

09:45
高山植物が咲いている。標高3,000メートルはあるところでも、どっこい花は咲く。
ただし、こんなちっぽけな花であっても、1年で育って花を咲かせるわけではない。何年もかけてゆっくりと成長して、ようやく花を咲かせることができる。
だから、高山植物を摘むことは厳禁だ。
女性が山の中で用をたすことを「お花摘み」という。これは、その姿が花を摘んでいるように見えるからだ。ちなみに男性が用をたす(大きいほう)ことを「キジ撃ち」と呼ぶのも山では常識の隠語。
で、「お花摘み」という言葉があるからといって、実際に花を摘んじゃったらダメ。いくら可憐できれいな花だからといって、それは犯罪。
そもそも、高山は国立公園に位置することが多く、国立公園内ではたとえ石ころであっても勝手に持ち出すことは禁止されている。ましてや花なんてもってのほかだ。

09:47
一応稜線歩きをしている。
こんなありさまなので、黙々と歩き続けるしかないけど。

09:54
ところどころケルンもある。
ご丁寧に、棒が石積みの真ん中に突き刺さっている。このおかげで、これだけガスっていても行き先がわかる。
稜線の上をトレースする登山道なので、道に迷うことはない。でも、ところどころ稜線から少しそれて巻き道があったりするので、そういうところでは道を見失いがち。岩に記されたペンキなどを頼りに、慎重に進む。
雨は相変わらず小雨が降りしきる。カメラのレンズに水滴がつきまくり、撮影した画像がゆがむ。拭いても拭いても、駄目。
「こんなことやってるから、すぐにカメラが壊れるんだ」
とぼやくが、どうしようもない。
周りの人から、「防水のデジカメを買えばいいのに」といつも言われるのだけど、いまだにそれを実現させたことはない。防水デジカメ、いろいろ日常的に携帯するにはいまいちだから。

10:02
さすがに写真を撮る気力もうせ、ひたすら前進していたら、稜線から少しだけ脇にそれたところに赤い屋根を発見した。北岳山荘だ。
先ほど通過した「肩の小屋」と並んで、北岳登山の重要な拠点となる山小屋。広河原から見たら、北岳の向こう側(南側)に位置する。遠いといえば遠いのだが、北岳登頂者はセットで間ノ岳まで行く人が多いので、この小屋も大にぎわいだ。
のっぺりしたデザインで、なんか不思議な印象を受ける。

10:04
北岳山荘の入り口。
大きな建物なのだが、入り口はとても小さい。
山小屋ならでは、なのだろう。大きな玄関を作ると、強風が吹いたらガタつくし、冬場は雪対策で面倒だ。
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