13:53
駅の壁に貼ってあったポスター。「温泉ですっぴん お泊り女子会プラン」と銘打たれている。
ほほう、岐阜グランドホテルに行けば、「温泉ですっぴん」の女子がたくさんいる、ということなのか。穴場発見!
やめろやめろ、このご時勢、そんなことを冗談で言っても通用しない。ガチでストーカー気質の変態と思われる。
「それ以前に、『女子』というのはお前が淡い期待を抱いている年齢かどうかの保証はないぞ」
「・・・そうだなぁ。それに、すっぴんなのが本当に良いことなのかどうか、男にゃわからん」
あっ!「男性もOK!」って小さく書いてある!なんだこりゃ。
「女子会の中に男性が混じっていてもいいですよ、ってことなのか?それとも、男子会でもいい、ってことか?」
だったら「女子会プラン」でもなんでもない。
13:54
知立(ちりゅう)駅到着。
ここから支線の名鉄三河線に乗り換え、南下して刈谷を目指す。
名鉄三河線、なんで碧南とかいう場所を終着点として路線が引っ張られているのかがよくわからない。JRすら通っていない田舎のように見えるからだ。しかし、調べてみたらこのあたりには工業地帯になっており、かなり栄えているらしい。知らなかった。
知立から南に向かえば碧南の工業地帯、北に向かえばトヨタがある豊田市。なるほど、侮れない路線だわ、これは。
14:29
とはいえ、名鉄本線と比べれば三河線は本数が少ない。結構待たされた後、碧南行きの電車がやってきた。
14:38
わずか2駅で刈谷駅到着。
もしこの駅で正解なら、正解を確認後またUターンすることになる。それが盲腸路線の定め。まさか、ここからさらに盲腸の奥、碧南にもぐりこむということはあるまい?
刈谷駅の名鉄改札口を出たところが、JRの改札口との連絡通路。ここからの眺めがポスターの写真だと思われるのだが・・・ほら、そのとおり。ここだここだ。
窓ガラスが開けられなかったのでガラスに入っていた筋がそのまま映りこんでしまったが、このアングルでほぼ間違いない。良かった、もしこの駅が違っていたら、さてどうしたものかと途方に暮れるところだった。
14:39
改札の中に、毎度おなじみポスターが貼ってあった。「三つ目の問題クリアおめでとう!」と書いてある。
初級編は4つの駅を巡るラリーなので、ここに掲載されている駅がゴール地点ということになる。ゴールにふさわしい駅とは一体どこだ?
「名古屋駅じゃないか?」
「セントレアだよ、あっちの方にはまだ足を踏み入れていないし」
お互い、わあわあ言いながらポスターを覗き込む。
んー?
また改札口の写真だ。ここはどこだ?少なくとも、名古屋駅でも中部国際空港駅でもない。
「中央改札口」と書かれているのはわかる。
「ということは、中央ではない右寄りとか左寄りとか、上とか下とかそういう改札口もあるということか」
これも一つのヒントになるのだろう。でもそれだけじゃ駄目だ、他に何かないか?
「1番線・2番線が『金山・名古屋・岐阜・犬山方面』、3番線・4番線が『豊橋・豊川稲荷方面』ってなってるな」「ということは名鉄本線のどこか、か」
ほほう、なるほど。さらに、「神宮前駅から国府駅(豊川稲荷方面に分岐する)の間」である、ということになる。面白い、絞込みは少しだけできた。でもそれ以上はよくわからない。この駅に降り立ったことがないと、わからないんじゃないかこれは?
「見ちゃだめ?」をえいやっとめくってみると、
日本さくら名所百選のひとつ
五万石藤まつりは、春の風物詩
と書いてあった。それを見たちぇるのぶが、
「ああ、岡崎だこれは」
と即答した。しぶちょおも岡崎で間違いないと太鼓判を押す。そんなにイージーな話なのか?これって。地元民じゃないと全然ぴんと来ない。春の風物詩、って言うくらいだから有名なんだろうけど。
「五万石」というからにはお城がある(またはあった)のだろう。となると、確かに沿線だと岡崎がそれっぽい。
「でも待てよ」
今さっき即答したばかりのちぇるのぶが、首をひねり始めた。
「藤まつりは岡崎公園なんだけど、岡崎公園駅ってこんなに立派な駅だったっけなぁ?各駅停車しか停まらない駅でもっとシンプルな駅だったと思うんだ」
ちぇるのぶは天才肌の記憶力を持っている人間なので、こういう直感というのは大抵間違いない。しぶちょおが
「東岡崎駅もあるぞ」
と助け舟を出し、愛知勢二人で協議開始。
「この写真、よく見ると電光掲示板に特急の表示があるな。特急が停まる駅といったら、東岡崎だろ」
これが決定打となった。後で確認したら、東岡崎駅は確かに各駅停車しか停まらない駅だった。
駅の掲示板に、「あなたはどの”きっぷ”?」という張り紙があった。そこに、「五万石藤まつり・岡崎城へ」と書いてあった。あ、やっぱり岡崎で間違いないんだな。で、特急停車駅なのだから、東岡崎というわけだ。
岡崎市のグルメマップが置いてあったので確認してみる。
なるほど、確かに岡崎城がある岡崎公園は、最寄りが岡崎公園駅だ。しかし、我々が目指す東岡崎駅からでも十分にアプローチ可能な場所。五万石藤まつりをヒントにしてもなんらおかしくない。
「おいちょっと待て、こっちも藤まつりだ!」
蛋白質が、別の掲示板に貼ってあるポスターを発見した。そこには「尾張津島 藤まつり」の文字が。
「トラップだぞ、わざと間違えさせるためのトラップに違いない」
なぜか蛋白質は嬉しそうに言う。
そうか、この時期はあちこちで藤まつりが開催されているのだな。ところで津島ってどこだ?
「名古屋の西のほうだ。長島とかあっち方面」
と聞かされ、ぞっとした。やべえ、うっかりそっちに向かっていたら、大幅に時間をロスするところだった。
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