
エレベーターで水の宇宙船から下に降りる。実際は地下2階にあたるこの建物の最下層、「銀河の広場」ではイベントが開催されていた。ダンスイベントの予選会らしく、朝10時にもかかわらずかなりの数の客を集めていた。
水の宇宙船によるガラス屋根と吹き抜けのお陰で、野外イベントとしか思えない雰囲気だが、れっきとした地下での開催だ。

「水の宇宙船」から、地下の「銀河の広場」を見下ろしたところ。水が張られたガラス屋根なので、ぐにゃっと画像がゆがんでいる。それがまた面白い。しかも下で行われているのがダンスパフォーマンスのコンテストなので、ますます面白かった。
・・・と言いたいところだが、まだ前説の段階で我々はオアシス21を後にした。さすがにダンスイベントを満喫するほど、僕らには余裕はなかった。

名古屋テレビ塔入口に到着。
地図上で見ると、このあたりまで地下街が広がっているように見える。しかし、地下から直接テレビ塔にはアクセスすることはできない、若干面倒な作り。いったん地上に出て、外を歩いてテレビ塔に取り付くことになる。
「こんな作りじゃ、雨の日には客が来ないよ?微妙な距離なんだし、なんとかならなかったのかねぇ」
と思ったが、よく考えてみれば、雨が降って視界が悪い日にはわざわざテレビ塔に行く人はいないか。
恐らく、テレビ塔を支えるためのいろいろな仕掛けが地下にはたくさんあって、それが邪魔をして地下道経由での入口を作る事ができなかったんだろう。これはしかたがない。

タワー上部に行くためには、いったん3階までエレベーターで上がり、そこでチケットを買ってエレベーターを乗り継ぐことになる。展望台は標高90メートル。さらにそこから屋上に出ることができ、そこは100メートルだという。

ワンデイパス、なんてものも売っている。これさえあれば、変わりゆく名古屋の景色を一日何度でも楽しむ事ができるんだという。
「すげえ!欲しい!」
棒読み口調で絶賛してみる。
スカイデッキ行きのエレベーターに一回乗るのに700円。だから、二回以上乗るならばお得!というわけだが・・・さて、一日何度もここを訪れるというシチュエーションがなかなか思いつかない。それは我々が部外者だからだろうか?
「年間パスとかならまだわかるんだけどなあ」

スカイデッキ行きのエレベーターは、シースルーな作りになっていて軽くスリルがある。

90メートル地点、スカイデッキ到着。
「テレビ塔のある 名古屋の風景が 私は好き。」
と淡く記されたポスターがお出迎え。
全体的に白っぽく、肝心のテレビ塔がぼんやりしてしまっている。この黒髪が奇麗な女性モデルさんばかり際立つという「一人勝ち」なポスターは結構な意欲作だ。
多分、こういう作品ができあがってきた時、「いやー、テレビ塔のポスターなんだしさぁ、もっとバーンとテレビ塔が見えないと」という意見もあっただろう。でも、「あくまでも風景に溶け込んでいることがコンセプトですから!」と主張した広告代理店およびカメラマンの辣腕ぶりは素晴らしい・・・のかな?
とはいえ、肝心のモデルさんが「テレビ塔」に背を向け、別の方向に視線を送っているのが気になる。キャッチコピーと違うじゃないか、と。
あっ、今わかった。「テレビ塔のある 名古屋の風景が 私は好き。」といっている「私」というのは、この被写体の女性ではなく、その女性を撮影しているカメラマンそのものなのか。つまりこのポスターには「あなた」と「私」と「テレビ塔」という3つの登場人物が実はいるのである、と。
なんだか国語の授業っぽくなってきたな。やめやめ、あんまり考え込んでも答なんてないぞー。

名古屋テレビ塔・スカイデッキからの眺め。久屋大通の真ん中に建てられているという立地なので、眺めがとりわけ開放的で気持ちいい。そして眼下には、先ほど小一時間滞在していたオアシス21が見える。独特な建物なんだけど、久屋大通自体が緑豊かな贅沢な道路なので、オアシス21をもってしても嫌味が感じられない。むしろ落ち着いて見えて、良い建物だと思う。

スカイデッキをぐるっと回っていると、名古屋テレビ塔の全身をパネルにしたものが置いてあった。ここで記念撮影でも撮ってくれ、ということらしい。おう、その挑発、のったらぁ。
「相方さん相方さん、是非この横に」
「え。俺?」
横に立って貰って記念撮影をしてみたが、大の大人が並ぶとちょっとスケール感が違いすぎた。
「おかしいなあ、本当なら『特撮映画の怪獣』みたいに巨大建造物と同じようなサイズの相方さんが写っているはずなのに」
どうやら、子供の成長記録を撮影するパパママ用、だったらしい。すいませんね、僕ら関係なかったですね。

スカイタワーの中は、何かの巣のように複雑に梁が斜めに走っていた。アート的な何かかと思うが、後付けで耐震補強をしまくった結果なんだろう。なにせ、開業は1954年(昭和29年)なんだから、東京タワーよりも先輩にあたる。今年で還暦の60歳というのだから建物としてはご高齢だ。出来た当時はもう少しすっきりしていたはずだ。
で、そんな名古屋テレビ塔だが、維持するにしても建て替えるにしても取り壊すにしても、どっちにせよお金がかかる。公共施設の側面があるとはいえ、税金でうまいこと賄っちゃうのは無理なレベルだ。そんなわけで、現在名古屋界隈では「テレビ塔支援自販機」なるものがところどころにあるらしい。その実物が、本家本元の名古屋テレビ塔スカイデッキに置いてあった。
ポスターに、「その一本で、テレビ塔を守ろう。」の文字が掲げられている。どうやら、この自販機で飲料が売れる都度、なにがしかのお金がテレビ塔に寄付されるらしい。他にも、寄付専用のボタンが自販機には備わっていて、「10円」と「100円」の2種類から選ぶことができた。

階段を登って、スカイデッキから屋上のスカイバルコニーへ。これで10メートル高さを稼ぐことができた。とはいっても、ここまできての10メートルごときでは、景色は全く変わらない。ただ、風を直接感じることができるので、「高いところに来た!」感はこっちの方が強い・・・かな?
飛び降りちゃおうとか、何かモノを下に落とそうとか、ここに来た人が悪い気を起こさないようにミッチミチのフェンスが壁のようにそそり立っている。なので、むしろ写真を撮影するなら下のスカイデッキの方がよいと思う。

スカイバルコニーからテレビ塔のてっぺん方面を見上げたところ。まだまだてっぺんは遙か上だ。
とっととスカイデッキに戻る。しかしここも、お土産物屋さんがあるわけでもなく、お手洗いと自販機があるだけだ。ざっと名古屋の景色を観察できれば長居するほどのものではないので、またエレベーターで下に降りた。滞在時間10分程度。
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