愛知迷走

蒸気機関

10:56
11時から、展示されている蒸気機関の実演があるというのでいったん展示室から離脱。MUSEUM CAFEの近くにある蒸気機関展示に向かう。それにしても、施設内だけでも相当歩く。

展示されているのは、巨大な車輪が二つ。その二つを、ベルトでつないでいる。いや、ベルトかと思ったら、綱引きに用いるような太い縄が何本も連なっているものだ。

ボイラーで熱せられた蒸気がピストンを動かし、その動力が車輪を回転させ、そして工場の隅々までその動力がバケツリレーで伝えられていく。今のように「コンセントに電源ケーブルをつなげば機械は動きます」という時代じゃない。この回転エネルギーを、歯車だのワイヤーだのいろいろな方法で遠方まで伝えていくのだから大変だ。

オイル

11:02
蒸気機関のシリンダー部分のいたるところに、油を貯めるポットがあった。

「それぞれ色が違うな」

よく見ると、どれも色が違う。稼動部分それぞれに、必要とされる油の粘度が違うのだろう。面倒くせぇ。KURE556一つで済ませるわけにはいかんか、さすがに。

「この油もレプリカだろ、さすがに」

という声があったが、しばらく様子を見ていたら、ポタポタとしたたって油が稼動部に補充されているのがわかる。本物だった。

で、蒸気機関の実演だが、本当に蒸気で動いているのかどうかはわからなかった。さすがにこの実演のために、ボイラーでお湯を沸かすのは大変だろう。だから、床下には電源が供給されているのだと思うのだが・・・まあ、そのあたりは「ウルトラマンの背中にチャックが付いているのを、見て見ぬふりをするのが大人のあるべき姿」というのと一緒。あまり考えないようにしよう。

「蒸気機関」といえば、やはり真っ先にイメージするのは蒸気機関車だ。盛大に水蒸気を噴出し、ボボボボボと音を立て、時折汽笛をポーッと鳴らす。しかしこの蒸気機関は、そんな派手さは皆無だった。ゆっくりと車輪が回り始め、なめらかかつ確実に加速していった。ディーゼルエンジンかと思ったらハイブリッドエンジンでした、というくらい音が違う。拍子抜けしたが、実際はこういうものなのだろう。音がしまくる、ということはそれだけ力にロスが出ているというわけだから。

見物に訪れていた子供たちは、この「思ったより地味な展開」にぽかんとしていた。シュポシュポならないからだろう。

バイオリンの演奏

11:07
さっきまでぴくりともしていなかったパートナーロボットが演奏をしていた。バイオリンを手に朗々と演奏中。バイオリンって、へたくそが弾くとギーギー耳障りな音がするのに、こいつはちゃんとした演奏をしているのでさすが。ただし、きれいな音色かというとあんまりそういう感じはしない。バイオリンが安物なのだろうか?

「早く演奏しているな」

蛋白質が指摘する。

「たぶん、長い音を奏でるには技術的に難しいんだろう。だから、スピードを上げて演奏してごまかしているんじゃないか?」

なるほど、そういうことか。このあと、クラシック好きな蛋白質とちぇるのぶがしばらくクラシック談義に花を咲かせていた。「あの演奏を聴いたか?あれはよかったな」「そうそう、あれはよかった」なんて会話をしている。

こっちは金管楽器を吹いている

11:14
こちらのパートナーロボットは、金管楽器やドラムを手にしている。実演時間ではなかったので演奏は聞けなかったのだが、唇の形で音をコントロールする金管楽器をどうやってメカが鳴らしているのか不思議でならん。

いや、「どうやって」というか、結論は一つしかなくて、人間そっくりにロボットの口が動くということだ。たぶん、柔らかさとか形が人間の唇と同じものを装着しているのだろう。うげえ、なんだかすごいというより気持ち悪さもある。

「その技術さえあれば!唇がなまめかしく動くということは!」

よからぬことを考えてしまう。18禁グッズに応用できるのは間違いないのだが、さすがに天下のトヨタがそのような商品は作るまい。では、特許が切れた暁にはこのオレがそういう商売を!

・・・やめとけ。

展示に戻る

11:19
あらためて織機があるエリアに戻ってきた。気を取り直して、もう一度紡績のお勉強。

先ほど、かなりハイテクな機械まで見てしまったが、いったん時系列をさかのぼって「蒸気機関を使ってようやく効率よく機織りができるようになったぜ」程度の織機を見る。

頭上から織機にベルトがくくりつけられている。この織機の動力源は頭上に通っている棒で、この棒がグルグル回ることでベルトが回り、織機が動く。一つの棒からいくつもの織機が動力供給を受けていて、こういうのを見ているだけですごい。昔の仕組みであるにもかかわらず、むしろSF的な印象を受ける。機械が有機的に繋がっているように見えるので、見方によっては薄気味悪くさえある。

展示1

「G型自動織機の集団運転」ということで、昭和初期に用いられていた織機が再現されていた。この看板の周囲には同じ型の織機が並ぶ。

「一人の女子作業者が30~50台を受け持った」という記述に、蛋白質がまた「あー」と声を挙げた。

「やっぱり、どんどん人がいらなくなっていくんだな」

今の便利な世の中、というのはこうやって成り立っているということを思い知らされる。でもこういう技術革新がなかったら、Tシャツ1枚買うにしても「工芸品」のレベルになってしまい、やたらと高くなっていたはずだ。

人間の貪欲さに感謝するけど、やっぱり何かぞっとする感覚が常に付きまとう。そういうものを感じさせてくれるこの施設はやっぱりすごいと思う。技術の進化を無邪気に見せてくれているけど、その奥にある「人間の『業』」を考えさせられる。

展示2

11:33
自動織機。

なにがどう自動なのかというと、人がパッタンパッタンと機織りをしなくていいのは当然として、横糸が尽きたら自動停止する仕組みももっているからだ。そういう機構は、センサーを使うといったものではなく、あくまでも機械的だ。むしろそういう目に見える仕組みでいろいろ動くというのが、ブラックボックスだらけの環境で生まれ育った僕らにはとても目新しく見える。

展示4

「こちらで実演やってます」などの声に導かれたりしているうちに、時系列を随分すっ飛ばしてしまったようだ。順路がない分、いきなりハイテクメカと対峙したりする。

もうここまでくると一気に現代っぽい。模様付きの布を自動で作ってるぞ。

展示5

このメカに至っては、一つの大きな布からいくつもの色と柄の生地を紡いでいた。自動織機を見た後にこれを見たので、一体何がどうなったらこんな進化を遂げたのかさっぱり理解できない。人類において100年間の進化というのは残酷なまでにすごいな。

ということは、これから先100年後なんて人類は一体どうなってるんだ?やっぱり、子供の頃夢見た21世紀のように、「空飛ぶ自動車」「海底都市」「火星基地」「壁掛けテレビ」なんてのが実現するのだろうか。あ、でも壁掛けテレビを薄型テレビに置き換えれば、既に一家に一台レベルに普及しているな。

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