名古屋なめ尽くしオフ【名古屋】

とんちゃん

肝心の「とんちゃん」だが、このお店では取り扱いがなかった。何のために「もう一軒」訪れたというのか。そのかわりにメニューに存在したのが、「鶏ちゃん」だった。あー、ご近所の親戚筋ならあります、ということか。

とんちゃん目当てだったけど、どうせ鶏ちゃんだって食べたことがないんだ。もうこの際その「親戚」でもいいや。

店員さんがしばらくして卓上に運んできてくれたのは、カセットコンロと、その上に載るフライパンのような鍋。鍋の中には、鶏肉と太く輪切りにされた葱、そして赤味噌が入っていた。なるほど、これが「名古屋風」の「鶏ちゃん」なのか。

まだ調理されていない状態であり、これから加熱していくことになる。

焼かれる肉

目の前でカセットコンロに点火される。しばらくすると、味噌がグツグツと煮えてきた。ああ、名古屋じゃのう、という独特の赤味噌の臭いがする。豆麹で作られる赤味噌は独特の濃厚な味と甘さがあり、他の地域で作られる味噌とは全く違う世界を形成している。他の地域が、その味をさほどおいしいと思わなかったからこそ赤味噌は全国区にならなかったのだろうが、その結果名古屋を中心とした愛知県は他県にはない独特の食文化が根付くことになったのだから面白いものだ。時代が巡り巡れば、「独自の食文化」ってことで高く評価されるんだから。

その点、信州味噌なんて偉大すぎちゃって、日本全国信州味噌とその類似の味噌だらけだ。むしろ長野ならでは感は薄くなってしまった。まあそのかわり、長野にはイナゴとか蕎麦とかクルミとか馬肉とか、食べ物ネタに困ることはないのだけど。

できあがり

しばらくしてできあがった、「鶏ちゃん」。

先ほど入店できなかった「伊勢屋本店」で扱っている「とんちゃん」は網焼きなので、それと比べると調理法も違えば肉そのものも違う。葱が入っているというのも違う。何から何まで違うが、まあ・・・いいか。

それにしても味付けが濃い。本日何軒目だ?・・・わからん。大須で気ままに買い食いをしていたので、カウントがよくわからなくなってきた。10軒まではいっていないけど5軒は確実だ。そんな一日のシメがこの味付け、こりゃあかなりヘビーだ。

さすがにネイティブ名古屋人だって、酒飲んだシメで「ちょっとラーメン」とか「きしめん」という発想はあっても、「鶏ちゃん」とか「とんちゃん」という人はいないと思う。推測だけど。

おっと、時間が経てば経つほど、どんどん味噌が煮詰まって味が濃くなってくる。早くカセットコンロの火を消さないと。

みそおでん

しかも、「折角だから」って、「みそおでん」も頼んじゃったんだもんなぁ。これまた味が濃い。いや、空腹であったり、ガンガン清酒をこれから飲もう、という時にはいいと思うんだ。料理そのものは素敵だと思う。しかし、いくらなんでもひつまぶしを食べた後に食べるもんじゃあないな。

お酒を飲まない僕にとっては、この手の濃い味付けは苦行だ。だったらご飯を頼めばいいじゃない、と言われそうだが、いやもういらないっす。さっきご飯もの、食べちゃったんで・・・。

ラムネを飲むよこさん

酒飲み組も、脱落者登場。よこさんがお酒をやめ、ラムネを注文していた。

「なんか水分欲しくなっちゃって」
「いや、お酒も立派な水分ですよ?」
「そういう水分じゃなくてー」

確かに、今日はよく歩いたし、食べ回った。肉体的には筋肉も内臓もヘロヘロなはずであり、お酒なんて飲んでる場合じゃない、という気持ちになるのもよくわかる。実際、心底喉が渇いたときって、うまいと思うのはビールじゃなくて麦茶だったりするもんな。それと一緒か。

挑発的なメニュー

味の濃い料理二連発でさすがにとどめをさされた我々ご一行様、いよいよ箸が進まなくなった。そんな中、女性陣がメニューの中で「すり鉢パフェ」なるデザートを見つけ、きゃっきゃとはしゃいでいる。

「すり鉢に入っているなんてどんなんなんすかねー」
「頼んでみたら?」
「今から?いやだって、もうこの状態で?」
「いやほら、あまい物は別腹、って言うじゃないですか」
「その感覚、男にはわからんなぁ」

しばらく紛糾する。頼む/頼まないという議論においては、こうやって話題になった時点で「頼む」ことが確定なわけなんだろうが、問題はそのサイズだ。名前の通りすっげえ大きいのがやってきて、盛大に食べ残すというのはマナー違反だ。

「大丈夫?みんな別腹に余裕はある?」
「大丈夫っしょ。4人で分けるわけだし」

まあ、全員が健啖家だから問題はないだろうが、果たしてどれくらいのサイズがくるのやら。

「すり鉢、といっても大小様々なものがあるからなあ・・・」

小さな物は、某とんかつチェーンで、とんかつが出てくるまで胡麻をすってなさい、というソースを入れる用の取り皿サイズのものもある。あのサイズなら、もちろん余裕だ。

「890円、という値段が安いんだよな。そんなに量があるとは思えん」
「いやでも、3名~4名様でお召し上がり下さい、って書いてあるし」

やっぱり頼んでしまった

まだ見ぬすり鉢に思いを馳せているうちに届けられたのが、これ。あまい物を食べる、ということは本当に本日これが最後の最後、という決意表明でもある。食べるのはこれで終わりですよ、という宣言。

すり鉢パフェ、890円。なるほど、確かにでかい。「すり鉢」の名前に違わぬサイズ。

すり鉢パフェ

横から見るとこんな感じ。

パフェって、おしゃれ感を演出し、若い女性なんぞに食べてもらおう!という食べ物のはずだ。でもこの目の前のパフェは、なんとも渋い。茶色のすり鉢に盛られると、色気という点では皆無に等しくなる。甘党のお相撲さんが食べるのにどうぞ、みたいな感じ。居酒屋ならではのメニューといえるだろう。さすがにこの外観では、カフェなどに分類される飲食店には置けない。

値段の割には量が多いのは間違いないのだけど、びっくり感があるかというとそうでもない。みんな一様に「まあ、想像した通りだね」という顔になっていた。「すり鉢」という演出をしてしまったが故に、客のハードルが無駄に上がってしまったんだと思う。次は是非金魚鉢でパフェをやってもらいたい。値段は2倍3倍にしても構わないから。

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