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バスと地下鉄を乗り継いで、名古屋の繁華街・栄にやってきた。
何度も訪れたことがある地だが、整然と碁盤目状に作られた街なので道に迷いやすい。「広い道が1本あって、それをつなぐ形で狭い道が直角に交差する」ならまだわかりやすいのだが、縦の道も横の道もやたらと幅広いのが名古屋クオリティだ。それゆえに、ぐるっと交差点で周囲を見渡しても、東西南北がわかりにくい。もちろん慣れればなんということはないのだが、僕のように「中途半端にこの町を知った気になっている」くらいなのが一番ヤバい。
栄に神社仏閣があるわけではないのだが、ひとまず蛋白質が自ら苦役を化しているキャリーカートをどうにかしないといけない。そこで、まずは今晩の宿に荷物を預けることにしたのだった。
到着したのは、「カプセルフジ」というカプセルホテル。栄のまさに中心地にある、男性専用施設だ。こんな良い立地にカプセルホテルがあってもいいのか!と驚いてしまったくらいだ。女性の皆様に申し訳ない。どうぞ女性専用カプセルホテルも作ってあげてください。あ、でも女性はあまりカプセルホテルを使おうとしないか?
カプセルホテルというのは、男の子の「秘密基地」感覚をグイグイと刺激し、夜中に鼻血が出てしまうのではないか?というくらい憧れがある。少なくとも僕にとっては、だ。
そんなカプセルホテルに泊まったことは、過去に2度ほどある。しかし札幌で体験したカプセルホテル体験は、ちょっとゴージャスな半個室型のカプセルだった。「まるで吉見百穴のような」いわゆるカプセルホテル、というのは今回が初めてになる。これがワクワクしないわけがない。
これまで外泊を多くしてきた僕ではあるが、そのほとんどが「温泉旅館」だった。カプセルホテルはおろか、町中にあるシティホテル・ビジネスホテルでさえほとんど泊まったことがない。だから今回、「疲れ果てた男たちがつかの間の癒しを求めてたどり着く最果ての地」を利用できることが嬉しい。後でじっくり探検しようと思う。
それにしても何だ、カプセル500室って。蜂の巣じゃないんだぞ。人間ってこれだけ密集させながら寝泊りできる生き物なのだなと若干の恐怖すら覚える。
「サウナ&カプセル フジ」という施設名なので、当然サウナがある。「大浴場はないのか、残念だな・・・」とがっかりしたのだが、ちゃんと大浴場はあった。むしろ大浴場の片隅にサウナがあるという構図で、一般的な日帰り入浴施設と大差ない。それでも、「サウナ!」と明記しているのは、昔はサウナというのが格が高く、自慢すべき設備だったのかもしれない。
立地条件のよさもあって、サウナ入泉は1,880円と結構高い。カプセル宿泊が3,200円(週末は3,700円)であることを考えると、夜にサウナを利用するくらいなら、いっそのことカプセルに泊まっちゃったほうがよいかもしれない。
しぶちょおが
「金券ショップ寄ればよかったなあ」
と悔しがる。金券ショップで、この施設の回数券がバラ売りされているかもしれないからだ。そうか、「一泊するのに、金券ショップを利用する」という考え方が成り立つのか!目からうろこだ。
宿に泊まらない地元勢を建物入口に残し、蛋白質と僕とでフロントに向かう。玄関先のロビーには、パンツ一丁のおっちゃんがうろうろしていたり涼んでいたりするので油断はならない。
宿は1泊3,200円だった。安い。何度も「本当にこの値段か?」と確認してしまったくらいだ。というのも、ここは週末価格が3,700円であり、GW中の祝日である今日も当然3,700円だと思っていたからだ。しかし、この施設の料金体系はあくまでも「金、土曜日が3,700円」なのであって、それ以外の曜日であれば祝日であろうがGW中であろうが、平日料金が適用されるらしい。なんて太っ腹な。
名古屋行きが検討され始めた際、僕は名古屋界隈のビジネスホテルの空きを「じゃらん」「楽天トラベル」などで探していた。しかし、検索結果に出てくるのは1泊素泊まり1万円越えのものばかり。「ばかり」といっても、件数は非常に少ない。さすがGW。そんな中、カプセルホテルとはいえ3,200円、しかも好立地となれば最高だ。
フロントで前払い会計を済ませ、ロッカーの鍵を受け取る。安いカプセルホテルとはいえ、ちゃんとクレジットカードで決済ができる。変わっているのは、連泊料金をその場で支払わせてくれないこと。1泊分だけしか処理してもらえなかった。明日の分は?と聞くと、明朝またあらためて、という。連泊することを想定していない会計の仕組みなのだろうか?
フロントの裏手がロッカールームになっている。荷物、着替えなどはすべてここに格納することになる。寝る場所(カプセル)はロールカーテンだけでセキュリティが全く担保できないし、風呂場にモノを置くわけにもいかない。なので、ロッカールームがこの建物における中核施設ということになる。
なるほど、だからパンイチのおっちゃんがフロントあたりをウロウロしているわけだ。外から丸見えだぞ、おい。
ロッカーに荷物を置き、この建物の一階部分だけ軽く探検してみる。まずは洗面所。
特に何かすごいものがあるわけではない。でも、「ほほぅ」と感心してしまう。スペースが狭い、というのが特徴。女性も利用するパウダールームならこうはいかないだろうが、男性専用施設なのでへーきへーき。
コインランドリーもある。
この施設が風変わりなのは、地下4階地上7階という建物構造であるということ。「え!?地下4階?まじで?」と驚いてしまう。東京でもそうそうないぞ、地下4階まであるビルって。
浴室はその最下層の地下4階、客室は最上階の6階7階にある。なんでこんなに両極端なんだ。だいたい、浴室が地下4階ってなんだ。足元湧出の自家源泉を備えております!とでも言い出しそうだ。ここまで湯船が低い場所にあるなら、排水するときはポンプで吸い上げないと下水管に届かないだろう。
地下1階にはレストラン、地下2階にはリクライニングチェアが並ぶレストルーム、地下3階はマッサージコーナーがある。男のロマンだな。ここに住めるかもしれん。
興奮ついでにトイレも撮影してしまった。だから何なんだ、と後日冷静になってみると気が付く。バカじゃないかと。でもそれくらいテンションが上がっていたという証。
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