
味仙、矢場店に到着。
名古屋の繁華街である栄、そして大須の間にあるということもあり、とても繁盛している。ご覧の通り、店の外にまであふれる人。こりゃあ待たされるぞ、と腹をくくる。でもこのお店のすぐ近くにある、みそカツの名店「矢場とん」はもっとすごい行列なんだから、これくらいで悲鳴を上げてちゃダメだ。
今池にある本店を目指さず、敢えてこの矢場店を選んだのは、僕自身が食べ比べてみて矢場店の方がよりパンチがある味だと思ったからだ。いや、レシピは一緒のはずなんだが、そんな印象を持ったんだから許して。
ちなみに辛いことで知られるこの「台湾ラーメン」だが、辛いものが苦手な人用に「台湾ラーメン・アメリカン」という怪しすぎるメニューも存在する。喫茶店における「アメリカン」が浅煎りの豆で作られた薄味のコーヒー(またはお湯で薄めたコーヒー)であることから、辛さ控えめの台湾ラーメンにも「アメリカン」という名称が付けられているのだった。もうなんのこっちゃよくわからん。
他にも、「辛さ増強」の「イタリアン」があるという噂を聞いたことがあるが、僕はそれは噂でしか知らないので実際に食べたことはない。
で、今池の本店には、この「アメリカン」がメニューに載っていなかった。逆に、矢場の店にはアメリカンがあった。そんなわけで、今回は矢場店にした、というわけだ。なおこの情報はかなり古い実体験に基づいているので、現在がどうなっているかは知らない。
あと、矢場でメシを食べた後は、大須界隈の商店街をぶらり散策しつつ名古屋B級グルメ食べ歩きができる、というメリットもある。それらも含めて、ワクテカしながら待とうじゃないか。

「あれっ!台湾ラーメンってギフトパックもあるのか!」
店頭に貼ってあったポスターを見てびっくりした。やるなあ味仙。生麺と、唐辛子の効いた肉味噌がセットになって全国配送だって。こりゃいいや、機会をみて是非自宅で再現してみたいものだ。

「ちょっと!見てくださいよこれ!このポスター!」
店頭に貼ってあったキリンクラシックラガーのポスターを見て興奮してしまう僕。
「ナゴヤに感謝、ナゴヤに乾杯。」というキャッチコピーが書いてある。
「これは今まさに僕たちの気持ちを代弁していると思うんだけど、どうですかみなさん?」
「はあ・・・まあ、そういわれれば、そうかも・・・」
いまいち反応は良くなかったような気がする。なお、こういうのを見て一番はしゃいでテンションが上がるのが、酒を飲まないおかでん自身というのが何とも皮肉だ。
なお念のため言っておくが、こういうのを見てもこれっぽっちもビールが飲みたくなったりはしない。僕は白黒はっきりしていないと気が済まない性格なので、「もうお酒は一生飲まない」と決めた瞬間から全くお酒に対しては興味を失ってしまった。飲みたい、と思ったことは一度たりともない。酒席に同席させてもらっても、酒をうまそうに飲んでいる人たちは「別世界の存在」にしか感じていない。このあたりのすぱっと割り切る性格は、お酒を辞めるにあたって本当に助かった。
もし「お酒は一週間に一度だけなら飲んでいいですよ」とか「一回あたりビール350ml缶1本だけですよ」なんて条件付き飲酒OKだったら、多分すぐにグダグダになっていたと思う。ちょっと前のようにγ-GTPが1,400いっちゃうみたいなことになってたと思う。今の僕は、「お酒を飲む」という選択肢が皆無だからこそ、しれっと余裕でいられる。

店頭に大勢のお客さんがいたので、こりゃあ入店まで相当時間がかかるぞ・・・と覚悟をしていたのだが、案外早く順番が回ってきた。中華料理屋、しかも昼飯なのでさほどみなさん長居しないというのもあるし、そもそもこのお店は調理スピードが速い。頼んだ料理はビシバシ届くので、無駄な時間など存在しないのだった。
案内された席は、円卓。
「おっ、中華らしいじゃないか!いいねえいいねえ」
と盛り上がるが、椅子の数は8もある。
「えーと、これって4人掛けくらいを想定して作られている机じゃないか?」
「8人座らせるのはすごいなさすがに」
大皿料理を取り分ける、という発想であればこれくらい椅子が密集していても構わないのだろう。これぞ中華料理。日本の和食屋のように、「定食形式で一人一つのお盆」だったら、とてもじゃないがこの机で8人は無理だ。実は和食は結構場所を食う料理スタイルだ。


味仙のメニュー。「餃子の王将」や「日高屋」的な、ジャパニーズ中華の王道メニューだけではないいろいろな料理が潜んでいる。むむむっと眺めていると、どれも魅力的に見えてくるから困る。でも安心して欲しい、おすすめ料理はちゃんと赤字で表示されている。選ぶのに迷ったら、「おすすめ料理」とされているものから選べばよろしかろう。
メニューの下には、こんなことが書かれていた。
胃腸の弱い方は、にんにく、唐辛子をお控えください。もしくは、減量をお申しつけください。
つまり、ガツンとやってやるぞ、というお店からの犯行声明に他ならない。この言葉に、「胃腸が強い」おかでんは歓喜で震えた。にんにく、唐辛子をむしろガンガン入れてくれや。
しかも、この味仙メニューの素晴らしいところは、どの料理が「にんにく・唐辛子が多い」のかがさっぱりわからないということだ。つまり、大抵の料理にはぶちかましてるぜ、ということか。うひょう。

「名古屋に行きたい、って言いだしたの、まゆみさんなんですからね?好きなモン頼んじゃってくださいよモウ」
まゆみさん、相方さんをけしかける。
「えーでもこの後もいろいろ食べるんでしょ?」
「まあそのときはそのときで」
「台湾ラーメンはとりあえず確実に頼むとしてー、後はねぇ・・・」
しばらくメニューとにらめっこしている。ただし、あくまでも選考基準は「ビールに合うつまみは何か」目線だ。白米と合わせようだとか、昼なんだから軽く、なんていう発想はもともとない。こういうあっけらかんとした感じが、僕は好きだ。

あれだけ名古屋推しがされていたキリンラガービールだったが、見事にスルーされてしまい、青島ビールが卓上に届けられた。やっぱりこういうときじゃなくちゃ飲まないもんね!とかいう理由で。
台湾料理?の店で青島ビールというのはどうかと思うんだが、肝心の台湾でトップシェアの台湾ビールが日本でなかなか流通していないのだから仕方がない。
僕が酒飲みだった頃は、この青島ビールは好きではなかった。味が薄い、気が抜けたような感じだからというのもあったが、お店で頼むと値段が高く、そのくせ小瓶なんぞで出てきて満足感が足りなかったからだ。スーパードライでもなんでもいいから大瓶で持ってこいや、というのが昔の僕の考え。それがたとえ本格中華の店であっても。

とか考えているうちに、僕が頼んでおいたウーロン茶が届いたのだが、なんと素っ気ないことよ。毎度おなじみ・サントリーウーロン茶の500mlペットボトルがそのまんまで出てきたぞ。おっかしいなあ、メニューには「ウーロン茶(大)」って書いてあったんだけど。(小)がメニューには記載がないけど何と比較してるんだろう?とは思ったけど、500mlペットボトルが(大)の正体でしたか。
ちなみにお値段380円。
「これがさっきの原価バーだったら・・・」
「それは言っちゃいけないお約束」

さて、全員揃ったことだし、午前の部が終わって一息ついたことだし、ここでいったん盛大に乾杯としようではないか諸君。

うまそうに青島ビールを飲むまゆみさん。
「今日も一日お疲れさん!」
という顔をしているが、忘れちゃいけない、まだお昼だということを。しかも、13時過ぎ。もっと言えば、朝6時台に新幹線の中で既に一杯引っかけている。それでこれだけ「ビール美味し」という顔ができるんだからいい。それを見守る相方さんも、既にできあがったかのような笑顔を浮かべている。
なんかね、もうこの段階で、十分旅行を楽しんだ!満喫した!って気になってきちゃってるのだった。なんでかわからないけど。このまま日帰りで帰ります、と言われてもあんまり違和感がないくらい、なんだか楽しんでいる。
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