

08:22
山頂直下の道を進む。
これといって特にきつい登りがあるわけではなく、岩がゴロゴロしているところを黙々と歩く。景色も何もあったもんじゃないので、「ひたすら歩く」ことしかやることがない。
これでライチョウでも出てくれば楽しいのだけど、あいにくライチョウの姿は見かけなかった。こういう天気のときこそ、活発に活動するのがライチョウという鳥なのだが。

08:30
山頂が見えてきた。
こういうときは、まず人の話し声が前方から聞こえてくるものだ。山頂付近で休憩している人たちがおしゃべりをしているからだ。
で、近づいていくとガスの中から山頂を示す標識とかほこらが姿をあらわす。
08:32
北岳山頂、3,193メートルに到着。

富士山に告ぐ日本第二位の山のてっぺん。
日本人なら100人中100人、「日本で一番高い山は富士山」ということを知っている。でも、「じゃあ二番目の山は?」と聞かれて、答えられる人は果たして何割いるだろう?
たぶん、3割以下だと思う。もっと少ないか。
「2位じゃだめなんですか?」という有名な問い合わせについては、こと山に関しては確実に言える。「だめなんです。」と。
もちろん、知名度が不当に低かろうがなんだろうが、北岳は北岳であり、その雄大な山は変わらず登山客を出迎えてくれるのだが。
でも、仮に北岳が世界遺産になろうがどうなろうが、富士山のように人が殺到するということは100%ない。富士山ほど初心者に親切な山じゃないから。

08:33
山頂の標識は、単なる標識に過ぎない。
リアルな山頂には、三角点がある。これを踏みつける、またはタッチすることでようやく山頂に到達したという気になれる。
北岳の山頂にある三角点は、「白根岳」という名前になっているようだった。昔はそういう名前だったのだろう。
比較的新しい三角点なのであれっと思ったが、調べてみたら2006年に作り直したらしい。
標高が高い山の三角点は、厳しい気象にさらされ続けるために痛みが激しい傾向があるらしい。あんなの、ただの石碑なので半永久的に残るものだと思っていたが、それでもこうやってたまにはやり直さないといけないのだった。

08:33
雨がそれなりに降っているため、山頂に長居する人は少ない。
でも、ここに到達すると、この後どこに向かうにしてもそこそこ長い道のりになる。さて、と腹をくくって次の旅路に向かうまで、気持ちの整理が必要だ。
そんなわけで、みんな一様に雨をうっとおしがりながらも、つかの間の休憩をしていた。
そんな中、なにやら登頂者に取材をしている人がいる。漏れ伝え聞こえるところによると、雑誌「山と渓谷」の編集者らしい。どこから来たのか、などざっくりしたアンケートをとり、山頂での写真を撮っていた。
おかでんも声がかかるかもしれない、と身構えたが、全く相手にされなかった。やっぱり、若いカップルがそれなりのおしゃれな装備で登頂しました!みたいな方が雑誌としては華があるのだろう。おっさん単独行では、どう考えても誌面が盛り上がらない。
そういうのを想像するだに、自分の商品力の無さにがっかりする。
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