名古屋なめ尽くしオフ【名古屋】

ひつまぶしのとりわけはお互い気をつけないと

一同、「うまあああい」と悶絶しながらひつまぶしを食べる。「茶漬けが良かった」派と「薬味が良かった」派に意見が割れたが、いずれにせよ美味であり激しく満足であり、エンターテイメント性もあり楽しいひとときだった。

さすがにお互いいい歳をした大人なので、「お前鰻取り過ぎだろ、こっちはご飯しか残ってないじゃないか。鰻こっちによこせ」といった言い争いは起きなかった。争うまでもなく、うなぎの量はたっぷりある。

お吸い物

肝吸いはさすがに「2名で1杯」というわけにはいかない。さすがにそんなことをやっている集団がいたら、それはキモい。

料理とか飲み物とかは「回し飲み」「ちょっと味見させて~」というのが通用するけど、「汁物」だけはどうもダメだな。同じ鍋を囲みつつ仲間と食事をするのはいいけど、お椀に既に入った味噌汁とかお吸い物だけはどうも抵抗感あがる。なんでだろう?

一膳目

ひつまぶし三変化の第一幕、「ノーマル」。

どうしてもおひつからしゃもじでよそうために、美しく盛りつけることはできない。食べかけまたは残飯のような写真になってしまうのは大変に残念だが、これはもうひつまぶしの宿命だ。

ご飯部分までたれが適度にかかっているのがよくわかる。カレーライス同様に、「白米と味付き部分のコントラストを楽しみたい」という気持ちも満たしつつ、かといってたれをけちくさく少量しかかけていない感が全くない、絶妙なバランスと言える。

中には、「たれが多い方がいいんだろう?」とばかりに、じゃぶじゃぶにたれがかけられているお店(鰻に限らず、丼物系のお店全般)があったりするが、僕個人としては「少量のたれを慈しみながら、白米を食べる」スタイルの方が好きだ。

二膳目

ひつまぶし三変化の第二幕、「薬味のせ」。

万能ねぎ、わさび、刻み海苔を載せたもの。わさびのぴりっとした食感がくせになる味わい。

たとえば蕎麦のような繊細な風味の食べ物の場合、こんなにどっちゃりと薬味を載せてしまうと蕎麦の味がわからなくなってしまう。「蕎麦喰い人種行動観察」として蕎麦をいろいろ食べ歩いてきた僕としては、こうやって大胆に薬味を使う、ということは新鮮であり、ワクワクさせられるものだ。

「ファミコンは1日1時間まで」と制限されていた子供が、母親から「今日だけは2時間やっていいわよ」と言われた時の気分、みたいな感じ?「えっ、いいの?本当に?やった!」みたいな。罪悪感と開放感とときめきの混合。

三膳目

ひつまぶし三変化の第三幕、「茶漬け」。

薬味を載せた状態でお茶漬けにして食べるというやりかたは、サラサラと口の中に鰻メシが入っていくというその大胆さに驚き興奮させられる。鰻、という食べ物は姿勢を正しつつ、ゆっくりと、どっしりと構えて食べるものだという考えを根底から覆す。

これはこれで美味しく、「茶漬けが一番良かった」と評する人もいるのだが、「あっけなさ」を残念に思う人もいた。人それぞれだ。

神宮前を東に向けて歩く

最後は思い思いの食べ方でひつまぶしをフィニッシュし、蓬莱軒を後にした。さすがにひつまぶし屋で酒盛りに大発展するということはなかったので、お代はびっくりするほどではなかったと思う。もちろん、鰻料理なのでもともと安いものではないのだけど、そういうお店でガンガン酒を飲むと、かなりのお値段になってしまう。

蓬莱軒を後にしたのは18時30分。まだこの時期、日没にはなっていない。夕暮れの中、我々はまた「腹ごなしだ、ほら歩け歩け」と歩く。歩いては食べ、食べては歩く。食べるために歩いているのか、歩くために食べているのか、よくわからなくなってくる。

本日最後の食べ歩き場所として選ばれていたのは、神宮前駅から東にしばらく進んだところにあるホルモン焼きの店「伊勢屋本店」だ。ホルモン焼きともなれば、酒飲みの人だって大満足でガンガン酒が飲めるっていうもんだ。ひつまぶし?あれは単なる前菜に過ぎんのです。サラダ感覚なのです。

伊勢屋本店

この「伊勢屋本店」の存在は全く知らなかったし、ましてやお店の看板メニューらしい「とんちゃん」なる食べ物も聞いたことすら無かった。しぶちょおから教えて貰い、はじめてその存在を知ったくらいだ。数多い名古屋メシの中でも、知名度はまだ低い部類だと思う。

岐阜県は高山市界隈で、「鶏(けい)ちゃん」という料理がある。鶏肉をタレに漬け込んだものを鉄板で焼いて食べるというものだが、その豚バージョンということか。調べてみると「とんちゃん」は、豚の小腸が使われ、名古屋らしく赤味噌のタレで味付けが施されているらしい。なるほど、確かにそのタレだったら名古屋以外じゃなかなか食べられないだろう。東京だってそれ以外の土地だって、「豚のホルモンを味噌だれで漬け込んだ焼肉」というのはさほどめずらしくないと思う。しかし、「赤味噌を使ってます」となれば話は別だ。それだったら、愛知県界隈でしか食べられないと思う。

しぶちょおからは、「予約、入れとけよ。混むからな。店は大して広くないし、大人数で行ったら入れないぞ」と忠告を受けていた。しかし、結局予約を入れないまま現地突撃してしまった我ら。

蓬莱軒でどれほどのんびり飲み食いするのか、というのが事前ではさっぱりわからなかったというのがその理由だ。早朝から活動しているので疲労がかなり蓄積しているだろうし、食べ歩きも重なっているのでいつ誰が「もういいよ、おなかいっぱいだわ。ギブ」と言い出すかわからない。そんな中、「さあ、シメにこってりしたとんちゃんを食べに行くよ!」と果たして言えるのかどうか?東京で計画を立てていた時点では、予想ができなかった。

予約は入れておいたものの、ほとんど飲み食いできずにただただ、七輪を眺めるだけの状態だとお店に申し訳ない。ましてや、ドタキャンなんてもってのほかだ。

食べ歩き企画は、どうしても時間があとになればなるだけ不確定要素が増える。なので、お店の予約はしなかった、というわけだ。運良く座れればラッキーだね、または少々待つくらいならそれはそれで「腹ごなし」でいいじゃないか、と言いつつ我々はお店へ。

満席のためトボトボと引き上げる

で、結果的に「満席です。2時間待ちになります」と店員さんに言われ、しょんぼりしながら退却する一同。さすがに腹ごなしとはいえ、2時間待つのは無理だ。

この後まゆみさんと相方さんは別行動となり、尾張一宮にいる知人に会うことになっていた。これ以上後ろに時間をずらすわけにもいかなかったので、いったん神宮前駅まで引き上げることにした。

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