名古屋なめ尽くしオフ【名古屋】

復元中の本丸御殿

天守閣の1階でうやうやしく展示されていた「重要文化財(こくみんのたからもの)」、本丸御殿の障壁画。本丸御殿も天守閣同様、空襲で焼けてしまったので現存はしていない。それどころか、他の城同様、天守閣だけは再建したけど、あとはそのままになっている。

・・・と思っていたのだが、なんとこの本丸御殿、現在再建が進められていた。実際に殿様が居住した場所である本丸御殿だなんて、ちょっと考えただけでかなりデカい、ということは想像できる。それを再建するとなると、一体どれだけのお金がかかるんだ?土地代はかからないとはいえ、上屋だけでもとんでもないお金がかかるはずだ。まさか、歴史テーマパークのような張りぼて建築をするというわけにもいくまい。やるからにはがっちり作り込んでいないと意味がない。で、それを今まさにやってる最中とな。太っ腹じゃのー。

「尾張名古屋は城でもつ」という言葉が「伊勢音頭」の中にあって有名だけど、その城が今まさに復活しようとしている。恐らく、この名フレーズがあるからこそ、東京でもなかなかやらない規模の復興事業に取り組むのだろう。

ずらりとならぶロッカー

で、その本丸御殿、現在工事中なのだけど、一部は開放して観覧できるということだった。それは願ってもない話、せっかくなので見て行くことにした。

入ってすぐのところは、スーパー銭湯のエントランスみたいに鍵付き下駄箱がずらりと並んでいた。ここで靴を脱いでくれという。そりゃそうか、土足で立ち入るわけにはいかない。

床

ただ、その後がやっかいで、「靴下をはいている場合はそのままで構わないが、はだしならスリッパを履いてくれ、と職員から指示があった。脱げといったり履けといったり、ややこしい。

まさかはだしの人なんて、と思ったが、ああそうか、女性ってサンダルの人も多いからはだしってザラなんだな。男性の場合、あまりはだしで出歩くことはないので、いざ周囲を見渡してみてなるほど、と思った。

まゆみさんは・・・完璧はだしなので、スリッパ確定。よこさんは・・・ええと、ストッキングだ。これはどっちの扱いだ?あ、これもスリッパ対象なんですね。で、おやびんは・・・粗い編み目状の靴下を履いている。なんでそういう判断が面倒なものを履いているのかね。これは?

職員さんも判断に一瞬躊躇していたので、おやびんは「じゃあいいです、履きます」ってことに自主判断した。そこまでスリッパを嫌う理由も特にないからだ。もう、面倒だから全員一律でスリッパを履いて下さい、でいいんじゃないかと思う。

まるで日帰り入浴施設

それだけでなく、建物の保護のために大きな荷物があるならロッカーに預けて欲しい、とも言われた。通りすがりに柱にガツン、とぶつけて傷が付いたりしないように、ということだ。なるほど気を遣っている。

注意しながら歩く

一泊旅行の我々、特にお泊まり荷物を駅のコインロッカーに預けるといったことはしていない。そこまで荷物は大きくないからだ。とはいえ、決して小さくはない荷物を持ち歩いている。そこでザックの人はおとなしくロッカーに荷物を預け、たっぴぃさんのようなショルダーバッグはそのまま携行となった。

ただしショルダーバッグを携行する際の条件として、「体の横でぶらぶらさせないこと」という指示があった。抱きかかえるか、写真のたっぴぃさんのように完全にお尻の方に回してしまうかのいずれかが求められた。ブラブラさせて、それが何かの拍子で柱にひっかき傷を作ってしまうのが困るらしい。

確かに、この写真のように柱の脇を通り、幅の狭い引き戸の向こう側に抜けていくという導線だと、うっかりするとガリッとやってしまいそうだ。「建物を再現して、展示する」というのはこういうところが難しい。さっき見た天守閣のように、「外側だけは往時のものだけど、中はまるっきり違うもの」と割り切ってしまえば導線はどうとでもなる。なんなら、テーマパークのアトラクションのように、ガイド付きのライドに客を乗せて自動運転させたっていい。しかし、この本丸御殿は「建物そのものを再現することに意義がある」ことなので、「来場者」と「展示物(=たてもの)」を明確に仕切ることができない。

おっかなびっくり、館内を歩く。

まだ新しい建物

巨大建物が本丸御殿をすっぽり覆っている。鉄工場のようなその建物の中で、雨や風に晒されることなく本丸御殿は建てられている。それだけ手間暇をかけて作っている。

かなり大胆に開放している

本丸御殿は3期10年に渡る工期で復元工事が進行中。現在公開中なのは第一期工事で完成した玄関と表書院で、2013年から公開が始まっている。

一期だけでも4年かかっているのだから、かなり巨大だし大変な工事だということがわかる。実際、かなり広い。そりゃそうだ、尾張の殿様がおわした場所だもんな。

立派すぎる建物

表書院。旅館のように部屋が並ぶ、いわゆる「応接室」の役割を果たした場所。玄関から遠い奥の部屋になればなるほど格が上がるんだそうだ。

狩野派の立派な絵

床の間とか壁がキンキラしている。さすが尾張藩、しゃちほこだけ金にして、上っつらだけの見栄を張ったわけじゃあない。館内もふんだんに金が使われいてたのか。

それにしてもこれは・・・さっきの新聞記事じゃないけど、「眼がくらむぜ」。

こんな部屋にいたら、落ち着かなくてソワソワしてしまうだろう。さすがに実際に生活していた部屋(現在二期工事で復元中)はもう少し地味だとは思う。こんな部屋で寝起き執政していたとしたら、絶対暴君になる。まともな判断ができそうにない。

こういう障壁画も全部狩野派の絵師によって新たに作られているものだろうから、きりがないレベルで手間暇がかかっている。よくこんな復元計画にGOサインが出たものだ。総工費いくらだよ・・・と思って調べてみたら、150億円。あれっ、思ったより高くなかった。天守閣の復元計画が総工費400億円という話なので、これもそれに匹敵するくらいのお金がかかるものだとばかり思っていたが。いやいや、いかんな、なんだか金銭感覚が麻痺してきているような気がする。

ふすまがすごい

ヒノキだらけの建物の中、今回見ることができる最奥の表書院がこの部屋。

半開きになった襖の奥にもう一部屋ある。そこが表書院の中で一番格式のある「上段之間」。お殿様はこの部屋を使ったのだという。見ると、こちら側よりも一段、畳の高さが高い。なるほど、だから「上段之間」なのか。

そりゃあ、こんなところからお殿様がお成りあそばしたら、僕ら平民は土下座するわ。もう、舞台仕掛けからしてそんな雰囲気を醸し出している。あ、でも、平民の分際でお殿様とこの部屋で謁見する機会なんてあるわけがないから、そもそもの仮定が間違っているか。

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