
07:04
稜線上で立ち止まってなにやら眺めている人がちらほらいる。
みんな同じ方向を向いているので、何だろうと思ってそちらを見てみると、富士山だった。
雲が多いものの、立派な富士山の姿を拝むことができた。
太平洋側、または河口湖側から眺める富士山とはまた別の、ちょっと見慣れない角度での富士山なので新鮮。
写真はズームして撮影したもので、さすがにここまで間近に見えるというわけではない。
「どうせまた後で見ることができるだろう」と思って適当に撮影していたのだが、この後完全に富士山の姿は隠れてしまい、二度と見ることはなかった。
この日の夜、山小屋で「今朝は富士山がちらっと見えましたよね」と同じ宿の人と話をしたら、「えー!信じられない!」と随分驚かれ、うらやましがられた。おかでんよりも少しでも早かったり、遅かったりした人はこの光景が見られなかったらしい。
山の場合、こういうことが大変多い。

07:05
ここからの稜線歩きは、比較的なだらかな道となっていた。
登山道の多くは稜線のやや西側に作られていて、ずばり稜線そのものをギクシャク登ったり下りたりするわけではない。
天気がよければさぞや景色が良いだろうに・・・と思うが、こうやって開放的な景色の中を歩くだけでも気持ちがよい。

07:13
時にはこういう岩場も乗り越えていく。
さすがにいつまでもだらだらとした登り、というわけにはいかない。一応山登りなんで。

07:27
なにやら標識が出ている、と思ったら、肩の小屋のテント場に関する注意事項だった。
おや、ということはもう肩の小屋に到着か。
視界が極端に悪いので、ひたすら目の前に見える登山道を一歩一歩踏みしめていくだけだ。
テントのお客様へ
テントを設営される前に小屋に申し出てから設営してください
どうやら、この看板の奥のちょっとしたスペースが、テントを張る場所らしい。言われててみて初めて気づく。
確かに、テントが張れるように石ころが取り除かれた場所が棚田のようにある。
山小屋併設のテント場は、小屋から相当離れていることがよくある。昨日の白根御池小屋の場合は目と鼻の先だったが、稜線沿いの小屋の場合はなかなか立地がない。だから、小屋から離れたところにテント場、ということになる。
その結果何が起きるかというと、
「とりあえず荷物をテント場にデポして、後で小屋に報告しよう」
↓
「面倒だから小屋に報告しなくていいや」
↓
無賃宿泊
ということ。それを警戒してか、この看板のように「テントを張る前に小屋に来い」と言っているのだった。

07:29
ガスがますます濃くなってきた。
そんな中、前方になにか人工建造物が見える、と思ったら、仮設トイレだった。
いや、実際は常設されているので、これは「仮設トイレ」と呼んじゃいけないのだろう。
肩の小屋は、山小屋内にトイレはないようだった。用を済ませるためには、雨の日でも突風の日でも、小屋から外に出てくる必要がある。
で、このトイレなのだが、どうも足場が不安定な場所に建てられている。半分、身を乗り出しているかのような。
あー、たぶんこれは「がけ下にダストシュート」型のトイレなんだな。
タンクに排せつ物をためるのではなく、そのまま奈落の底数百メートルまで瞬時に落ちるというもの。
環境を汚すということで最近は敬遠されている方式だけど、一番原始的でありメンテナンスが楽ということで採用している山小屋が多い。
これだと、便器をまたいだ際、足元にがけ下が見えることになる。高所恐怖症の人だと、用をたすことすらできないという恐怖のトイレ。
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