形なのではない。神様に奉納されるものである、ということだけはきっちり押さえておく必要がある。

で、この大男茎形だが、あれだけ巨大な木彫りなのに、毎年新しく作られているというのが驚きだ。巨木を削って丹精込めて作っているのだろうが、手間も費用もかかるものだ。 1年が経った大男茎形は、細かく切り出され、お守りやお札として社務所で売られている。なるほど、よくできてるものだ。

田縣神社奥宮

09:45
拝殿の脇に奥宮があるというので、行ってみることにした。前回田縣神社を訪れた際は、なぜか参拝しなかった場所だ。 「奥宮」というからにはかなり遠い場所にあるのかと思ったが、境内の中にあって歩いてすぐだった。

奥宮の解説

これをみて男子はその雄大な形相に益々発奮して仕事に励み、女人はひそかに伺ひみて願いかければ良縁を得るまた子宝に恵まれる

・・・と書いてある。生めよ殖やせよ、というのは21世紀の今でさえ経済の大原則なので、時代を超えて信仰の対象だ。しかし、あれ?ここに書いてあるのはあくまでも「奉納品」である大男茎形のことだぞ。肝心の神様はどこへいった。 うっかりすると、どっちが神様なのだかわからなくなってしまう。

奥宮にごあいさつ

奥宮に参拝する。 お賽銭を投げ入れ、鈴を鳴らす・・・あれ?

鈴まで・・・

ご丁寧に、鈴までこんな形になっていた。 これはもう、ご利益とかそういうのではなく、面白くしようというアイディアの気がする。 奥宮にも立派な大男茎形が奉納されていて、我々の目を釘付けにした。 タイ人観光客は大はしゃぎして、スマホで自撮記念撮影をしまくっていた。一体「日本旅行」をどう感じ、国にもどって友達にどう報告する気だろう。心配だ。

こちらもごあいさつ
解説

奥宮の脇には、「珍宝窟」という石があった。 つるっとした丸い石の玉が二つ並んでいて、その間に石で組んだ洞窟のようなものがある。 もうなんでもありだな。

双玉ノ右ヲサスリ家内安全商売繁盛・金運ノ願イ 双玉ノ左ヲサスリ恋愛成就子宝・安産・夫婦和合

と書いてある。こうなるともうなんでもありだな。

しぶちょおお祈り

しぶちょおが双玉を丹念に撫で回し、何事かお祈りしていた。 お賽銭を入れるところがあり、小銭を投入したら、高らかに「チーン」という音がした。 「そういうことか!」 と驚く一同。

全員で記念撮影

09:53
なんだか変な終わり方だけど、これにてアワレみ隊久々の企画、これにて終了。最後、田縣神社前で記念撮影。アワレみ隊42歳の1コマ。

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