
11:21
夜叉神峠入口を過ぎ、険しい山の斜面を走る道になる。
途中、タクシーやダンプカーとすれ違うたびにバスは停まる。
立っているお客さんが誰もいないので、車掌さんは「荷物は抱きかかえないで、通路に置いてもらっていいですよ」と言ってくれた。みんな、通路にでかいザックを置く。この山域に入る場合、間違っても日帰りはできない。最低一泊となるし、目指すは標高3,000mクラスの山々だ。みんなそれなりの身なりと装備をしている。
「山には登らないけどぉー、ハイキングでぇー」
という人は皆無だ。ハイキングに訪れるには、あまりに時間がかかりすぎる場所なので現実的ではない。なにしろ甲府から所要時間2時間で、ようやく山のふもとの広河原だ。
11:50
広河原に到着。

バスターミナル、というほどではないが、ロータリーがあった。
その傍らにある広河原インフォメーションセンターは比較的新しく、このあたりは最近整備されたものなのかもしれない。
もっと森の中の、じめっとしたどん詰まりな場所かと思ったけど、予想よりは高原リゾート的な開放感があった。
下車して大きく深呼吸したら、頭上に電線が見えた。あ、まだここは下界とつながっている場所なんだな。

11:50
バス乗り場に並ぶ行列。山の中には不釣合いな、結構な人の数だ。
バスはこれで終わりではない。ここから先、長野県との県境である北沢峠までさらにバスが走っている。ここから先はタクシーは一切入れず、北沢峠までてくてく歩くか、便数が少ないバスに乗ることになる。
そんな北沢峠には何があるん?と思うだろうが、ここは仙丈ヶ岳、甲斐駒ケ岳の登山の起点となる場所。利用者は比較的多い。ただし、おかでんはそのどちらの山も行ったことがない。あまりに山深くて、なかなか行く気になれないからだ。仙丈ケ岳は来年くらいには行きたいと思ってはいるのだが・・・。

11:50
先ほどのバス停の行列は、全員北沢峠に向かう人かと思ったがそうではなかった。
甲府に戻る人、南にある奈良田に向かう人、それぞれが並んでいるようだ。
便数が少ない場所なので、いちいち行き先別にバス乗り場を作る必要なんてない、ってことだ。
ちなみに奈良田はおかでんが下山する予定の場所だが、これがまたあきれるくらいの山奥だ。下山してからが旅の始まり、くらいの場所。南アルプスは、総じて山が深い。アプローチが大変なので、その分北アルプスほど入山者が少なく、それが人気の一因となっている。

11:51
広河原周辺散策マップ。
広河原、というだけあって、確かにこのあたりはなだらかでゆったりとした場所だ。
先ほどまで、切り立った崖の上をバスがうねうねと走っていたとは思えない。
「山に向かおうと気がせいている人ばっかりで、このあたりを散策する人なんているのかね?」
と思うが、プランの立て方によってはそういう人もいるだろう。なにせ、ここに来るまでが半日がかりの場所。行程初日は広河原までやってきて泊、という人もいるだろう。登山は二日目早朝からスタート、と。それならば、このあたりを散策する気にもなるってものだ。
ちなみに広河原には、「広河原山荘」という山小屋が一軒ある。以前は「国民宿舎広河原ロッジ」という施設もあったのだが、こちらは廃業してしまったらしい。
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