
「銀のあん」も繁盛店だが、あちらはチェーン店。一方、大須に根ざした繁盛店としてもう一つあるのが、ピザ屋の「チェザリ」だ。ピザ職人世界一の称号を得た事もあるシェフが開いたお店というだけでも話題だったが、驚くべきはその価格で、僕がアワレみ隊企画としてこのお店を訪問した2009年時点ではマルゲリータが350円だった。
今でこそ、「打倒!宅配ピザの高い値段!」とばかりにお店で食べる安いピザ屋、というのをあちこちで見かけるようになった。しかし当時はそんなお店はほとんどなかったし(シェ-キーズのピザ食べ放題くらい?)、ましてや優秀なピザ職人が作るピザが安い、なんてあり得なかった。
「いずれ混むようになるぞ、このお店」
とばばろあとしぶちょおは予言し、このお店がテレビで紹介される度に苦々しく思っていたようだが、実際そのとおり大人気の店になってしまった。あーあー。

ただ、お店は商売上手で、増えた客をこなすためにすぐ隣にもう一軒、ピザ屋を作っちゃった。こっちは「SOLO PIZZA」という。何故か、本来のチェザリの方は行列がないのに、新しいSOLOの方には長蛇の列ができている。

聞くと、チェザリはピッツェリアとしての業態に切り替えたらしい。ちゃんと着席して、落ち着いてピザを楽しむお店だという。そのかわり、お値段はこれまでよりも上がっている。

一方、以前のチェザリがやっていたような、セルフサービス型ピザ屋の業態はSOLO PIZZAが受け継いでいた。お値段も、一番安いピザが350円のまま(税別)と相変わらずの安心価格だ。行列ができるのもこれなら納得だ。もちろんテイクアウトだってできる。ハンバーガーショップ感覚で、店内で食べる事だってできる。うらやましいお店だ。
「食べていく・・・わけ、ないよな、さすがに」
「いや、おかでんさん食べてきてもいいんだよ?食べてくれば?私たち、みてるから」
「それは無理だ、ういろう食べたばっかりなのに」
ういろうが胃袋にずっしりと沈殿している今、ピザは無理だ。しかも名物ピザとはいえ、「名古屋めし」ではないものを受け入れる余裕はさすがに今はない。

名古屋めしそのものではないけど、いつのまにか「大須名物」を名乗るに至っているお店と料理がある。それは、鳥の丸焼きを提供するブラジル料理店、「オッソブラジル」だ。

店頭でぐるぐる回転しながらローストされている鳥丸ごと一匹の図、というのはかなりインパクトがあり、通り過ぎる人が思わず立ち止まって観察してしまう魅力がある。いわゆる「ロティサリーチキン」なのだが、調理シーンを観察できる場というのは少ないので、ついつい興味を持ってしまう。

ちなみに串に刺されてローストされた鶏肉一羽で1,600円。高いか安いか、微妙なところではある。しかし、こうやって店頭で調理シーンをみてしまうと、食べたくなるのが人情ってもんだ。ついつい頼んで食べてしまうのだろうし、食べなかったとしても「大須で、鳥の丸焼きを見たよ!」という思い出が後々まで残り語り継がれる。そんなわけで、今やすっかり大須名物の一角を担っているのだった。
以前、「ひろしまフラワーフェスティバル」で牛の丸焼きをやっている屋台を見かけたことがある。これはさすがにやり過ぎというか、デカすぎてインパクトありすぎてむしろ怖かった。ニワトリくらいのサイズが、丸焼きにするにはちょうどお手頃な、食欲をそそるサイズなんだと思う。

たこ焼きの屋台。そしてその奥には「台湾唐揚げ」のお店。本当に大須は台湾を名乗るお店があちこちにある。ブランド化しているというか、「台湾」と名前を付けておけば、ちょっとした異文化感、珍しさ、でもヤバい系ではないであろう安心感、という絶妙なバランスを通行人に与えるのだと思う。
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