
熱田神宮の本宮にお詣りをする。
なんかいいと思わないか?メシ喰って、大須観音にお参りして、またメシ喰って、熱田神宮にお詣り。俗と聖が交互にやってくる。卑しい気持ちが洗われる気がするぜ。嘘だけど。
いっそのこと、摂取したカロリーも浄化してくれれば最高なんだけど、と思うのだが、そんなことを神様にお願いしても、神様だって困るだろう。「縁結び」とか「家内安全」なら「よっしゃまかせておけ」とやる気を出してくださるかもしれないけど、「今食べた料理のカロリーが体内に吸収されませんように」というお願いにはきっとガッカリなはずだ。

本宮の脇にある「勾玉苑」では、今まさに結婚式が執り行われているところだった。おおおー、人様の結婚式をこうやって見る機会なんて滅多にないので、興味津々だ。つい立ち止まって、魅入ってしまった。しかも、「背後から」ではなく、「真横から」式の様子を見るなんて、キリスト教だろうが人前婚だろうがあまり機会がないことだ。

巫女さんも現れ、なにやらうやうやしく儀式的な動作を行っている。我々一同、「へえええ」と言いながらその様子に見とれていた。
「教会で式を挙げるときと同じように、新郎新婦家族って後ろに並ぶものなんだな」
「うちの兄貴んときは、向かい合わせに座ってたぞ?」
なんてひそひそ話をしながら様子をうかがう。距離を開けて観察しているので、別にひそひそ話でなくても良いのだけど。

ふすまや障子で外と仕切っていない、ということは、参拝客に見られても良いという前提で挙式をしているのだろう。新婚ご夫婦だって、当然現地下見をした上でこの勾玉苑を選んだわけだから。だから、「不本意なさらし物」というわけではあるまい。
とはいえ、厳かな神道式だ。観察者である我々がどういうテンションで臨めばいいのか、正直つかみかねた。キリスト教なら「おめでとー!」って感じで祝福だけど、こういう場合はニコニコしてちゃいかんような気がする。どうなんだろう、実際。
「そもそも、キリスト教だって式の途中におめでとう!っていきなり叫んだりしたりはしないよ」
あ、そりゃそうか。式が終わるまでは全員神妙だよな。じゃ、やっぱり僕らはあんまりずかずかと近寄って観察したり、エールを送らない方が良いって事か。
で、おやびんは木の陰に隠れて、こっそり式の様子をうかがう有様。いや、隠れても無駄だから。僕らもう丸わかりだから。
僕らがこの式の様子を遠巻きに観察しているのに触発されてか、だんだんその他の参拝客も挙式の見学のために勾玉苑周辺に集まってきはじめた。僕らがかなり遠くから、お邪魔にならないように観察させて頂いておるというのに、後からやってきた人達はバンバン近づいて観察している。
「しっかりやれ!声がうわずってるじゃねーか!緊張してんじゃねーぞ!」
「何が三三九度だ!一気に飲み干せ!」
とかヤジ飛ばす輩とか出てきたら新郎新婦はたまったもんじゃないけど、今回はそういう人はいなかった。


夫婦揃っておみくじを引いて、なにやら渋い顔をしているお二人。それを見て、自分はおみくじをひくのをやめておいた。


熱田神宮のお守りはカラフルかつ多種多様だ。こういうのを見ると、コレクションしたくなるという人もいるんだろうな。ご利益はさておき、集めずにはおれない・・・みたいな人が。ビックリマンチョコのシールを集める感覚。
最近、神社やお寺を巡って御朱印を頂くというのをスタンプラリー感覚で楽しんでいる人が増えていると聞くが、こういうお守りをシールにして、ぺたぺた貼っていけるようにすればそれは新しいビジネスになりそうな気がする。手書きの御朱印よりはインパクトが薄いけど、なにより手っ取り早い。「事前に入念に祈祷されたものです」として売れば、お守りなんだからそれなりのお値段で売ることもできる。
うーん、やっぱり流行らないか。まず僕自身が欲しいとは思わないから。なんか、あちこちの神社のお守りを一度に束ねたら、お互いの神様がケンカしはじめそうだ。

祈祷の受付に顔を出してみる。たっぴぃさん情報によると、ある程度まとまった人数で祈祷をお願いすると、巫女さんの舞が付くお祓いをしてくれるのだという。確かそうだったと思う、ということでたっぴぃさん自体記憶がやや曖昧ではあったが、以前たっぴぃさんの勤務先でそういう行事があったのだという。
「もし出来るんなら、巫女さんに舞ってもらいましょうよ。アワレみ隊OnTheWebのオフ会メンバー一同、とかいうことにして」
という提案をたっぴぃさんから受け、それはそれでいいかもと思った。オフ会メンバーといっても、みんなバラバラな出自であり、せいぜいオフ会の時に集まってくる連中というくらいしか共通項がないんだが、そんなのはどうでもいい。
で、たっぴぃさんが窓口で問い合わせてみたところ、実際に巫女さんの舞はあるそうだ。しかし残念ながら祈祷の受付は16時までであり、既に時間が過ぎていた。残念!またの機会があれば是非お願いしたいところだ。
ところでこの神社にはいったいどれだけの巫女さんがいるというのだろう。さっきの結婚式にもいたし、他にも境内には結婚式場がある。祈祷だってひっきりなしにあるだろうから、正月に限らず巫女さんは大忙しだ。正月限定バイトではない「プロの巫女さん」ってのはやっぱり厳しい戒律みたいなのがあるのだろうか?・・・って、それをズバリ聞いたらさすがにまずいよな。いろいろ頭の中では聞いてみたい質問事項が浮かぶけど。

これは「神楽殿」だったかな?本殿の隣にある建物。恐らく、祈祷専用の建物なんだと思うが、それでもこのサイズ。これが本殿ですと言われてもなんら違和感がない。

西楽所、というところの脇を通過する際、なにやら藤の花の下にミニチュアセットのようなものがあることに気がついた。近寄ってみてみると、精巧とは言えないにしても農作業をしているジオラマと人形がそこにはあった。なんだこれ?
説明要員的な方が脇にいらっしゃったので話を聞いてみると、この藤の花の咲きっぷりを農家の方が見て、そこから今年は豊作かどうかとか、いつ種を蒔けばいいのかとかを判断するのだという。ちなみに柱を挟んで左側が畠、右が田ということらしい。
「藤の花、満開じゃないですか。じゃあ今年はズバリ豊作、ってことでいいですかね?」
と説明してくださった方に核心を問うてみたら、
「いや、それはみなさんがご判断されることですので」
と言葉を濁された。あれっ、公営競技場にいる予想屋みたいに、「次のレースはこれが来るよ!」みたいなビシイッとした断言はしてくれないんだ?
「過去の状態と比較しながら、今年はどうかというのをみなさんが判断されるんです」
だ、そうで。なので、新参者で過去の事を知らない僕らは「ウワア、藤の花満開だよ!今年は豊作だよ!」と無邪気に喜ぶしかない。でも僕ら農家じゃないし、それでいいと思う。
一般消費者としては、「異常気象のため白菜が高値なので、冬になっても鍋料理とかやりづらいです」なんてことになったらすごく悲しいけど。
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