
11:00
なんか唐突感がある中白根山だけど、こうやって山頂でござい、と標識が立っていたら無視はできない。
「山頂到着記念!お疲れさまでした!」
と無理やり自分を鼓舞して、記念写真を撮影しておく。
お疲れさまでしたもなにも、まだ間ノ岳登頂の最中。全然カタルシスなんてないんだけど。
おかでんに限らず、他の登山客も同じようだ。大抵、どこの山でも山頂には人が休憩しているものだが、この山には誰もいなかった。とっとと素通りしてしまったらしい。
3,000メートル越えの山なのに、この扱い。山って、標高だけじゃないんだよな。山容、と言い方をするけど、山全体の風格ってのが重要。

11:01
中白根山では座り込んでの休憩を取らず、写真だけ撮っておしまいにした。
また稜線歩きの人に戻る。
山頂からはいったん下る形にはなったが、がっかりするくらい標高をロストすることはなかった。そしてまた、だらだらとした横移動。
「景色は見えないし、飽きてきませんか?」
と聞かれるかもしれないけど、そんなことはない。こういう状況でも十分に楽しい。
きっと、三途の川を渡るときも、おかでんなら楽しみながら渡れると思う。まだ三途の川を見たことはないけど。
走馬灯なら見たことはあるかな。
ガスは相変わらずだ。信州側から常に供給されていて、たまに視界が開けることがあるものの、ほとんど100メートル以下。


11:08
灰色の景色ばっかりじゃこのサイトの見た目がどんよりしてくるので、たまには高山植物の写真でも。
でも問題なのは、この花の名前をさっぱり知らないし、下山してからも調べようとしないということだ。
それでよくもまあいけしゃあしゃあと「高山植物の写真でおくつろぎください」だなんていえるものだな。

11:11
どうですこの景色。
稜線歩きの醍醐味(だいごみ)。樹林帯の中を歩くのも気持ちいいけど、やっぱり稜線を歩くとワクワクドキドキ感が桁違いだ。
ただし、稜線に出るためには、それなりの苦労をして山道を登ってくる必要がある。がんばった人だけに与えられる特権。
「山に登る体力はないけど、森林限界を超えた稜線を歩いてみたい」
というむちゃくちゃな希望を持っている人がいたら、乗鞍岳の畳平に行けばいい。標高2,700メートルまでバスで行けるし、そこからすぐ稜線歩きだ。
馬鹿正直に稜線の上を歩くというわけではない
写真を見て分かるとおり、登山道は稜線そのものからわずかに信州側にそれたところにある。
稜線は細かいアップダウンがあるのは当然のこと。リアル稜線歩きをするとなると、そのアップダウンにいちいち付き合わされることになる。だから、実際の登山道はこうやってすこし脇にそれていて、いちいちアップダウンにはつきあわないよ、となっていることが多い。


11:26
稜線歩きの写真を2枚ほど。
だんだん解説することがなくなってきたから端折ったなオイ、とは言わないこと。
たぶん、撮影した当時は、この光景に何か感じるものがあったのだろう。意味のある写真のはずなのだけど、今こうして文章を書く段階では「単なる岩場」にしか見えない。
でも一連の写真を見れば分かるとおり、きつい場所はなく、ゆるゆると前へと進んでいく楽しいルートだ。天気がよければ、ニコニコしながら歩いたことだろう。
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